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春の息吹

                                 春の装い・行く春


綿毛に包まれたコウヤボウキ*の新芽2003.3.3.

     

寒い冬を過ごした後の春は何か待ち遠しく、
春の訪れのわずかな足音をみつけると、とても心が満たされた気がする。

比較的暖かい、雪国から見れば冬がないような横浜でさえ、
春はうれしい。まして冬中、灰色の雲に覆われ、
山の緑が無くなる北国ではなおさらであろう。

みどりの色濃く残るこのあたりの冬でも、
春の訪れを教えてくれる淡いみどりの新芽は別である。

この庭では、冬中ぽつりぽつりと咲いていた、
ツバキやクリスマスローズが春を迎えると、いっそう賑やかに咲いてくれる。
しかし、春の訪れをいっそう強く感じさせてくれるのは、
黄金色に輝く一輪のリュウキンカや、
落ち葉の中から頭をもたげるユキワリソウなどの早春の花と共に、
木々の小さな新芽である。

花が植物によってちがうように、新芽もまたそれぞれに異なった姿を見せてくれる。
コウヤボウキは、小さな芽を、柔らかい綿毛でいかにも大事そうに包む。
クロモジは、春のあまり強くない光さえ透き通るような、
淡い黄緑色の大きな芽を思い切りよく開く。

常緑のツルマサキの芽は、
小さいくせに、どこかしっかりした感じで、これから何年も生き続ける
自信を見せる。

*コウヤボウキ:地ぎわから細い多数の枝が叢生する1mたらずの木。
秋に葉が落ちた後、刈り取って箒にしたという。

                 


コナラの幹に張り付いたツルマサキ*の新芽2003.3.14.


日だまりに咲くツタカズラ*2003.2.27.


白梅:白加賀2003.3.3.


バイカウツギ2003.3.14.

*ツルマサキ:地をはったり、木にまとわりついた頃は葉が1cmたらず。
良く日の当たるところに枝を伸ばしだすと、
マサキと区別が付かないほどの大きな葉と太い枝に大変身。

*ツタカズラ:ヨーロッパの雑草とか。我が家でもすでに雑草的な振る舞いも。

           

         

春の装い


ヒュウガミズキ2003.3.26.

   

ヒュウガミズキは、トサミズキと同属だが、ずっと小型。
叢生する細い枝に、溶けてしましそうな淡いクリーム色の花を沢山つり下げる。

横浜のソメイヨシノは、3月の末から4月始めに満開を迎える。
枝という枝を淡いピンクに染め上げていた花も、一夜の風か雨で花びらを散らし、
地に散り敷いて短い花の時を終わる。

早春のほんの短い間に花を咲かせ、実を付け休眠する、
スプリング エフェメラル:春のはかない命・春の妖精、
と呼ばれる一群の草花がある。

春の木々の花も一瞬の輝きを残して、次々とバトンタッチをしていくものが多い。
トサミズキ、ヒメウツギ、ツクバネウツギ、ヒュウガミズキ、
シロヤマブキ、ヤマブキ、バイカウツギ、ヤブデマリ、
エゴ、ウツギ、などなど。
どの木も枝枝を覆い尽くすほど花を付けるが、あっけないほど早く散ってしまう。

 在原業平が詠んだ、
よく知られた次の歌の心がわかるような気がします。

 「世の中に たえてさくらの なかりせば 春の心は のどけからまし」

待ち遠しい、でも咲けばあっという間に散ってしまう花。
さくらのせいだけでなく、
なにか春は心落ち着かないことです。

寒さが遠ざかり、冷たさがすっかり抜ける頃になると、乾いた風から、
いつの間にか、暖かく湿気を含んだ柔らかな風にかわっている。

遠くの木々の輪郭、山々の稜線や夜の月が、どこか鋭さを失い、
あわあわとしてくるのも春。

朧:おぼろなどという言葉も思い出され、秋と並んで物思う頃でも有るようです。
   

           

ヒイラギナンテン2003.3.3.


ウマノアシガタ*2003.4.27.


マメザクラ2003.4.4.


ツクバネウツギ2003.4.27.


ウンナンオガタマ*2003.4.25.


ミツバツツジ2003.4.13.

*ウマノアシガタ:金鳳花キンポウゲとも呼ばれる。高山植物の、
ミヤマキンポウゲがよく知られているがこちらは平地の植物。

*ウンナンオガタマ:モクレンに近縁の中国産の木。中国には、モクレンの
仲間が多く自生している。ウンナンオガタマには、
カラタネオガタマのような香りはない。

     

行く春


バイカウツギ2003.5.1.

     

   

植物の世界には、つる植物という独特の生活スタイルのものがある。
自分の茎では直立できず、他の植物の茎を登り日の当たるところへ出ると、
枝葉を広げ花を咲かせ実を付ける。

茎に振り向ける栄養が少なくて済み合理的といえるが、悪く云えば
ずるい生活スタイル。しかし、この生活スタイルは成功したようだ、
ただし頼るものがなければ成り立たない。

この庭にも、テッセン、カザグルマ、スイカズラ、テイカカズラ、
ツタ、ヒメイタビ、イタビカズラ、サルトリイバラ、アケビ、
ミツバアケビ、ムベ、ヒヨドリジョウゴ、ツルマサキ、キズタ類、
サネカズラ、ヘクソカズラ、フウトウカズラ、カニクサ、
クマヤナギ、カモメズル、ヤマノイモ、ハンショウズル・・・、
植えたもの、自然にはえてきたものなど、たくさんのつる植物がある。

春に咲く、つる植物を4っつほど取り上げてみた。
小さな庭で、つる植物は扱いにくい。切りすぎれば花を付けず、
切らなければ他の木を覆ってしまう。

    

さわやかな風と青葉の頃には、日の光も力強さを増し、
気温の高い、湿気の多い日が混ざりだす。
いかにも春らしい、明るくさわやかな日々は長くはない。

一雨ごとに、木の葉が茂り、下草もいつの間にか木々の根本を、
すきま無く覆う。
日の光の強まりとは逆に、庭の日だまりが無くなり日陰の庭となる。

待ち遠しかった春は、駆け足で過ぎてゆく。

薄青色のユキアジサイが色付くと、まもなく梅雨入りである。
 

                      


カザグルマ*2003.5.4.


テイカカズラ*2003.5.16.


雨に濡れ風に揺れるウツギ2003.5.16.


スイカズラ:忍冬2003.5.20.


テッセン*2003.5.28.


シモツケ2003.5.28.

*カザグルマとテッセン:よく似た植物。カザグルマは日本産で花弁が8枚。
テッセンは中国産で花弁が6枚。

*テイカカズラ:藤原定家と式子内親王の悲恋物語に基づく名。定家は、
死後この蔦葛になり、内親王の墓にまとわりついたという。

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花のある窓2003.5.11.