チキンのこと
−チュン!−




夜寝るとき、我が家のねこ達の手の届かないところに、鳥かごに黒い布をかけてチキンを眠らせてあげます。 そして朝になると布をはずして「チキンおはよう!」なんて言ってました。でも、チキンが病気になってから、 この朝の行事がとても重いものになりました。”もしかしたら止まり木に居ないで下に落ちて冷たくなってるかもしれない...!!” そんな気持に何度なったかわかりません。気になって気になって、夜なんか何度も”チョロ”っと布をめくって見てみたりして...。 止まり木に居る姿を見てホッとしたこともしばしばでした。
でも、チキンはだんだん弱くなって行くみたいでした。見るからに痩せていき、なにしろ足が不自由なので、餌場までうまく行けないのです。 だから、食べることもままならない。どーしよーもない状態です。 仕方がないので、餌場の所に連れていってあげると餌を食べます。それも、ほんの少しだけ...。
止まり木に止まっていられた時はまだ良かったのですが、じきにそれもできなくなり、鳥かごの下に降りて 隅の方でうずくまっていることが多くなりました。 でも、名前を呼ぶと”チュン!チュン!”と返事をします。なんだかとても悲しくて悲しくて 何時間もチキンの鳥かごを見ていました。どーなる訳でもないのに...。 窓の外を見ると元気な他のすずめ達が飛んでいます。 「なんでこの子だけこんなに弱いんだろう・・・?本当だったらあのすずめ達みたいに元気に飛んでるはずなのに...。」なんて 他のすずめを恨んだりしたものです。
そんな私の姿を見た相方も元気がなく、ただひとこと「そっとしておいてあげなよね...」と言います。
もうなにもしてあげられることはないのだと、つくづく感じました。人間ってとってもとっても無力だ...。
 この日は外食をする予定だったので、出かける前にチキンに声をかけました。 「チキン!」と呼ぶと
「チュン!」とひと鳴きしました。
これが私たちが聞いた、最後のチキンの声でした...。

つづく...




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