誕生秘話 

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おいらの誕生日は1999年7月29日。生まれはアメリカ。。。らしいな。

生まれたところとか、環境なんて全然覚えてない。 あたりまえだろ?誰だって生まれた時の

事なんて覚えちゃいないさ、普通はね。

生まれてすぐおいら達はアメリカから日本に連れてこられたらしい。その時の記憶は曖昧だけど

あまり楽しかったとは言えないような気がする。何故おいら達がアメリカから日本に運ばれてきたかは

後になって解る事になるんだけど、おいら達に選択する権利なんてない。

日本に着いてからもなんやかんやあって、おいらは他の仲間たちと東京にあるショップに

運ばれてきた。

ここはなかなか快適だった。なにが快適かと言うと、夜人間がいなくなった後先輩のイタチから

色んな話しが聞けた事だ。実に様様な知恵と経験談を聞かされ、おいら達が今後どうなるのかも

ここでおぼろげながら知る事が出来た。もしここにずっと居たかったらあまり目立たず、愛嬌は

振りまかない事。爪きりや食事の世話の時に、上から降りてくる肉に思いっきり噛みつけばその肉

は暫く降りてこない。でもある程度の体罰は覚悟しないといけないらしい。。。。

もしもここから出たいときは反対の事をすればいい。ただし、場合によっては2度とここに戻って

これないかもしれない。 おいらは先輩達の話しを朝まで飽きもせず聞きまくった。そして疑問に思った

ことは片っ端から聞いていった。

ここを出たら何処にいくのか?先輩達は何故ここに居ようと決めたのか?時々降りてくる肉って

なに?何故おいら達はここに来たのか?何故何故何故????疑問は次々と浮かんできた。

 

そんな楽しい毎日を送る中で、嫌なことがあった。いつも通り肉が降りてきたのでガブゥと噛みつこう

としたら、うまくかわされてどっかに連れていかれ、思いっきりなにかがおいらの首筋に突き刺さった。

死ぬかと思ったくらい痛くって、思わずちびっちまった事は内緒だ。

しかし大半は面白おかしく暮らしていたある日、同期の女の仔が「私、ここから出たい」と言い出した。

もうすでに何匹かはここを離れた。仲間が居なくなったその日の夜は、みんなで話しが盛りあがる。

「どこにいったんだろうね?」 新入りのイタチの問いに「解らないけどもう会えないかもしれないなァ」

と先輩達は小さなため息とともに話してくれた。

「ねぇ、いつかは皆いなくなっちゃうの?」おいらの問いに「またおまえらよりチビッチャイ奴らが

そのうち運ばれてくるさ」と先輩達。

「あたし、ちょっと怖いけどやっぱりここから出たい」真っ黒なその仔の言葉に、おいらの気持ちも

揺れた。

 

真っ黒なその仔はいつもおいらの隣にいて、おいらとは一番気が合ってよく遊んだ。寝るときも

何故か彼女の隣にいると安心できた。しょっちゅう肉が降りてきて彼女が水槽の中から高く持ち上げ

られて、しばらくどっかに姿をくらます。 でも戻ってきたときは「噛んでやったわ」って嬉しそうに報告

していた。でも最近の彼女は進んで肉にしがみついてお空に上がっていく。戻ってくると少し得意

そうに「もうすぐここから出られるかもしれないわ」と嬉しそうにおいらの耳を舐めながら話してくれる。

おいらの胸になんだか解らないけどザワザワしたものが顔を出し始めた。「外かぁ。。。」

 

暫くして、本当に急にその黒い仔は突然いなくなった。肉と共にお空に上がっていって、いつまで

待っても戻ってこなかった。その夜、おいらは眠れなかった。なんだか解らないけど悲しかった。

先輩達の話しも、ぜんぜん耳に入ってこなかった。。。。どこに行ったのかなァ、も一度会いたいなぁ。

次の日からおいらも肉に掴まってお空に上ってみる毎日が始まった。肉の正体は人間の一部、

手だった。毛がない不気味な肉。でも我慢してしがみついてると温かい胸に抱かれて、なんだか

幸せな気分になる。時にはガシガシ掘ってみる。なかなか面白い。面白いからもっともっとって

思ってると色んな肉がおいらを掴んで色々なところに連れてってくれる。外はこんなに面白かったの

かぁ。あの仔が出ていった気持ちがわかる気がした。

 

気がつくとおいらは皆とは違う場所にいた。首になにかを付けられて、最初は「あにすんだよー!」って

暴れたけど、そいつは取れなかった。その代りおいらは違う世界、前よりずーっと刺激的な場所で

人間に囲まれて生活するようになった。お店のドアの傍においら専用のテントがあって、その周囲なら

自由に歩き回れた。時々体のすぐ近くに人間の靴が降ってきて、慌てて逃げることもあるけど抱っこ

される回数は数段増えた。夜になると皆と同じ元の場所に帰るから、先輩達の会話にも参加できる。

 

最近はおいらの話しに皆が興味もっちゃって、質問ばっかりされるようになった。中には「おまえももうすぐ

ここから出ていく事になるなぁ」と言う先輩もいたけど、おいらはそんな気が無いから聞き流していた。

ドアの傍にはおいらだけではなくって、日変わりでいろんなイタチ兄弟もやってくる。そのときは皆で

走り回ったり疲れたら丸まって寝たり、人間と遊んでみたり、毎日が楽しかった。

 

そんなある日、あれは起こった。嘘のような話しが。。。。

いつも通り朝からドアの前に移動させられたおいらは、なんとか行ったことの無いドアの向こうに

行こうと企んでいた。首にまわった紐が邪魔で、あともう少しでそのドアの前まで行けるのに、行けない。

毎日イライラしていた。頭を左右に振って、紐を外したかったのになかなか上手くいかない。

夕べ秘策が閃いたので実行は今日。人間がやってくるのをじっと待つことにした。正面のドアが開いた。

いつも通りおいらはその人間の足にじゃれつく。案の定おいらは抱っこされた。 シメシメ!!

ちょっとの隙を見て人間の肩に飛び乗って、躊躇しないで見知らぬドアへとジャーンプ!!

おいらの体が宙を舞ってあと少しでドアだぁ!!って時に、おいらの体は誰かに掴まって、弾みで

おいらは人間と共々地面に叩きつけられた。

頭を強く打ったような気がしたが、あまりの出来事にパニックになりかけていた。人間のほうは

横になったまま動かない。そのとき、横たわった人間の背中からなにかが出てきておいらの周りを

くるくる回って、、、、気がついたらおいらは水槽の中に一人だけいた。

頭がズキズキ痛い。前足もなんだかすんごく重い。そーっと目を開けてみる。水槽の周りには

いつもご飯をくれる人間や、知らない人間の顔があった。

「気がついたみたいね、大丈夫?ブーちゃん?」。。。。。誰がブーちゃんなんや!? 、、、ん??

「をい、今なんて言ったんだぁ???」

「ブーちゃん、ごめんねぇ。心配したけど大丈夫か?」

「げっ! こいつおいらと一緒に転んだ奴だぁ。。。」

ハッとなって、回りを見まわしてみる。仲間たちが寝転んだり遊んだり、こっちを見てるイタチ兄弟も

いる。 恐る恐る声に出してみる「ブビィー」。 おいらの声に兄弟も安心したような顔を向けてる。

「あはははは、ブビィーだって。子供みたいな声で鳴いちゃって、よっぽど怖かったのかなぁ?」

ああぁ、怖かったさ。でも今ももっと怖いよ、、、おいら。 

だって、、、おまえら人間達の話す言葉が、、、わかっちゃうんだよぉ!!

「ブビィーーーーッ!」

 

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