アピ丸の憂鬱・・・

第二章  −リーダー−

 オレはアピ丸、まだ子供だ!

 

 薄暗く小汚い水槽に放り込まれ はや一週間。あの事件以来アピ子はすっかり臆病になり震えながらオレを見ることもできないでいる・・・。

 

 さすがに良心の呵責に耐えかねアピ子に誤りに近づこうとするが、アピ子はビクッ!と逃げていく・・・。

 ちょっとセンチな気分になるが仕方なかろう。それもこれもあのニンゲン共が悪いのだ!許せアピ子・・・。

 

 あのニンゲン共もかなりショックを受けたらしく、今度はオレたち二匹を比較的大きな水槽に入れ換えた。

 

 この水槽、まぁ前の水槽よりは遙かにマシだ。美しい草が繁茂し、オレたちの寝床もちゃんとある。アピ子もずいぶんと気持ちが落ち着いたようだ。

 しかし、気に入らないのがこの水槽に前から住んでいる雑魚共だ!

 このオレ様が来てやったのに挨拶も無しに勝手気ままに泳いでやがる・・・。

 オレはざっとこの雑魚共を確認した。何故ならば、オレ様がこの水槽のリーダーになるためだ!

 

  ・・・ネオテトが20匹・・・コリが3匹・・・あとオレの国では見たこと無い魚3匹か・・・フンッ、大したこと無いな・・・。

 

 まず、オレ様より明らかに弱そうなネオテトに声をかけてやることにした。

 「オイ!オレはアピ丸王子だ!!お前らのボスはどこのどいつだ!!」

 「貴様!それが他魚様にモノを聞く態度か!」ネオテトの群の中の1匹がこのオレ様に向かってそう一喝した。

 なんと!この水槽ではアピグラ帝国の皇子もただの魚でしかないらしい・・・。

 

 何とも悔しいが仕方ない、コイツらのボスを倒してオレがリーダーになるまでの辛抱だ。

 「いや、すいません。なにぶん新米なモノで・・・キミ達のボスは誰なんでしょーか?一応挨拶をと思いまして・・・。」

 「よろしい!はじめからそういう口の効き方をすればいいのだよ。

 コホンッ、さて、お訊ねの我々のボスはあそこに居られる“コリ将軍”である。我々は“コリ将軍”のことを『オヤビンさん』と呼んでいる。

 オヤビンさんは大変心の広いお方だ。お前のその自分勝手な口の効き方もきっと許して下さるだろう。」

 

 なるほど、あの3匹のコリのうちの一番体格のいい奴がここのリーダーか・・・そういえば、他のコリとは紋様が違うな・・・フフフ、しかし大したことはなさそうだ。

 

 オレはあの異国の3匹についても聞いてみることにした。

 「あぁ、彼らはアナバン大河から来たというチョコくん達だ。最初は異国の言葉に訳が分からなかったが、最近彼らもやっと我々と同じ言葉が話せるようになってきたところだ。彼らも言葉の違う魚たちの中に来てずいぶんと寂しい思いをしたらしい、キミもなるべく友達になってやってくれたまえ。」

 

 そう言い残すと彼はさっさと群の中に戻ってしまった・・・。

 

 オレがそんなこんなでやっとのことで情報を聞き出している間にアピ子は他の連中達とすっかり仲良くなっている・・・なんて社交的なんだアピ子!

 

 これからは彼女に情報を集めさせようかと目論む今日この頃であった・・・。

 

 まぁいい、まずはコリ将軍だかオヤビンだかしらんが、あのコリをやっつけなければ・・・。

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