スーパーボールがお好き




 この頃、リュウはあるひとつの遊びに大変ご熱心であった。
なんの遊びかと言うと、『スーパーボール追っかけ遊び』である。 その当時、スーパーボールがとても流行っていた。 あの100円でガチャガチャと回すとコロリと出てくる丸い容器に入っていたあの『スーパーボール』である。 スーパーボールとは早い話が、小さなゴムマリのようなものである。 その大きさがとても子猫のリュウには気に入ったらしく、転がしてやると大喜びで追っかけて行った。

ある時、友達が我が家に遊びに来たことがあった。 その時にリュウのスーパーボール好きについて話したところ、是非ともその様子を見たいと友人は言ったのだった。 試しにコロリと投げてやると、案の定目をらんらんと輝かせて、リュウは一目散にボールを追いかけて行った。 その様子を見て、友人は大変面白がり、「じゃあ、二人で部屋の両端に座ってキャッチボールをやるみたいにボールを転がしてみよう」と、いうことになった。 

初めに私が友人目がけてボールを転がす。 するとリュウは一目散に友人の元へと走って行く。 そのボールをリュウが捕まえる前に友人は私の所にボールを送り返してくる。 それを延々と続けるのだが、リュウはそのボールを捕まえるまで何度でも私と友人の間を、行ったり来たりと忙しく駆け回るのである。

その様子を見ておかしかったのは言うまでもない。 ないしろリュウは必死なのだ。 でもリュウの顔を見ると大変喜んでいるのは分る。 かなりの興奮状態でかけずり回っていた。 しかし、その当時のリュウは全く疲れることを知らない。 なにしろエネルギーが有り余っているのである。 『これでもか!』と、言うぐらいにかけずり回したはずなのに、なぜだか全くこたえていな様子であった。

疲れたのは言うまでもなく私たち人間の方である。 初めの頃は友人も面白がって喜んでボールを転がしていたのだが、だんだんとボールを転がす勢いがなくなってきた。 しまいには易々とリュウもボールを捕まえることができるまでになっていた。

なにしろいい加減延々30分以上もこのボール転がし作業を繰り返しをしているのである。 普通の人間ならばつかれるであろう。 でも、リュウは元気100倍であった。  

いい加減笑いに疲れ、ボール頃がしにも疲れてしまった友人と私はようやくこの遊びを止めることにした。 お互いかなりバテバテである。 しかし、リュウはと言えば『ねーねー、まだやろうよー』と、言う顔で私たちを見るのである。 本当に元気のよいリュウであった。

しかし、『あのときの元気の良いリュウは今ではどこにいってしまったのであろうか?』と、言いたくなるほど現在は”ぐーたら猫”と化している...。




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