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4.どこに注目したらいいのかな

左からヒメカンアオイの葉、根茎、花
種類を区別する上での観察項目は?
参考に「神奈川県植物誌1988」の記述を例に上げてみます。
カンアオイ属 Heterotropa Morr. et Decne. (内田・小清水・浜口)
常緑の多年草、根茎は地上近くを短くはい、節から根を出す。1節に数枚の鱗片葉と普通葉をつけ、葉は楕円形から卵形で、基部は心形となり、表面に淡色の模様を有する株もある。花は根茎の先端に1個つき、萼片は下半部が合着して完全な萼筒を作る。萼筒の内部には格子状の隆起線を持つものが多く、喉にはつば状の環がある。普通、雄ずいは12個(希に6〜10個)。花柱は6個(希に2〜5個)である。果実は熟するとくずれる。(分布など後略)
(3)カントウカンアオイ(カンアオイ) Heterotropa nipponica F.Maekawa
常緑の多年草で、株に特に強い香気がある。葉は卵形で、長さ8cm前後、基部は深い心形で、両側は時にやや耳状に張り出す。花は9〜10月に開花してそのまま越冬する。萼筒は暗紫色で、筒状の鐘形、上部はくびれず、長さは約1cm。萼筒内面の縦の隆起線は普通9本、希に12本で、下記の2種よりも格子の目が明らかに粗い。萼裂片は先の尖った三角形でやや波曲し、内面は粗渋で、多細胞性の短毛が生える。花柱の先は浅く2裂し、その基部に点状の柱頭がある。(分布など後略)
取り上げられているのは、
「根茎の形状と成長パターン。鱗片葉と普通葉の形状。花では萼片・萼筒・萼裂片、隆起線、つば状の環、雄ずい、花柱、柱頭の位置など。他に果実、開花時期、分布」などの特徴が取り上げられています。
種類を決定するには、花の形だけでなく、構造を詳しく調べること、根茎上の鱗片葉、葉、花の順序を調べること、開花時期を知ること:実になっても形が変わらないので花と蕾が同時に見られる時期がよい、が必要です。葉や花の表面の毛を顕微鏡で調べることなども時に必要です。
それでも個体や集団には変異があり種類を特定するのは難しく、生育地(分布)が1つのよりどころになることもあります。
特に花の細かい特徴:花の正面、側面、ガク筒の内部、雄しべ・雌しべの形や数など、が重視されてるので注意して観察する必要があります。葉の形・表面のようすなども種類によっては特徴があります、葉の模様は同一種でも個体差がります。葉の形は充実した株の葉でないと特徴が出ないこともあります、また同一株の葉でも変化があり捉えにくいです。
*最新版である神奈川県植物誌2001では、カンアオイを含めたウマノスズクサ科の担当者が城川四郎氏に代わり、記述も多少書き換えられています。神奈川県内に分布する種類はフタバアオイ、ウスバサイシン、タマノカンアオイ、ランヨウアオイ、カントウカンアオイ、オトメアオイ、ズソウカンアオイの7つで1988年版と変わりませんが、オトメアオイの別タイプとして1988年版に説明されていたナカイカンアオイ=大磯方面に分布=の記述は無くなりました。オトメアオイの生育パターンの特殊性は2001年版で否定されています。
カンアオイの仲間の形態や生態のさまざまを、根茎、普通葉と鱗片葉、花の3つに分けて述べてみましょう。
根茎
カンアオイの仲間の茎は地中または地表をはい、途中から根を出すので根茎と呼ばれます。地下茎の1種です。根茎には、ほかに普通の葉(普通葉)、鱗片葉(鱗片)、花がつきます。
成長のパターンは種によって異なりますが、多くの種では前年に2〜3枚の鱗片葉に包まれた芽が作られ冬を越します。芽の中には、なか表に2つに折りたたまれた、1〜3枚の普通葉と、根茎の先端に蕾が準備されています。
葉、鱗片、花が落ちた跡は形が異なり、根茎にその跡が残っていきます。普通の春咲き種で、1年分の根茎を見ると本の方から、数個の鱗片葉跡、1〜3個の普通葉跡、花跡の順序に並んでいます。
成長パターンが異なると葉、鱗片、花の形成順序が変わり、根茎に残される跡も普通のものと異なった順序になります。そのため、根茎の成長パターンが分類に取り上げられることがあります。
花は根茎の先端に着くため、花を付けた根茎はそこで終わり、代わりに脇芽が伸び新しい根茎(枝)をつくります。

これは常緑のフタバアオイの仲間の根茎です。初冬の根茎で、すでに第2葉の腋芽が大きな越冬芽になっています。この中には2枚の葉と花が入っている事でしょう。

落葉性のフタバアオイの根茎です。初冬の根茎で、常緑性のものと基本的には同じです。

越冬芽の部分を拡大してみました。根茎の先端だった、今年の花の跡が見られます。来年は第2葉の腋芽が新しい根茎(枝)として成長します。
葉や鱗片の着くところを節(せつ)といい、節と節の間を節間と言います。フタバアオイ
Asarum の仲間の根茎や、カンアオイの仲間 Heterotropa でもヒメカンアオイのグループでは、比較的長い節間が見られます。また、カンアオイの仲間
Heterotropa の根茎には節間が極端につまったものが見られます。
*節という字を”ふし”と読ませ、根茎の1年分を指すことがあります。
カンアオイ Heterotropa の仲間は春に葉の展開と共に開花するものと、夏から秋または秋に開花するものがあります。春に開花するものの成長パターンは、
フタバアオイ Asarum の仲間と基本的に同じです。

左:Heterotropa の節間のつまった根茎、前年の葉の葉柄が枯れて残っている。
右:ソノウサイシン(ヒメカンアオイの園芸種、Heterotropa)の根茎、初冬のようす。
左の写真の種は節間がつまっているが、成長パターンはフタバアオイと変わらない。株に勢いがあったので第2葉の脇芽だけでなく、第1葉の脇芽も、大きな越冬芽になっている。来年の春には2本の根茎がのびてゆく。
Heterotropa でも花が咲いた根茎は、芯止まりとなり、腋芽から伸びる新しい根茎に切り替わるようすは、 Asarum
と同じです。
右の写真のソノウサイシンは少花性でこの年に花をつけなかったため、根茎の切り替えが無く、今年の根茎の先端に越冬芽ができています。
ソノウサイシンは別名ツルダシアオイ、ツルダシサイシンなどと呼ばれ、葉から先の根茎が写真のように長く伸びて越冬芽をつける。写真の越冬芽は大きいので春に、2〜3枚の普通葉と花を出すことが期待される。花が咲いた根茎はそこで終わり、新しい根茎が腋芽から伸び出す。
このように葉の展開と共に春に花を咲かせる成長パターンのものは、節間の伸びた根茎でも節間のつまった根茎でも、理解しやすい。根茎上には鱗片葉→普通葉→花という順序に並びます。
これに対して、夏から秋に開花する種や秋に開花する種における根茎の成長パターンは、とても変化に富んでいて私にもまだ充分理解できない部分があります。

上の写真は、コシノカンアオイ Heterotropa の同じ越冬芽の成長過程です。右の写真は12月のようすです。コシノカンアオイは越冬芽の展開が早いことがわかります。蕾は大きくふくらみすぐにでも開花しそうですが、このまま年を越します。
コシノカンアオイは春咲き種の仲間です。春咲きの仲間では、その年の根茎に本の方から数枚の鱗片葉、1〜3枚の普通葉、花の順序につくことがわかります。
古い根茎には、鱗片葉、普通葉、花の枯れ落ちた跡が異なった形の跡として残っています。

上の2枚の写真はカントウカンアオイ Heterotropa の12月のようすです。花が咲いているように見えますが、開花は9〜10月ですから正確に言えばすでに未熟な果実です。カントウカンアオイは秋咲き種の仲間とされます。花の本には、小さな普通葉が見えていますが葉も花もこのままの状態で冬を越します。
カントウカンアオイはコシノカンアオイよりさらに越冬芽の展開時期が早く、その上花まで開いてしまいます。しかし、葉の本格的伸長は春になってからです。左の写真の花をつけている短い根茎は越冬芽を包んでいた大きな鱗片葉がついていたもので、来年分の根茎です。
この場合カントウカンアオイの根茎上の鱗片葉、普通葉、花の順序は春咲き種と変わりません。このように見れば、カントウカンアオイの秋咲きは”超早咲きの春咲き性”と言えそうです。
秋咲きの仲間がいつもこうならば理解は楽なのですが、カンアオイはそのような枠になかなか収まってくれません。カンアオイの生長パターンは融通無碍というか勝手気ままというか、観察するほど私には理解しがたいパターンが出てきます。
上右の写真の葉1と葉2の間に鱗片葉が見えています。この鱗片葉はどう解釈したらよいのでしょう。

上の2枚の写真は、ヒメカンアオイ秋咲き種 Heterotropa の12月のようすです。上左写真のように蕾を含む芽(越冬芽)は、鱗片葉が開き花を咲かせます。葉は小さなまま冬を越し春に伸び出します。開花は10月だったので、写真で花のように見えるのは幼い果実です。
ここまでは1つ前に出したカントウカンアオイと同じ成長パターンですから、
”超早咲きの春咲き性”と言えそうです。根茎上の順序も鱗片葉→普通葉→花となります。花をつけている芽(越冬芽)は本来、来年用の根茎です。
上右写真の芽は蕾を含まない芽(越冬芽)です。この芽はこのまま冬を越し春に葉が伸び出してきます。
この写真をよく見ると葉柄の付け根に、花の落ちた跡があります。2本の葉柄の内、右側の葉柄は10月に左写真と同じように花がついていたのですが、その後枯れ落ちてしまいました。その時、花だけでなく幼い葉も鱗片葉もそれらをつけていた短い根茎も共に枯れ落ちてしまいました。したがって、葉柄の本にあるのは、花跡ではなく根茎跡というのが正確です。左側の葉柄は10月に花のない小さな越冬芽をつけていましたが、なぜか枯れ落ちてしまいました。したがってこれも花跡ではなく根茎跡です。
右側写真の葉柄の葉は、今年の春に花の無い越冬芽から伸び出したものです。10月に咲いた花と根茎が枯れ落ちなければ、根茎の跡は鱗片葉→普通葉(ここまでが1年分)→鱗片葉→普通葉→花跡(この部分が枯れ落ちた)となります。しかし花などが枯れ落ちたため根茎に残る跡は鱗片葉→普通葉→花跡(根茎跡)となり、1年分が消えてしまったパターンになります。
そして春に伸びる芽(越冬芽)は、この年の葉を包んでいた1段下にある鱗片葉跡の腋芽から作られています。とても不思議な成長パターンだと思います。
オトメアオイの成長パターンは今までさまざまに言われてきました。「花と葉は1年交代に出る」「葉は1年おきにしか出ない」「基本的に秋咲きの性質を持ちながら非常に早く咲くだけ」などなど。
参考:神奈川県植物誌2001・城川四郎の記述、オトメアオイ・・・「本種は基本的に秋咲きの性質を持ちながら非常に早く開花する・・・」
オトメアオイの成長パターンをどのように表現するかは、どこを基準にするかによるのでしょう。以下の記述は私のわずかな観察の結果です。

上の2枚の写真はオトメアオイの12月のようすです。花を包んでいた鱗片葉が枯れ落ちてしまって有りません。左写真の左下の花は、花と共に鱗片葉に包まれていた、鱗片葉を持つ越冬芽がだいぶ大きくなっています。同じ写真の左上の花と右下の花は普通葉も越冬芽も持ちません。
右の写真は越冬芽の位置が花より1段下にあります。
このオトメアオイの1年分の成長パターンは鱗片葉→普通葉→鱗片葉→花となります。越冬芽は花を包んでいた鱗片葉の腋芽から作られることも、葉を包んでいた鱗片葉の腋芽から作られることもあります。また越冬芽には常に葉だけが含まれ、花が含まれることがありません。
オトメアオイの花は、”カントウカンアオイの花のように翌年の花が繰り上がって咲く”と見ることはできないと思います。オトメアオイの花は、今年の葉を付けている根茎の先端に作られたもので、今年の花と解釈するのが自然です。
カントウカンアオイ開花株の葉をつけている根茎は、前年に咲いた花で芯止まりとなり、葉の腋芽から新しい根茎がつくられて鱗片葉、普通葉、花がつきます。この新しく作られた根茎などは越冬芽で翌年の成長分です。カントウカンアオイは、この越冬芽から花だけが早めに伸び出すので、オトメアオイの花のように今年の根茎についているのとはちがいます。
下の2枚写真はオトメアオイです。解説は省略、もし興味があったら解釈してみてください。写真はオトメアオイの初冬の根茎、今年の花は受精せずに落下した。大きな越冬芽の右には、今年の花が落ちた、短い根茎が見えている。葉柄の葉の表側(向軸側)には溝がある。


下の写真はオトメアオイとして我が家にある別の株です。秋に開花した根茎の1月の状態です。

いわゆるオトメアオイとは成長パターンがちがうようです。来年の葉は花の下にあり、鱗片葉に包まれることなく裸です。鱗片葉まで落として花を咲かせているのでオトメアオイのように見えますが、今年の鱗片跡、来年の葉、花までは来年用の根茎と見たほうがよいように思います。今年の根茎は前年鱗片跡、葉柄(今年の葉)、前年花跡までとなります。根茎には鱗片葉→普通葉→花という順序に跡が残ります。
オトメアオイの変種にズソウカンアオイがあり、ズソウカンアオイはこのような成長パターンだと聞きます。私はズソウカンアオイを見たことが無く、不勉強で、この株がズソウカンアオイだと決められません。
*オトメアオイの変種にはもう1種類、ナカイカンアオイがあると言います。この種に関しては神奈川県植物誌1988年版におおよそ次のように書かれています。「ナカイカンアオイ(仮称、オトメの変種)1984内田・小清水。大磯丘陵のオトメカンアオイを区別した、ガク筒のくびれが少ない、葉や花がやや大きい。」ナカイは大磯西北の地区の名称と思われる。なを神奈川県植物誌の最新版である2001年版はナカイカンアオイを取り上げていない。
普通葉と鱗片葉
普通葉は一般に言われる葉のことです。葉は長い葉柄と葉身に分かれます。葉柄の根茎側には溝があります。日本産のフタバアオイの仲間とウスバサイシンの仲間は秋の終わりに葉が枯れます。カンアオイの仲間
Heterotropa は1年中葉をつけています。
葉の形や模様は同じ種類のカンアオイでも変化に富んでいます。下の写真のコシノカンアオイとタマノカンアオイは同一個体の葉の変化、ランヨウアオイは別個体の葉のちがいです。葉の先の尖り方、葉の元の開き具合や耳状の飛び出しなど、変化が大きく分類には使いにくいことがわかります。
*葉は有毒成分を含むので薬用には使いません。
 コシノカンアオイの葉2態
ランヨウアオイの葉2態
タマノカンアオイの葉2態
鱗片葉(鱗片)は普通葉が小型化したもので、伸長前の根茎や展開前の葉、花を保護する役目を持っています。形は小形の普通葉のようなものから三角形の膜状のものまで、種により位置により変化が見られます。
根茎のところで見たコシノカンアオイの写真をもう一度、見てみましょう。

左の写真はコシノカンアオイの越冬芽です。左右の写真は同じ芽の成長過程です。右の写真は12月中旬のようす。すでに越冬芽は展開して、蕾が大きくふくらんでいます。鱗片葉1は小さな三角形、鱗片葉2と3は普通葉と同じ形です。鱗片葉4は普通葉と蕾を包んでいた薄く大きい舟形の鱗片葉です。
鱗片葉は越冬芽が展開し葉が伸び花が開く頃に枯れ落ちてしまいます。しかし、秋咲きの種類は小さな葉を守るためか春まで鱗片葉が残るものもあります。
花
カンアオイの仲間の花は、どれも花弁が無くガク片3枚、雄しべ12本、雌しべ6本が基本のようです。一部の種は雄しべの外側に花弁が退化したと思われる棒状の突起を3本持ちます。また、雄しべや雌しべの数を減らしている種もあります。
ガク片の形や表面のようすも種によって、大きく異なるものがあります。私はカンアオイを収集しているわけではないので、適当な写真がありません。別のサイトで見てください。写真が撮れたら追加します。

3枚のガク片の下半分は合着してガク筒と呼ばれる筒状の構造になっています。ガク筒部分の合着は、カンアオイの仲間 Heterotropa
では完全ですが、ウスバサイシン Asiasarum の仲間ではガク筒の上部は合着しませんし、フタバアオイの仲間 Asarum
では筒状に見えても接しているだけで合着せず偽ガク筒と言った状態です。
ガク筒の形にも幅広い変化があります。ガク筒の長い短い、まっすぐ曲がっている、くびれがある無い、太い細い、ガク筒の口が広い狭いなど種の特徴になっています。残念ながら私のところには個性の強い種が無くこれも写真で紹介することができません。
花を分解してみましょう。正確な種の名前を調べるにはこんな観察も必要になります。
花を2つに割ってみました。3枚のガク片とガク筒の境目に、はっきりした区切りがあります。この構造を口輪とか鍔(つば)と呼び、カンアオイの仲間
Heterotropa の特徴です。口輪はウスバサイシンの仲間やフタバアオイの仲間にはありません、ガク片とガク筒が直接つながっています。

ガク筒の底には6本の雌しべの子房が合着した柱状の構造があります。子房の上には6本の花柱が環のように並んでいます。花粉を受ける柱頭は、花柱の先端ではなくやや下がった外側側面にあります。花柱の柱頭より上の部分は細くなり、縦に割れ目が入っています。この部分の役割は不明ですが、形や長さ、割れ目の入り方など分類の基準にすることがあります。

雄しべは子房の途中に6本ずつ2つの環に並んでいます。雌しべと向き合っているのが外側の雄しべ、写真の種では内側の雄しべより背がやや低い。
子房の中にはたくさんの胚珠があり、受精するとこれが種子になります。
ガク筒の内側の壁には縦横に格子状の隆起線が見られます。この格子の疎密や高低も種によって差があり、特に縦の隆起線の数が分類の基準にされています。

隆起線を比べてみましょう。カントウカンアオイは隆起線が高く、写真では縦の隆起線が9本観察できます。ヒメカンアオイ秋咲きは隆起線が低く、写真では縦の隆起線が20本観察できます。オトメアオイの隆起線は両者の中間的な感じで、写真では縦の隆起線が16本観察せきます。
カントウカンアオイ
ヒメカンアオイ秋咲き
オトメアオイ
開花時期のちがい
春に葉が展開すると共に開花する春咲きの種、夏に開花する種、秋から初冬にかけて開花する種など、種によって開花時期が決まっています。
ところが、不思議なことにヒメカンアオイには普通の春咲きの集団以外に秋咲きの集団があります。もちろん野生の集団でのことです。なぜこのようなことになっているのか私にはわかりません。秋咲きの集団は春咲きの集団と交雑することができないのですから、別種とするの方が自然なように思われます。
私のところにも単にヒメカンアオイとして入手したもので、秋咲きのものがあります。入手したのは、山取品ではなく栽培品なので、秋咲きのものも区別無く古くから栽培されているのかもしれません。
ヒメカンアオイの春咲きと秋咲きの写真:12月のようす

春咲き種:蕾を含んだ大きくふくらんだ芽がついています。

秋咲き種:この株は10月に開花しました。受精した花は形が変わらなくても雄しべ雌しべの機能を失い、すでに未熟な果実です。受精しなかった花は枯れています。蕾を含まない芽はまだ展開していません。
原産地での開花時期と栽培条件での開花時期は、厳密に一致するとは限らないので開花時期のとらえ方は一層難しくなります。
「根茎」、「普通葉と鱗片葉」の項で取り上げた、コシノカンアオイの12月の状態は横浜で観察したものです。原産地である新潟のコシノカンアオイはすでに雪に埋もれていることでしょう。雪の下でも芽が展開して蕾が大きく生長しているのか、まだ固く鱗片葉に包まれているのか興味はありますが確かめるすべがありません。
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