↑逆立ちな  ←GET BACK    Yeah! Yeah! Come on!→


221 :川瀬 ◆No212gxw :02/07/24 04:16 ID:MvYCk4Uf
暗闇の向こう側5 <陰謀>

*カツカツカツ*
暗闇に足音だけが響く、ビルの裏路地を女性が一人歩いていた
長い黒髪が風にかすかにたなびき、白のパイピングのジャケットは彼女の胸を強調するかのようであり
白色の細めのパンツはその脚の細さを際立たせる
およそこの場所には似合わない女性である

都内の某所・とあるビルの地下にその部屋はあった
足音も立てず扉の音さえ殺しその中に入る
部屋の中はパイプベットと簡素なテ−ブル、小さな冷蔵庫程度しかなく飾りつけなど一切無い

その中でマウスのクリック音だけが響いている
モニタ−からの明かりが向かっている人物の銀色の髪を照らしていた

モニタ−に向かう人物に静かに右手を向ける、その手に握られた銃身が鈍く輝く
「『銀狐』も落ちぶれたようね」あざけるように告げる

「そうでもないさ」余裕の発言で振り返る事無く静かに左手を横に伸ばす
その左手にはライター程の箱が握られており親指が小さなボタンを押さえていた

銃をポイントしたまま目で周囲を見渡す、部屋の天井から銃口が自分に向かっているのを確認する
「用意の良いことね」
「女の一人暮しはなにかと物騒なもんでね」

モニタ−を離れ相手を確認するため明かりをつける
明かりが部屋の主の銀色の髪を輝かせる、その切れ長の目の奥、翡翠の瞳は鋭い光を放っている

「手前か・・ひさしぶりだなぁ、李・杏樹」挑発的な笑みを浮かべ
「貴方も生きていたとわね、ティティス・ディ−トリッヒ・・」落ちついた声色で応じる

「で、3年前の決着を今ごろつけに来たのかい?」両手を広げ肩をすくめておどけて見せる
「残念ながらそれはお預けね」銃をしまう杏樹
「仕事の話しよ、組織(SO-LEN)はこの件から手を引いたわ」

「?!」
「これからは私が貴方の雇い主、報酬も約束どうり支払うわ」
「---なるほどねぇ・・何があっても自分たちには関係無い・・か」
「まぁ報酬さえ約束されてるのなら構わんさ、気にいらねぇけどな」セキュリティのスイッチを切る
杏樹に向けられていた銃口が静かに下を向く

「それで、現在の状況は?」
「なかなか厄介な相手さ」モニタ−に向かい顎で示す

電脳世界最大級のテロリスト集団『2CH』、その中の対半島諜報班、『ハン板』が映し出される

「組織なんて上等なものはねぇ、普段はお互いで食い合ってやがる」
「かと思ったら一斉に相手を叩き潰す、偽情報を流しても一瞬で見破られる」
「組織体制も統制も無く常に流動的、それでいて完全に分裂する事もない、こんな連中は初めて見たよ」
「オ−プンソ−スの情報収集能力と分析に関してはそこいらの諜報機関より手ごわいね」

そのこと自身は杏樹が身をもって経験している事でもあった

「それで、尻尾を巻いて逃げたした、とでも言うのかしら?」手の内を読むため挑発する

「へっ、あんたに言われたかぁ無いね! まぁ見てみな」1つのスレッドを開く
「どうだい、一時間で300は超えているだろう」
「こいつ等をここでまとめて釣り上げておいて、別回線の自動スレあげプログラムとの併用で北の目障りな情報は
 まとめて消し去ってやったさ」

「一時しのぎね」冷笑する杏樹
「HTML化されるまでの間にゆっくり工作が出きるってもんだろ」

「それで・・工作の状況は?」無視をして話しを続ける
「奴等を引っ掛ける良い餌を見つけた、そいつを使っているよ」憮然としながらも話しを続けるディ−ド

「餌?」
「こいつさ」カチュ−シャの名前欄を見せる、そこには杏樹の知っているハンドルネ−ムがあった

「あなたが?・・そんな・・」驚きの声をあげる杏樹
「勘違いするな、こいつはフェイクさ」
「こいつなら纏めて釣ることが可能、しかもトリップをつけてないため下手な騙りも多い、あたしが使っても
 怪しまれることが無いのさ」
「もっとも、真贋に長けた連中を騙し本人になりきる為こいつについての研究に苦労したがね」

「でも、本人は気づいているわよ?」当然の問題を指摘する
「本人がいる場合は名無しで動いている、食いつきが低い分工作も遅れるがね」
「本人も気にしている様子もねぇし、これだけ偽者が多いんだその1つと思っているんじゃないのか?」
あきれたと言った様相でディ−ドは肩をすくめた

その説明を聞きながら杏樹はモニタ−をじっと見つめ考え事をしている

「つまりは・・貴方が完全にこの子になれれば良いのね」
「何を考えている?」含みを持った発言にディ−ドの目が鋭くなる

「別に・・私は貴方が動きやすくなるようにサポ−トするだけよ・・」
「私も直接手伝うけど『Korian-Angel』=北と見破られてしまっているからね、基本的には名無しでの活動になるわ」
「貴方は電脳空間で動いてもらう、私はリアルの方で貴方が動きやすくなるように援護する」
「単なるチ−ムプレイよ」
口調は穏やかであった、だがその言葉の裏側には冷たい響きがあった

「余計な事はするんじゃねぇ、あたしはあたしのやり方でやらせてもらう!」
「余計な事ではないわ・・貴方の、この作戦のためよ・・」

杏樹の口元に笑みが浮かぶ、しかし真意は読み取れない

「貴方は貴方のやり方で、私は私のやり方でやらせてもらうわ」

返事を聞くことも無くそのまま部屋を後にする
「かわいそうだけど・・あの子には消えてもらうしかないわね」

天使は冷たく微笑んだ・・

そのころ・・・

「な、なによこれ」
「こんな事わたしいってないもん!」身に覚えの無い事で次々と煽りのレスがつく

「また私の名前でイタズラしたひとがいるのね!許せないんだからぁ!!」
「ハン板のみんなもきづいてよぉ!!」

もちろん、ハン板住人は気がついていないわけではなかった
その下手な偽者は昨日のうちに見破らていた「量産型か?」とまでいい
暇つぶしに遊んでいたにすぎなかった

面白がってわざと濡れ衣を着せ煽っているのだ

「あぅ〜どうやったら『とりっぷ』って付けられるのかなぁ・・」

練習スレで練習する海原タン、しかし何度やってもトリップはつかない
半べそで、もにた〜に向かう海原タン

「どうして・・どうしてなのよぉ〜」

海原タンが&と#の間違いに気がつくまではあと半万年はかかりそうだった