地球最後の恋人

 

 ベッカムヘア

 

 

 

地球最後の恋人
何かある度君を思い出す

高校2年の冬
雪の降る渡り廊下で
振り返って 急に
あんまりにも まじめに
「今日からお前とはライバルだ!」とか言うから
告白されたのかとさえ思った

地球最後の恋人
あの時の君を墓まで持っていく

今考えると
インドア派で理屈っぽくて気難しい私と
スポーツ万能で外交的で世話好きな君とが
一緒にいたことのほうが不思議なのだが

地球最後の恋人
その純粋さ故に
あの頃の私たちは吃驚するほど傷つけあった

何でもいいから
自然を守る仕事がしたいんだと
恥ずかし気も無く君は言った
なんだそれは
青臭いな
具体的な職業じゃないじゃないか
志望大学欄になんて書くんだと
いいながら
自分の将来に絶望していた私は
君が心底羨ましかった

地球最後の恋人
君に愛されて地球もさぞ満足だろう

学校の成績だけで
生徒を評価するのは止めたほうがいいと人は言うが
勉強しかできない奴もいる
総合的にどうかという問題ではないが

地球最後の恋人
ライバル宣言された時点で私の負けだ

あれからお互い進学し
時が流れ
もう
会うことも無いのだが

あのときの
泣きそうな真剣な顔を思い出す度
この世の中も
そんなに悪くないんじゃないかと
思えるんだ

地球最後の恋人
あれからもう十年になる

それでも君は
この飛行機から見下ろす世界を
確実に 守り続けている

 

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