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「クロ」が旅立って間もなく次のお客さんはやってきた。やはり茶トラ白の子猫。近所にいる子達とは似ても似つかない顔をしていて、やはりどこかで飼われていたのが捨てられたらしく、マンションの植え込みの中からふらっと出てきた。まだ生まれて3ヶ月くらいの子だ。このまま外で暮らしていく力もなさそうだったのでひとまず保護することにしたが、警戒心がなく簡単につかまった。
こうして家の中に入ったこの子の里親を探すことになったのだが、まだ子猫だったので前回の「クロ」よりは条件がよかったもののなかなか引き取ってくれる人はいなかった。
時間ばかりが過ぎ、子猫は日に日に大きくなっていき、「愛」という名前もついた。

愛ちゃんは名の通り愛らしい子で、ペペとも仲良く遊び、だんだんうちにもなじんできつつあった。けれども私たちはなるべく深入りしないように接していた。情が移ってしまったらよそのうちに出せなくなる、そんな思いだった。うちで幸せになれなかったリリのことをまだ引きずっていたので、新たにネコが増えることにどうしても寛大になれなかった。
いつまでたってもあてがなく目途が立たないので、大きくなってしまう前に愛ちゃんもクロと同様に前出の獣医に依頼することになってしまった。クロのときと同じように迎えのお兄ちゃんがやってきて、お金といっしょに愛ちゃんを託した。
数日が過ぎ、愛ちゃんのことも気になったが、いつまでたっても連絡のないクロのことも気になり始めていた。クロは引き取られてから約1ヶ月が過ぎていた。まだ行き先が決まらないのだろうか? 毎日どうやって過ごしているのだろうか? 気になり始めるといろんなことが頭に浮かんでくる。
とにかく今の状況を知りたいと思い、その後何度か電話をかけてみた。その度に「ちゃんとしてますから」という返事が返ってくるだけで、安心できる要素が何もない。あまりしつこく聞いていたら、「そんなに心配ならいらしてみてください」という返事が返ってきた。そう言っている割には面会したい由を伝えると今度はなかなか所在地を明かしてくれず、まず最寄の駅だけを教えられた。駅まできたらもう1度電話を入れるように言われる。
思い切って面会に行ってみることにした。その日学校から帰ったあと、電車に乗って1時間ちょっとかかるところにあるその獣医のところへ行った。夜の遅い時間だったが、患者さんは結構来ていて、ご主人が肩にかけたリュックの中から顔だけ出している老ネコがいたのを覚えている。
あまえて寄ってくる愛ちゃんをペペはなかなか可愛がっていて、大きな体に飛びかかってくる子猫の遊び相手をしてくれていた。
今思うと、ペペが嫌がっていたわけではないのだから、この子をうちで面倒見てもよかったのじゃないかと思ってしまう。