心臓弁膜症(Valvular heart disease)
心臓弁膜は心臓にある4つの部屋を仕切る膜であり、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁があります。
心臓弁膜は閉じたり開いたりしてポンプ機能をうまく調整しているのだが、心弁膜症とは閉じたり開いたりの機能がうまくいかない状態を指します。
特に異常をきたすのは右心房と右心室を仕切る三尖弁、左心房と左心室を仕切る僧帽弁の2つで、どちらも主に閉鎖不全が重要です。

・三尖弁閉鎖不全
〜原因〜三尖弁閉鎖不全はフィラリア、右心の拡張などが原因で弁の密着が不完全となることで起こります。
〜症状〜 右心室収縮時に弁の閉鎖が不完全なため、右心房に血液が逆流するという事態が起こり、静脈還流(体から帰ってくる血液)が制限され、全身性のうっ血が起こります(右心系うっ血性心不全)。そのため、肝臓腫大、腹水、末梢浮腫がおこり、腹囲膨満、食欲不振、体重減少、下痢が見られます。
〜治療〜傷害された三尖弁の直接的な修復は動物では困難です。したがって右心系うっ血性心不全に対する対処療法(利尿剤による体液の減少、強心剤による心機能の増強)で症状を緩和するといったことが主になります。

・僧帽弁閉鎖不全
〜 原因〜僧帽弁が線維化(固くなる)し、密着が不全となることが主原因。弁の線維化は犬では2〜3歳の頃からはじまり、5〜7歳で心雑音が聞かれ始めます。全犬種に見られますが中型〜小型犬に多いようです。
〜症状〜左心室収縮時に弁の閉鎖が不完全なため、左心房に血液が逆流し、肺循環が制限され、肺うっ血→肺水腫が起こります。僧帽弁閉鎖不全では軽度の発咳が必発症状でありますが、これはこの肺水腫が原因であり、また左心肥大も起こるため気管支が直接圧迫を受けることでもおこります。また、左心不全が長く続くと、肺うっ血により、必然的に右心系の還流の制限も起こります。 そのため、10〜12歳ごろになると全身性うっ血性心不全となってしまいます。
〜治療〜これも閉鎖不全を解除する外科的方法は乏しく、うっ血性心不全に対する治療法をとって心臓への負担を軽減することとなります。


・参考文献:新獣医内科学(文永堂出版)


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