チロ日記96
最近わたしは少々うんざりしています。主人は名所旧跡めぐりだとか、あじさい巡りだとか言って、主人の自慢話をわたしにずっと書かせているからです。わたしが登場しないお話なんてちっとも面白くありません。ところがいつもにぶい主人でもわたしの心が通じたらしく先日ひょっこり千葉の実家に帰ってきました。そして夜遅い時間にも関わらず、わたしの頭や背中や咽をいっぱい撫でてくれました。翌朝主人は相変わらずの早起きでしたが、散歩に行く前に、居間の窓側に座り込んでひとしきり考え込んでいました。そしてやにわに庭に下りてわたしを抱き上げたのです。庭の片隅には紫色のあじさいの花が咲いています。そのそばにわたしを下ろすとおすわりを強要したのです。主人は多分最近わたしなしであじさいの花をとりまくっていたので良心の呵責にさいなまれていたのでしょう。わたしも始めは意地悪をして抵抗しようと思ったのですが、主人の気持ちも察して花の横に座ってあげたのです。主人のこの日の散歩は、何故かあじさい探しの散歩のようでした。千葉の実家の近くにも実に見事なあじさい群があります。あじさいもわたしと一緒に写ってよりいっそう輝くというものです。今回はわたしの庭と近所に咲くあじさいを見てください。95話であじさいはもうおしまいと言っていましたが、わたしが主役のあじさいを最後にもう一度見ていただきたいのです。