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776 :川瀬@212 :02/07/03 18:43 ID:4wcZ92cR
☆★ガンバレ美琴ちゃん(ガンバレしり−ず、山都辺美琴の場合)☆★
心を静める、静かに矢つがえ弦を引く、全ての雑念を払いただ一点に心をあわせる
凛とした空気の中、弓を押す、解き放たれた矢が的に向かう。しかし矢は的から僅かに外れる
「どうしたの、山都辺さん?あなたらしくない」先輩が思わず口にする
たしかに自分らしくない、それは自分が一番よく理解している
「弓は自分の心を表すのよ、何か心配事でもあるの?」普段と様子の違う彼女に心配そうに尋ねる
「あ、いえ・・今日は気分が優れないもので・・」
「あの、申し訳ありません。今日は早退させてください」心の内を見られてしまったような気まずさから
そう答え、道場を後にする。
(2/4)
制服に着替え外に出ると空はまだ明るい、しかし彼女の心は曇っていた。
空を見上げつぶやく「弓は心を表す、か・・」
山都辺美琴は在日三世、だが日本で生まれ育ってきた彼女にとって祖国とは遠い存在であった
祖父から聞かされてきた歴史や祖国等も彼女にとっては苦痛に感じられることもあった
彼女が日本人との混血なのも原因かもしれない
その反動なのか彼女は「日本」と言うものを強く意識するようになり、自らもそうなりたいと願うようになってきた
そして、進学の時に両親を説得し家を出て全寮制の高校に通うことにした。
(3/4)
その日の晩、寮では彼女の部屋に親友が集まっておしゃべりの花を咲かせていた
そんな彼女達を見て美琴は羨ましかった、産まれながらの日本人、自分はどうしても「外人」である
時々そのことを強く意識させられ今日の様になってしまうのだ、そして在日である事実は口が裂けても
言えないのだった
「美琴ぉ?どうしたの??」その声に我に返る
「何か心配事でもあるの??、浮かない顔だよ」
「いや、本当に大丈夫だ、気にしないでくれ」慌てて答える
「でも、美琴ってほんっとに古風だよねぇ」一人がそう口を開く
「だよねぇ、いまどき珍しいよね、美琴みたいな子って」
「髪型だっておとなしいし、練習のときにポニテにするくらいだしね」
「弓道に、華道でしょ?それに口調だって、なんかお侍みたい」
「馬鹿、それを言うなら『大和撫子』でしょ」そう言ってみんなが笑った。
(4/4)
「や、やまと・・なでしこ・・? 私がか?」その一言にどきどきしながら美琴は聞いた
「うん、天然記念物物だね」その一言に顔が赤くなる胸の鼓動も一層高まる
「あれ、美琴赤くなってる、照れてる??」
「ば、馬鹿、部屋が暑いだけだ、ちょっと外の空気を吸ってくる」
そう言って部屋を出て屋上に向かう、どんなに押さえようとしても自然と笑みが浮かんでしまう
だれもいない屋上で一人その言葉をかみ締める。
「大和撫子・・私が?・・」
そして夜空を見上げ、両手を握り締め誓うのだった・・