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何気なくカーテンを見たときその異変に気が付いたのである。 なにやら痛むはずもないカーテンが何となく”くたくた”になっている。
「はて? 一体なぜだろう?」と、私は考えたが理由がさっぱり分からなかった。 もう一度カーテンを検証する。 なにやら爪で引っ掻いたような跡が無数にある。
「ふんふん。なるほど...」と、私は思う。 どうやら誰かがカーテンに登ったらしい...。 それは、言わずと知れたリュウであった。
しかし、どーやってこのカーテンに登るのであろうか? まだ実際の現場を目撃した訳では無いのでその時の私は想像できなかった。
どうにかして私はその実際の現場を目撃したいと思っていたが、なかなかそのチャンスは巡って来なかった。
幾日かたち、半ばあきらめかけていたその時、そのチャンスは訪れたのである。
リュウは時々、気が狂ったように部屋の中を駆け回ることがある。 それは14年経った現在でも変わらない。 意味もなく突然走り回る。
そんなときの私は、「一体何が起きたのやら??」と、少々心配に思ってしまう。 しかし、そんな私の気持ちなどのおかまいなく、リュウは走り回るのである。
その時もそんな感じで、いきなり気が狂ったように部屋中を走り始めた。 何回か部屋のなかをぐるぐると走り回った後、いきなりリュウは「ダダダダッー!」とカーテンに登っていったのである。
その見事な登りっぷりはあっぱれであった。 思わず「おぉ!」と、うなりたくなるぐらいすごいのである。 ちょっとした感動モノであった。
たちまちリュウはカーテンのレールの位置にまで上り詰めた。 本当は怒らなくてはいけないような場面であるはずなのに、なぜだか「よぉーやった!」と、誉めたくなった。
しかし、登ったのは良いのだけれど、いつまで経っても降りてこない。 「はて? なぜだろう?」とは思ったが、しばらく観察する事にした。 リュウは初めのうちは得意げな顔をしていたが、どうやらそれは
数分の事で、なにやらその後は困ったような顔になっていった。 どうやら登ることはできても、降りることはできないらしい。 しかし、だったら今までどーやって一人の時降りていたのであろう? これはまったくの謎である。
なんだかんだと世話のやける猫である。 「よっこらしょ!」と、私はリュウをカーテンからおろしてやった。 するとまた元気良く部屋中を走り回っていた...。
こうしてリュウのカーテン登り遊びはしばらくの間続いた。 言うまでもなくその間は高いカーテンなど買えるはずもなく、しばらくはヨレヨレのクタクタのカーテンを部屋に掛けることとなった。
このカーテン登り遊びも現在ではやらない。 やれるはずもないのだ。 なぜかと言うと、現在リュウの体重は4.5Kもあるのである。 おまけにおばあちゃんなのだ。 骨でも折られたらたまらない。
せいぜいやるのはカーテンの影に隠れて、「かくれんぼ」をするぐらいのものである。 |