キーパー・ロス1
 飼っているペットが亡くなり、飼い主の精神状態が不安定になることをペット・ロスと言います。高齢化社会を迎え、ペット・ロスに対するケアーが問題になっています。確かに、大変辛い日々を過ごすことになり、立ち直るまでに時間がかかります。これは人間側からの一面的な見方です。
 では、この逆はどうでしょうか。犬が飼い主(主人)を失った場合はどうでしょうか。こちらは問題にならないのでしょうか。主人を失った犬の行動は一体どのようになるのでしょうか。
 亡くなった飼い主をいつまでも駅まで出迎えに行く「ハチ」の話は余りにも有名です.。美談として映画にもなりました。「忠犬ハチ公」にキーパー・ロス(Keeper Lossと勝手に名付けてみました)は?
 信じられないくらい遠くから、元の飼い主の所まで戻ってきた話はいくらでもあります。犬の習性だけでは済まされないような気がします。

ピンシャーの行動
 父が入院してから、ピンシャーはいつも父のベットで休息をとっていました。同じ部屋に母がいるので心配はしていませんでした。でも、ベットで「クゥーン、クゥーン」となくことが多くなりました。しかし、所定場所以外で排尿・排便の粗相はありませんでした。
 入院してから2週間後、多臓器不全で父は他界しました。通夜、葬儀の関係でピンシャーを2日間近所の獣医さん宅に預けました。葬儀に翌日、お寺へ行き、一通りの行事を無事済ませました。早速ピンシャーを迎えに行きました。でも、私たちの顔を見ても少しも喜んでくれません。この間、「食事も水も全く口にしなかった」と、獣医さんから聞きました。抱かれようともしないピンシャーを無理して抱き、家に連れ帰りました。
 父母の部屋には線香や花や他の匂いが充満していたのでしょう。部屋中匂いをかぎまわり、脱糞するは、あちこち匂いつけするはでてんやわんやです。こちらも疲労困憊なので、後片付けをして早々に寝てしまいました。
 翌朝起きると、父のベットに脱糞が・・・。ベットは止む無く片付けてしまいました。それでも、廊下におしっこをしたりして、家族の手を随分煩わせました。あれだけ躾ができ、排尿・排便が上手くいっていたのに。「ピンシャー!」と叱り声をあげると、部屋の隅の方へ体を小さくして隠れてしまいました。
 庭で、再び用が足せるまでに結局2ヶ月かかりました。この時から、ピンシャーは獣医さん宅へ行くのを極端に嫌うようになりました。
 ピンシャーが外では水も大好きな肉も一切口にしないのは、これが原因だったのかもしれません。
屋外で水を飲み、肉を食べたのは、5月6日木曽三川で開催されたミニピンファンクラブ開催の中部オフでのバーベキューの時でした。約7年の歳月がかかりました。これらの行動を食欲不振、躾不足などと簡単に結論付けられないような気がします。
 今では、ピンシャー私たちの部屋を中心に生活しています。あれから随分の月日が経っています。それでも、時折父の愛用した本箱、椅子に愛着があるようです。今日でも深夜の用足しは、中庭ではなく必ずその部屋を通って北側の庭に出ます。父と生活したのはわずか1ヵ月半です。生後半年にも満たない時期でのことでした。

右上写真:コタツに入って暖をとるピンシャー
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