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335 :川瀬 ◆No212gxw :02/08/02 19:47 ID:p6UmJi7n
暗闇の向こう側7 〈月明かりの元で〉
「ここね」
深夜・郊外の住宅地、川沿いのマンションの傍らに車を止め記憶の中にある住所と確認する
このマンションの最上階の部屋、そこにタ−ゲットは存在した
予め準備しておいた偽装カ−ドキ−で入り口のオ−トロックを抜けエレベ−タに乗りこみ最上階に向かう
そのまま非常階段から屋上に向かう
侵入者を防ぐ鍵をたやすく突破し天使は屋上に姿をあらわした
周囲に並ぶ建物は無く風が身体を撫で緑の黒髪を揺らす、下界の街の灯りが星座の様に瞬く
屋上の淵にフックを固定しロ−プを垂らす
屋上からの進入、タ−ゲットの暗殺、強盗に見せかける偽装、装備の回収と撤退
川に面したベランダ側からの深夜の侵入、目撃される危険性は少ない、今までに何度も行ってきたミッションであった
ジャケットを脱ぎ傍らに置き皮製の手袋を装備する。これから哀れなる獲物に向けられるであろうナイフを引き抜き確認した
最後に脇に吊るしたサイレンサーを装備した自動拳銃を抜きスライドを引くと薬室にあった弾丸が一つ排出された
その弾丸に軽く口付けして胸のポケットにしまう。それは万が一のとき自らに向けられる最後の一発
作戦前に必ず行ってきた儀式であった
目を閉じる、意識を自らの内に沈めようとする人間的な感情を全て殺す、李,杏樹では無く『Angel』と呼ばれた機械と化す為である
「ずいぶんと変わった訪問ね」
不意の背後からの声に反射的に銃を抜き振りかえろうとした
が、喉元に付きつけられた冷たい感触により阻止される
「玄関はこっちじゃないわよ」首筋、うなじの辺りに吐息を感じる
背後から左手で逆手に持ったナイフの刃が杏樹の喉に触れ右手は腰に吊るしていたナイフを抜き取り傍らに投げ捨てる
次ぎに左脇に吊るしていた銃を抜き取り床に捨てその手は杏樹の左胸を包む
相手の顔は見る事は出来ない、丁度背後から抱きしめられている格好だ
その声と密着している背中に当たる胸の感触から相手が女性である事はわかった
蒼い月明かりに照らされて闇に浮かぶ二人の姿はあたかも禁断の愛を交わす二人のようでもあった
「いけない人ね、私の宝物を狙うなんて」耳朶でささやく
「何者かしら?」チャンスを伺う杏樹
「あの子を守護する者よ」冷たい響きが耳もとで聞こえる、その声は杏樹の動きを封じる
喉元のナイフは外科医のような手つきで滑る様に喉元から下に向かい先端が杏樹のシャツを切り裂く
そして両胸の間、彼女の双丘を覆う下着の結び目を断ち豊かな双丘が露になる
月明かりに照らされた闇に杏樹の白い肌が浮かび上がった
上着を縦に裂いたナイフは左の乳房の下に向かい切っ先を付きつけ
右手は蛇の様に杏樹のズボンの内に入りこみ下腹部にそっと触れた、更にその下を薄い布ごしに愛撫する
「くっ」思わず杏樹はふとともを閉じ身をよじりその手から逃れようとする、しかし胸元のナイフにより阻止される
「貴方、美味しそうね・・」熱を帯びた甘いささやきが耳朶をくすぐる
「本当ならたっぷり味わいたいところだけど・・残念だわ」
杏樹の首筋に唇が触れ、ねっとりと舌が這う
「さよなら」
切っ先に力が込められ肌に薄っすらと血が滲む。杏樹は死を覚悟した
「よぉ柳、お楽しみの最中かい?」その声にナイフが止まる
「あら、貴方も混ざりたいのかしら?ディ−ド」振り返る事も無く小麗は応じる
「悪いがそいつはあたしの方が先約なんだ、返してもらうぜ」 小麗は口頭部に金属物が押し付けられるのを感じた
「嫌だといったら?」
<カチリ>激鉄が起こされる「あたしは契約は守る、引け」きっぱりと告げる、
小麗は静かに両腕を広げる、開放された杏樹はゆっくりと振りかえり相手を確認する
「貴方のお友達かしら?ディ−ド」
「ああ?コイツは柳小麗って言うただの変態さ、『柳原』って名前なら知ってるんじゃねぇのか?」
「南のエ−ジェントだ、あたしらの事を嗅ぎ付けたようだ」
「誰が変態よ、失礼しちゃうわね」小さく抗議の声をあげる
「貴方が『柳原』だったとわね、劉小麗」その顔をみつめ話した
「はじめまして、言った方が良いかしらね、『北の天使』さん」背後の銃を気にも止めない様子で答える
「なんだ杏樹、お前もコイツを知ってたのか?」
「写真でね、中国人民解放軍所属な筈の貴方が南に潜っていたとわね」
「飛ばされちゃったのよ、ちょこっと新人の子を一晩可愛がってあげただけなのに・・」つまらなそうに答える
「とりあえず礼を言うわ、ディ−ド。私は作戦を続けるそっちは御願いするわ」武器を拾い裂けた上着の端を結び胸を隠しロ−プに向かう
『カチリ』その音に杏樹は振り返る、ディ−ドの左手に握られた二つ目の銃が杏樹に向けられていた
「何のつもりかしら」
「言ったろ、あんたの今晩のお相手はあたしだって」にやりと笑う
「あたしはあたしのやり方でやらせてもらう、余計な事はするんじゃねぇ」
「コイツとも取引をした、ヒカルって子に手を出さない限りあたしらのことは南には知らせないってね」
両手の銃を2人に向けたまま顎で小麗を示す
「そんな戯言を信用するつもりかしら?」冷ややかに嘲笑する杏樹
「あたしみたいなフリ−は信用が命なんでね」挑発に耳を貸さずディ−ドは告げる
従わないなら杏樹の方に凶弾が向けられるのは明白であった。杏樹の瞳は怒りの炎が見える
張り詰めた時間が続く、一分程であるが実際には一時間にも感じられた
それを破ったのは杏樹であった
「後悔しないことね」残滓の念を浮かべながらジャケットを拾いその場を離れる
「ふられちゃった様ね」ゆっくりと振りかえり笑う小麗、
「その様だな」銃をしまうディ−ド
そのまま歩き出したディ−ドに小麗は腕を絡ませる
「待ちなさいよ、貴方もふられちゃったみたいだし今晩は慰め合わない?」
「悪いがあたしはそっちの趣味はねぇ!」顔を見ようともせずその腕を強引に振り払い吐き捨てる
「あら、お酒を飲むだけよ、何を想像したのかしら?」
「それとも・・そっちの方が良いなら私はぜんぜん構わないわよ」意地悪そうに笑う
「て、てめぇ・・」ディ−ドの頬に朱が浮かぶ、しかし最後まで言わないうちに小麗はディ−ドを引っ張っていった
「さぁ今夜は朝まで飲み明かすわよ、先につぶれちゃったら翌朝はベットの上よ覚悟しなさい」