FISH-2GW紀行、新緑の伊豆にベラを求めて

前編

風景
小雨降る石廊崎周辺。伊豆の旅はここから始まった

今年のGWは雨と共に始まった。
前半は雨に祟られ、思うようにフィールドには出られなかった。それゆえ、後半に賭ける期待は大きかった。
いつもは釣行に際して目標などは立てないが、今回は1つの課題を立てた。ベラを釣る事だ。
昨年、オトメベラを釣って以来、僕はベラが大好きになってしまった。伊豆はそんなベラが多い絶好の地だ。
中でも、伊豆にも生息するニシキベラは、僕の今最も釣りたい魚の1つだ。
5月2日、約半年間の冬眠を終え、僕は深夜の高速を伊豆へと向かってひた走っていた。
伊豆への道は、雨が降ったり止んだり。少々不安はあったが、ここまで来た以上、決行するより他にない。
心がけは良いはずだが、ここは3日の午後からは止むという天気予報を信じるしかなかった。
果たして夜が明ける頃には、車は無事、南伊豆にさしかかっていた。
雨は小雨ながら降り続いているので、とりあえず観光の予定からこなすことになった。
まず行ったのは石廊崎ジャングルパーク。温室の植物園みたいな所だ。
所々に鳥などが配置してあり、まあそれなりに楽しい。丸太みたいにでっかいピラルクーなんかが池にいたりもした。
でも一番僕が興味を持ったのは、ピラルクーの池でほとんど野性化状態だったソードテールだった。
これはかなりここで繁殖しまくっているらしく、ほとんど原種ソードテール(ヘレリー種)のような色に先祖返りしていた。
そこを出ると昼だったが、雨はほぼ止んだものの、今度は風が強くなってきた。
海も荒れていて、とても釣りなどという雰囲気ではなかったので、明日に期待を込めて、午後も観光をすることにした。
午後訪れたのは、下田海中水族館というところだ。
ここでは、明日の予習という事で、近海モノの魚を中心に見て回った。シラコダイ等も展示されていたが、時期が時期だけにお目に掛かる事はないであろうと思った。
しかし、もちろんここでの本命はベラを見る事だった。ニシキベラ、ホシササノハベラ等がいて、しっかりとその姿を目に焼き付けた。
一通り見た後で、まだ時間があったので、アシカやイルカのショーを見た。イルカ(バンドウイルカ、オキゴンドウ)はまあまあだったが、ここのアシカは気味が悪いほど芸達者だった。
この後、下田市の寺などをめぐり、下田市内の宿に泊まった。公共の安宿で、自炊だったので、豪華なバーベキューやすき焼きなどをやっている楽しげな家族連れを尻目に、レトルトカレーを食べてさっさと寝た。

ウチワサボテン
下田長楽寺境内の巨大なウチワサボテン。驚愕の大きさだ

次の日は何とか朝から晴れていた。しかし気温は低く、前日から続いている風が、余計に寒さを感じさせた。
予定では、下田港で釣りをするつもりだったが、かなりの強風の為断念し、風裏を求めてさ迷う事となった。
ほどなくして、波静かな入り江の漁港に辿りついた。
堤防から下を覗くと、水温が低いせいか、やはり魚影はほとんど見当たらない。ワカメなどの海草がたくさん付着しているところから見ても、まだまだ水温は低いようだ。
すると家族連れがやってきて、目の前で釣り始めた。とりあえず見学する。
と、そのうちの子供が、1尾釣り上げた。かなり小さいがメジナ(グレ)のようだ。
たかが木っ端グレといえども、目の前で上げられては、にわかとはいえ自称雑魚釣り師の面目に拘る。とりあえずここでやってみる事にした。
準備を始めた矢先、ここで僕はえらい事に気が付いてしまった。
「サビキ持ってくるの、忘れた・・・」
この釣りに賭ける意気込みの割には、たいそうなまぬけ加減である。
釣具屋に買いに行くのも時間がもったいないので、なんとか有り合わせで脈釣り仕掛けを作った。
最初からテンションが落ちてしまったが、駐車スペースから堤防までの岸壁で下を向いて歩いていたら、クサフグを1尾発見。
何気なく竿を下ろしたら、あっさりと釣れた。が、そこで粘るような場所ではないのでさっさと堤防へと向かった。
何はともあれ、とりあえず先ほどのファミリーの隣で竿を出す。
しかし、ちっとも釣れない。というよりもやっぱりほとんど魚がいない。当面のライバルである隣のファミリーの方もあんまり釣れていないようだ。
暫くして、さっきグレを釣った子供がウミタナゴを釣り上げた。ウミタナゴなど珍しくもないが、誇らしげなその姿は、まだ釣れていない僕にはかなり憎たらしかった。だが、自分はそんなに志の低い人間ではないと言い聞かせて我慢した。
その後も一向に釣れなかったが、ホンダワラに絡まっているヨウジウオを発見。堤防に這いつくばってタモで採ろうとしたが、全然届かなかった。悪い時はこんなものなのだろうが、それだけでは終わらなかった。
今度はファミリーのオヤジがでかいのを掛けたようだ。竿が折れそうなくらいしなっている。ほとんど諦めながらなすがままのオヤジに、よせばいいのにポンピングの仕方まで教えてやって、取り込みまでしてやるはめになった。
釣れたのは60cm位のボラだった。オヤジも喜んでくれたので少しいい事をした気分だったが、その後、さっきのクソガキ(敢えてこう呼ばせてもらおう)が「〇〇(自分の名前)水族館」の館長を名乗ったのには、ああ、自分はお人よしだなぁとひどく後悔した。
しかし30分後、満を持して僕の竿にもアタリが来た。貴重な獲物をバラさぬように慎重に寄せてくる。釣れてきたのは美しいキヌバリだった。これこれ!こういうのが釣りたかったんだよと、やっと僕のテンションも上がってきた。どうだとばかりにさっきのクソガキの方を見たものの、全然見ちゃいなかった。
その後は、そこに小さな群れがいたらしく、キヌバリとスジハゼが何尾か釣れた。
しかし、それ以外のものが釣れないので、そろそろ移動しようと思っていた時だった。何と足元を大きなオタマジャクシが泳いでいるではないか!すぐに理由は判明した。ファミリーの別の子供(恐らくはさっきの子供の弟)が陸のドブで採ってきて投げ込んでいたのだ。程なくして哀れなオタマは力尽きて沖へと流されていった。
最後に嫌なものを見てしまい、危うくまたテンションを落とすところだったが、キヌバリパワーで何とか持ち堪え、他の魚を求めてその場を後にした。

釣果

ハゼしか釣れなかった

キヌバリ

キヌバリ太平洋型

スジハゼ

スジハゼ


つづく


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