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303 :その1 :02/07/30 19:28 ID:Fi852VPu

本当は私だってみんなみたいに大和民族になりたいんだよ!
なのになんでそれを認めようとしてくれないの!?』
オカマは本物の女性よりも女性らしく行動すると言いますが・・・
大和タンは果たして日本人らしく行動できるのでしょうか・・・

☆★ガンバレ美琴ちゃん(ガンバレしり−ず、山都辺美琴の場合 番外編)☆★

スパーン!
1日の練習を終えてボロボロになってる的なのに、美琴が射ると良い音がしている。
残心からそのまま、後ろに置いた矢立から矢を抜いて息を整えている。
「山都辺さん、大前だからって気負わなくてもいいのよ」意を決して声をかける。

山都辺美琴、伝統の新歓パフェ遠征の時に「日本の美しい弓道を習いたいんです」と
大真面目に宣言して、ちょっと浮いてた子。
男子校との交流試合で、やたらと恥ずかしがっていた子。
今年の正月におとそを飲ませたら、酔った勢いで「私は大和撫子になりたいんですっ」
と叫んで、春まで大和ちゃんとかナデシコさんとか言われてた子。
練習では主将よりも的中率が高いのに、大会になると実力を出し切れないのが玉に瑕。

「ハイ。でも、せっかく9時まで延長練習できるんですから・・・」
今日も最後まで練習する気らしい。
顔はこちらに向けているのに、手はそのまま矢をつがえ始めている。

来年もインターハイはある、楽に、いつも通りいればいい、こう言ってくれる先輩は、
今度の大会を最後に弓道部から離れることになる。
2年生で唯一レギュラーになれた自分は、レギュラーになれなかった先輩達よりも
練習する必要があるのだから、今は少しでも射位から離れたくない・・・
美琴、こう言って頑張ってるんです。大会前に倒れちゃいそうなんです。
毎晩やってた「ぱそ」もしなくて、寮でもイメージトレーニングばかりしてるんです。
先輩、なんとかしてください、美琴に注意してください。
校庭裏で、こう泣きつかれたのが5日前のこと。
それ以来美琴に注目してきたけれど、確かに集中が持続しているし、全体の雰囲気も
引っ張られて、とても良くなっている。
しかし、今日はもう限界だ。

「練習熱心なのはいいけれど、疲れて風邪でもひかれたら困るのよ?」
「じゃ、じゃあ、あと30分だけ・・・」
大会では、大前が外すと二的にプレッシャーがかかる。中には副将がいるものの、
ずるずるとプレッシャーが続けば、予選の突破は困難になる。
責任感の強い美琴は、最初の一矢の重みに必至で耐えている。
「大前が外したら、尾を引くかもしれないって考えてるんでしょう?」
美琴は図星をさされたかのように矢に目を落とす。
「落前には私がいる、美琴が外した時は、絶対に私があてる」
矢から顔を上げる美琴。
「だから、今持ってる矢が、試合の最初の一矢だと思いなさい。それで今日はお終い」
美琴は黙ってこちらに向き直る。
「ここはインハイの試合会場、茨城で引いてると思いなさい。次の矢が無いと思って
引きなさい」
少し緊張しているのが判る。
「中ったら、今日はアイスおごってあげるわよ? 大和さん」
さっと頬に紅みがさすものの、そのまま打起しに続ける美琴。
その横顔を見ながら、もし今日外しても明日はおごってあげられるだろう、
と理由もなく確信する。
高校最後の夏というのも思ったより悪くない、と心のどこかで聞こえた気がした。