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Page 23
 チーちゃんが4年に1度しかやってこない命日を迎えたあと、雑誌にチーちゃんの里親募集の記事が載った。そして記事の子猫がほしいという問い合わせもあったが、とても本当のことは言えず、すでに里親が見つかってしまったとお話した。

 ポッカリと穴のあいた心を癒してくれたのはやはりペペの存在だった。さりげなくそばにきてジーっと顔を見たりする。その姿を見るたび、チーちゃんの元気な姿が思い出されてならなかった。ペペに愛情を注ぐことで、悲しみは少しずつ癒されていった。

 季節は変わって、夏休みも間近な頃、またしてもマンションの1階の植え込みの中に風邪をひいた子猫を見つけてしまった。そしてその子はまだ生まれて1ヶ月くらいの小さい体で、必死に助けを求めて自分で植え込みの中から出てきたのだった。
 風邪の状態はかなり悪く、熱があって鼻はズルズル。すぐに獣医に連れて行ったが、獣医の口から出た言葉は厳しいものだった。風邪は風邪でもカリシウイルスによる風邪で、薬もないのでこの子の生命力に賭けるしかないと、、、、、。最初に苦い思いをしたリリと同じ病気だった。まだ離乳食すら食べられない子猫なので、母猫がいるのならともかく、栄養をつけてやることすら容易なことではない。気休めにしかならないと言われつつも水薬をもらい、帰りに猫ミルクを買って早速与えてみるが、食欲がないらしく嫌がって飲もうとしない。夏なのでせめて脱水にならないようにと、鼻に水をつけてはなめさせるという埒のあかない水分補給を繰り返した。

 こうやって数日が過ぎていった。病状は良くも悪くもならずという感じだったが少しずつやせているように思えた。そして弱々しいものの、時には子猫らしくじゃれついてりしてみせることもあった。

 ある日の夕方、いつもより機嫌がよく少しおもちゃで遊んだりしたあと眠ってしまったので、静かにその場を離れて夕食を摂っていたら、突然叫び声が聞こえた。バタバタと暴れている様子だった。すぐに駆けつけてみたが、子猫は苦しそうに白目を剥いて手足を伸ばして口からはだらだらとよだれを出していた。息をするのも苦しそうで、すぐに支度をして獣医に連れて行ったが、絶望的な状態だった。「これ以上何をしてやってもこの子を苦しませるだけです。」とはっきり宣告される。
 再びつらい選択をしなくてはならなかった。
 また、生きることの厳しさ、つらさを教えられた。

 帰った後、泣きながら乾いてしまった食事の残りを口に運ぶが、味がしない上に喉を通るときに息が詰まりそうだった。この日のメニューはカレーライスに鳥の唐揚。その後同じメニューが食卓に並ぶたびに百合ちゃんのことを想いだす。
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