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 舞はどんどん大きくなり、一見おしとやかに見える猫に成長したが、その姿からは想像できない豹変振りを見せる季節がやってきた。そう、「恋の季節」である。
 普段はお上品に鳴いている舞がいきなりどら声を出すようになり、その様子に反応してペペが舞に馬乗りになる。去勢しててもその本能だけは残されているらしい。
 2匹そろってそわそわして夜も寝ないありさまなので、舞も避妊手術を受けさせることにした。
 久しぶりに病院に連れて行かれる途中、舞は今までに聞いたこともないような大声を出して叫びまくった。車の外を歩いている人が中を覗き込むくらいの大声だった。若干恥ずかしくもあったが、これが子供の頃に味わった恐怖からくるものなのかと思うとやりきれなかった。猫は物覚えが悪いと言われるが、決してそんなことはないと思う。
 舞はまずお腹の毛をそられた。そして麻酔をかけられて仰向けに寝かされ手術は始まったのだが、お腹の中がややこしいことになっていたのか、なかなか子宮と卵巣が取り出せなくて、そのうち麻酔が切れてきてしまった。そしてなんと、まだお腹の上に腸が乗っかっているというのに、舞はむくっと頭を持ち上げて起き上がろうとしたのである。もう1度麻酔をかけられてまた眠ってしまったが、ちょっとはらはらドキドキだった。それにしても気の強いこと。
 ともあれ無事に手術を終えて、麻酔が切れるのを待って腹帯をしてもらって舞は家に帰ってきた。帰り道はまだ少しボーっとしていたので、大声を出すこともなく静かな帰宅だった。
 帰ってからもしばらくボーっとはしていたが傷が気になるらしく、腹帯の上から傷のあたりをなめたりしていた。ゆっくり休ませるために部屋の戸を閉めて舞を一人ぼっちにしてやったが、ペペもいつもと違う様子の舞が気になるらしく、閉められたドアの前にいつまでも座って中の様子をうかがって心配そうにしていた。体は大きくても結構心配性なのだ。
 一晩たつと舞はいつもと同じように歩いていたし、食欲も旺盛で驚くほど回復が早かった。
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獣医さんお手製の腹帯

うちではおみくじ虫と呼んでいました。