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子猫が来てからの毎日は、慣れないネコとの生活に上へ下への大騒ぎの連続だった。
まず、「ネコのツメを切る」という知恵のなかった私たちは日々とがったネコのツメの餌食と
なった。無防備にテレビを見ていようものなら背後からいきなり背中に上ってくる。もちろん
遠慮なくバリバリ爪を立てながらである。おちおち座ってもいられない。
頭まですっぽりと毛布にくるまってテレビを見る家族。まるで「ねずみ男」だった。
今考えるとこっけい極まりないのだが、そのときはほかに方法がなかった。
最初は背中で勝手に遊んでいるが、、、
放っておくと相手をしろとばかりに顔面に
ちょっかいを出してくる。
家の中では小さな王様だった。
人間たちは痛い目にあいながら、そして「遊び相手をする」という強制労働に服しながら少しずつ「ネコの習性」なるものをビシビシと叩き込まれていくのだった。

痛い目にあったのは何も人間ばかりではない。母が、「妹のように」大事にしていたつぼがあった。このつぼは引っ越しをするときにも大事に大事に運ばれ、立派な花台の上にレースの敷物を敷いていかにも大事そうに飾ってあったのだ。ところがこの敷物のために、ある日外出から戻った母は大変ショックな光景を目にすることになる。かわいそうなつぼは落下して無残な姿になっていたのだった。まだ体が小さかったペペは高いところにあがろうとして、精一杯のジャンプをしてみたものの、不幸なことに花台の上のレースに前足だけが届いてしまった。ツメはレースに引っかかり、ペペは前足だけで必死に縁につかまって宙吊り状態に、、、  慌ててもがいたところがつぼと共に落下してしまった。そのときは大きな音がしたとか下敷きになったとかでペペもかなりビックリしたのだろう。帰ってきた母の目からのがれるようにテーブルの下でうずくまりジーっと様子をうかがっていた。こういういたずらのたぐいは現行犯逮捕が原則である。母には恨み言のひとつも言う権利はなかった。泣く泣くかけらを拾い集め、「アロンアルファ」で丁寧に修復していったが、もちろん元通りにはならない。なんとも変な形にゆがんだつぼが出来上がった。その見た目からこのつぼには「いびつぼ」という不名誉な名がつけられた。
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