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騒動の主は生後半年くらいの子猫だった。
どこかで飼われていて捨てられたらしく、ある日突然に姿をあらわし、妙になれなれしかった。おなかをすかせているようだったので、ひとまず何かご馳走してやろうと家に連れ帰る。ちゃっかりした性格で、遠慮する素振りもなく与えた餌はあっという間にペロリ。更に、ペペのご飯まで平らげてしまった。ペペのご飯とは、ハンスト以来主食となったカワハギである。
「お坊ちゃん育ち」のペペは、その様子をあっけにとられて見ているだけ。さすがに、自分のご飯を取られてムッとしたようで、「コイツを何とかしてくれ」と言わんばかりにそそくさと押入れにこもってしまい、用足しのとき以外には出てこなくなってしまった。空腹だろうと気を回して「出前」をしてやると、今までになかった勢いでガツガツ食べた。
ペペは何日たっても押入れに引きこもったままだし、食事は「出前」してやらないと自分から出てこようとはしない。用足しのときも、マッキ−に気付かれないよう、人にも気付かれないよう、腰を低くして忍者のように壁ぎわをはっていき、用足しが済むといつもなら念入りにする後始末もせずにとっとと押入れに戻る。
一応マッキ−と名をつけて保護してみたものの、このままではペペの居場所がなくなってしまいそうだった。家族一同、リリの一件からやっと立ち直ったと思ったらまたもこの騒動である。何より、ペペの健康状態が気になった。用足しも限界まで我慢し、空腹も我慢しているに違いない。それまで経験したことのないストレスにさらされているのだ。
マッキ−との同居は断念し、里親を探すことになった。
なにぶん少々大きくなった子猫だったので、やはりすでにネコがいる家には不向きで、なかなか里親は見つからなかったが、ようやく父の仕事の関係で親しくしている家に引き取られることが決まった。少し寒くなってきた休日の朝、遠くからトラックで迎えにきてもらったマッキ−は、その家のお兄ちゃんにしっかり抱っこされて新しい家に旅立った。
マッキ−が迎えられた家には3人の子供さんがいたのだが、マッキ−はたいそうかわいがってもらったらしい。柄が派手だから(ペペに比べてということだと思う)「研二」という名前になったとか,,,,
「目の中に入れても痛くない」という言葉があるが、そこの子供たちはマッキーを口の中に入れて遊ぶほどだったとか。ちゃっかりした陽気な末っ子タイプのマッキーにはぴったりのおうちだったねと苦笑した。
その3人兄弟も、今ではそれぞれに家庭を持つほどに時が経過した。マッキ−はどんな生涯を送ったのか、大きくなってからは話題に上らなくなってしまい、こちらからはなんとなく聞きにくくもあったので、詳しいことは分からない。でも、3人の兄弟に思い出を残してくれたのは間違いないだろう。