丸形ポスト
 今ではほとんど目にすることのない丸形ポスト。知らない人が多いと言った方が正しいのかも知れない。この丸形ポストができたのは1901年という。今年は丁度100年を迎える。長い歴史を持つ。悲惨な戦争も、バブルも見つめていた生き証人である。

 我が町西春町の駅前通にこの赤いポストが残っている。昔、この通りにあった西春郵便局前にあったポストが現在「みゆきや」という酒屋さんの前に設置されている。とは言っても、この駅前は沿道型区画整理事業が今年度より始まっている。このポストの右側では仮店舗の工事がすでに始まっている。このポストのある酒屋さんも移転という状況にある。となれば、このポストは一体どうなるのであろうか。
 駅前住民の「ワーク」では、このポストを残そうという希望があった。工事が始まった今日でも、その存続がどうなるか明確な回答は得られていない。古い町並みの愛着のある物が一つずつ消え去ってもそれは不思議ではない。残念至極である。

 我が家からこのポストまで100mほどの距離であるので、郵便物はいつもこの赤いポストを利用している。「丸形ポスト愛好会」という会があると聞く。その会員ではないが、愛着のあるポストであることには変わらない。この丸形ポストの数は恐らく年々少なくなっているだろう。日本全国一体いくつあるのであろうか。
 幼いときに、親から「郵便物を入れてきてくれ」と頼まれ、ポストの口まで手が届かずに、ひと苦労した。手が届くよう、早く大きくなりたいと思ったことのは、もうずいぶん以前のことだった。ポストと身体の成長は我々世代では関係深かった。

 この消えゆくかも知れない赤い丸形ポストに名前を勝手に付けた。「セイシュン・ポスト」と。地名の西春(にしはる)は「せいしゅん」とも読める。と同時に我が家のすぐそばに郵便局があり、そこにあったこの丸形ポストは私の青春時代を見つめていてくれたはずであると。
 今でこそ電子メールが花盛り。でも、今年もまもなく年賀状を投函することには間違いない。このポストにラブレターを投函すれば、恋が実るとか、就職試験願書をここに投函すれば、合格するとか、いつまでも「夢」のあるポストであって欲しいと。

 こう願うのは、私自身が思い出に耽る年齢になってしまった証左でもある。あえてこれを否定することはしない。でも、行動力は若いと自認している。昨夜9時からのNHKラジオで「丸形ポスト」が今年100年になること知った。消えゆくポストを写真に納めておこうと決意。今朝、犬も一緒にと、決行。この若さ!
 人はきっと言うであろう「何とミーハーな夫婦だ」と。でも、この地にまだまだ生活するんだから、思い出は大切にしたいと。町並みの一角に赤い丸形ポストが残って欲しいと・・・。(12月4日’01記)
 
工事中を横目で
犬とパートナー
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