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01/6/10 up
引っ越しが終わってからもペペの一人っ子時代はしばらく続く。
新しいものには相変わらず興味を示したが、走り回って遊ぶことはあまりなくなり、窓の外を眺めていることが多くなった。道行く人や車を見ながらお昼寝して1日が過ぎていく。
そんなペペの毎日に刺激を与えてくれたのは1羽のハトだった。
最初は雨の日に雨宿りに寄っただけだったが、ペペはいつも窓越しにこのハトを見ていた。ハトもペペを認識していたようで、窓の外から羽を広げて、決して手出しをしないこの坊ちゃん猫をからかったりしていた。
この日もハト君はやってきた。ペペをそっとベランダに出してやるが、ハトは逃げる気配もなく、ペペもただ見ているだけ、、、 こんなことを繰り返しているうちにハトは夕方になるとうちに帰ってくるようになった。
朝になるとどこかに出かけていって夕方になると帰ってくるため、寝床くらいは提供してあげようと、ダンボール箱で作った小さなハト小屋ができた。ハト君も「どうも」という感じでベランダ暮らしを始め、しばらくの間は平和に過ぎていったのだが、ハト君にとっては不幸なことに隣家が動物嫌いで、ハトであろうがスズメであろうがベランダにやってくる鳥たちを2メートルはあろうかという物干しざおをぶんぶん振り回して追っ払うのだ。このハト君もしつこく追っ払われているのを見た。その光景は鬼ババアよろしくなかなか恐ろしいものだった。
ハト君にとって住みやすい環境ではないようなので、トラブルが起こる前に仕方なくハトがたくさん住んでいる上野公園に連れて行くことにした。眠たい目をこすりながら、早起きをして始発電車に乗って連れて行った。公園で放してやるとハト君は勢いよくパーっと飛び立って行ったので、やれやれ一安心と家路につく。帰りの電車で居眠りしながらようやく家にたどり着いてみると、そこで目にしたのは、あざ笑うようにベランダから家の中をのぞきこんでいる「あのハト君」だった。まさかと思って、顔や模様をよくみてみたが、間違いなく同じハトだ。言葉もなく、一気に疲労感が襲ってきた。ハトの帰巣本能というのを知らないではなかったが、甘くみていた。
こうして、安直なハトの引っ越し作戦は失敗に終わり、次に考えたのは田舎のおじさんのところで飼ってもらうというものだった。おじさんは快く引き受けてくれて、ハト君は飛行機に乗っておじさんの家へ行った。しばらくの間、大きめの小屋の中で大事に飼われ、出かけるときは一緒に連れて行ってもらい、、、とかなりかわいがってもらっていたのだが、あるときハトを入れていたかごを落とした弾みにハトが出てしまい、運悪くそこに犬がいて、ビックリしたハトはそのまま飛んでいってしまったのだそうだ。
しばらくの間、ハトは近くの木にとまったりしておじさんに会いに来ていたが、そのうち嫁さんを連れて来て見せた後、ぱったり消息が途絶えてしまった。もちろん今度はうちのベランダには帰ってきていない。きっと幸せに暮らしていたのだろう。
一方ペペは会いにくる友達もいなくなってしまったが、相変わらず外を眺めていた。
見つめあうハトとネコ
雨の日も晴れの日も・・・