困惑
ジョン二世が他界したときから、もう柴を飼うのは止めようとパートナーと話し合いました。二人で3匹の犬の世話は今はいいが、今後大変であること。柴が15年生存すると、我々夫婦は70歳近くになります。その年齢まで健康で日々の十分な散歩をこなすことができるかどうか。それに、数年後には土地区画整理により宅地が減歩され、柴を飼ってやれる庭がなくなること。かような理由で、死後10日ほどして、ジョン二世の住処であったログハウスを処分してしまいました。
でも、朝起きてジョンの姿を探す習性はなかなか抜け切れないものがあります。ドッグ・フードを持って庭に出たり、時として「ジョン!」と叫びたい衝動に駆られることもありました。そんな時、一冊の本に出会いました。
大ピットした「ハラスのいた日々」の著者である中野孝次著「犬のいる暮しー老人と犬」です。『現代人の心の空虚を癒す存在・・・。』『老年における生の伴侶として,生きてある一日一日をよろこびたのしませる仲間』と、著者は犬を論じています。
この本をパートナーも読みました。そして話し合った結果、庭に中型犬がいないと用心が悪い。という勝手な理由づけで、「飼おうか」と決定。犬種は当然柴。話は本当に早い。パートナーが獣医さん宅へ早速相談に。ブリーダーさんから「7月早々ならいいですよ」との連絡。6月下旬のことでした。
7月10日朝、獣医さんとその孫、それに私と3人で岐阜県のブリーダーさん宅まで車で。「どんな柴か」といい歳して胸が躍ります。はじめて見たその顔は先代の凛としたジョンと異なり、コケテッシュな顔立ちです。「熊五郎!」と言いたくなるような愛嬌のある顔立ちです。
喜んだのは私たちだけでありませんでした。ピンシャーもレイも朝起きれば真っ先に庭に。3匹で仲良く遊び、戯れます。我が家の一員になって3ヶ月ほどすると、一人前に吠えるようになりました。庭に再び活気が戻りました。ジョン三世の登場は、沈みがちな我が家の雰囲気を吹き飛ばしてくれました。やはり、飼ってよかったと。
「犬のいる暮し」の本に巡り合わなかったならば、きっとこんなに早くジョン三世の誕生はなかったでしょう。
「ハラスのいた日々」中野孝次著 文春文庫 400円
「犬のいる暮し」中野孝次著 岩波書店 1900円