子守りの苦労
  第二話  



重いけど、まだ持ち上がった頃。
ロビンのよい点

第一話では、ロビンの文句ばっかり並べてしまいましたが、ロビンにだってよい点が一杯あるのです。(?)

1) 吠えない。

ロビンは全然吠えません。
これは集合住宅に暮らす子守り達にとってなによりの美点です。
ロビンがうちに来て3年弱、吠えたのは全部で4回くらいです。
吠えるといっても「ワン、ワン、ワン」と連続で吠えるのではなく、いっぺんに一回づつ「ウワン」と吠えるだけなので、本当にラッキーな人しか、ロビンの吠え声を聞いたことがありません。

ロビンが来た当初、ロビンのサークルがリビングルームにあったので、夜になって一人になると、「クーン」という声も聞こえました。
ここで相手をしたら一生鳴き癖がつく・・・と無視するか、うるさいときには「うるさい」と怒ってみたら、ロビンも「これは得策ではない」と理解したのか、「クーン」もいわなくなりました。


2) 人好き(?)・・・というか、怖がり(?)。

ロビンは基本的に人が好きです。
誰にでも友好的で、威嚇したりすることはありません。
でも、時々どうしたわけか嫌いな(怖い)人がいます。
初対面の人を一瞬にして「好き」と「怖い」に分けるのか全く不明ですが、とにかく、あっというまにロビンの頭の中で相手の評価がきまるのです。

犬好きな人がどんなに優しく声を掛けてくれても、いったん「怖い」と判断すると、ロビンは後ずさりして逃げるばかりです。
子守りの後ろに隠れてしまうこともよくあります。
そんなとき、子守りは話し掛けてくれた人に申し訳なくて困ってしまうのですが、少なくともうなったりするのではないので、害はないかな・・・と、これは美点ですよね?

ロビンはユニホームを着た人と大人の男の人が苦手です。
逆に女の人と髪の長い男の人は好きで、時々「一体どうしちゃったの?」と思うくらい、すれ違っただけの女性やら長髪のお兄さんやらに尻尾振りまくりになります。
そういう人には、何もなくても、お手をしてみたり、すがりついてみたり(これはすごかったです。 お得意の頂戴ポーズなんですが、両手を差し出すロビンは本当にすがり付いているみたいでした)、された方の人間は皆さん満更でもない気分にさせられてしまうようです。

3) 大人しい。

ロビンは非常に大人しい犬です。
新しい人間が遊びにきたりすると興奮して飛びつくこともありましたが、それ以外では人に危害を与えるということから本当に無関係な感じです。
大人になるにつれ、ますます大人しくなるし、飛びつきもずっと減りました。

それでも、子供の頃のロビンは好奇心がいっぱいで、興奮すると止めが聞かないこともありました。
一度いつもの川に遊びに行ったロビンが、川に浮かぶ鳥に不思議な興味を覚えて、子守りの静止も聞かずに川に一目散。
周囲の釣り人の不興をかっているのもお構いなしに、じゃぶじゃぶと川の真中まで鳥を追いかけていってしまったこともありました。
途中で冷静になったロビンは、気づくと脚の立たない場所を泳いでいる自分に慌てた様子で、苦労しながら岸まで戻ってきました。 すっかり我を忘れていたのですね。

ヒヤッとしたのは、事故未遂です。
その日遠くの川の釣り場に遊びにいったロビンに、2,3歳くらいの子供がお母さんと一緒に寄ってきました。
「触っていいですか?」と声を掛けて頂いたので、ロビンの引き綱をぐっと持って子守りは「どうぞ」と答えました。
子供の背丈はロビンとたいして違いません。
ロビンが変に興奮して押したりしたら子供は簡単に倒れてしまいそうだったので、子守りはロビンを子供にも触り易いように動けなくしたのです。

ロビンは動きの不自由さは大して気にならず、目前の子供にがぜん興味をもってしまい、「遊ぼうよー」という犬のしぐさをしました。 片手を挙げて相手に差し出すしぐさです。
大人の人間だったら「あら、手を出して可愛いわね」とでも思われるしぐさなのですが、その手が丁度目の前の子供の顔にあたってしまいました。

あ、引っかいた! まさか目に入ったのでは?!
と慌てたのは子守りでした。
本人も、お母さんも大して気にした様子でもなく「大丈夫ですよ」と言って笑ってらっしゃるけど、万一子供の目にロビンの爪でもはいって怪我になったら、それで万一にも失明にでもなったら・・・子守りは子供の顔を確認して、ちょっと頭を軽く叩かれた程度と見て心から安堵しました。

恐らくそのお母さんはロビンのような大型犬を飼ったことがなくてその危険性がわからなかったのでしょうが、子守りの方は、ロビンがうちに来て以来、「遊ぼうよ」と出された手で顔に引っかき傷を負ったこともあるのです。
犬の爪が危険なのは重々知っていました。
ロビンは友好的に遊ぶつもりでも、子供の視力を奪ってしまう危険性がないとは言えません。

子守りはロビンが可愛いですが、人間一人の身体に傷を負わせてしまうような犬と社会から見なされたら、最悪の場合、ロビンは処分されてしまいます。
いくらロビンが友好的であっても、社会は結果しかみてくれないでしょう。
ロビンの為にも、子守りも一層注意してロビンを監視しなければと決心したのでした。

あれ? ロビンは大人しいという美点を述べるはずが、いつのまにロビンを監視しなければという話に変わってしまったのでしょうね? 
でも、ロビンには本当に荒々しいところや、危ない性質がないんですよ。

4) 可愛い。

これはもう、親ばかの限りです!
客観的な評価は子守りには到底できませんので、このHPのロビンを見て評価してください。
でも、ほんっとうに可愛い・・・(笑)


ロビンの入院

さて、話が大分ずれましたが、ロビンは当初の病気から立ち直って以来、元気なやんちゃ坊主となって走り回り、川では呼んでもちょっとやそっとじゃ戻ってこない困り者でもありました。
そんな元気なロビンが、約1年後、具合が悪くなってしまったのです。

最初は下痢から始まりました。
なんだかこのところ便がゆるくて取りづらいなあ、新しいフードが合わなかったのかしら?と思っているうちに、食欲ががくんと落ちてドッグフードを残すようになりました。
そのうち嘔吐するようになり、吐くものの色がだんだんフードの色でなくなり、ついに胆汁のようなものを吐くようになりました。

どんどん弱って痩せて行くロビン。
子守り達は慌ててロビンを病院につれていきました。

物も食べず、緑色の液体を吐きつづけるロビン。
目の光も弱くなって、ぐったりとしてしまい、このまま死ぬのではないかと思えるほどでした。
お医者さんにロビンを預け、点滴を打ちながら検査をしてもらいました。
検査をしても、レントゲンを撮っても、いまいちはっきりしないロビンの病状。
病院に会いに行っても寝込んでしまったロビンは、「ロビン、ロビン」と何度か呼びかけないと子守り達に気づかないくらいでした。

そして2日くらい後、先生から「胃に異物が入っているように見える」と言われました。
それまでレントゲンでもはっきりとは見えなかったけれど「何かがあるようだ」というのです。
「お腹を開けてもいいですか?」開腹手術の許可を求める先生の言葉に、子守りは驚きましたが、このままだとロビンは死んでしまうような気がして、誓約書にサインをし、手術をしてもらうことにしました。

手術にはかなりの時間がかかったようでした。
仕事場から先生に状態を聞く電話をした子守りに、先生は「取れましたよ」と手術の成功を教えてくれました。

夕方、会社を早々に切り上げて病院に行くと、先生が取れたものを見せてくれました。
「プラスチックみたいですね」
それは恐らくお風呂場のシャンプースタンドの残骸でした。
かなりな大きさの周囲が噛み取られてぎざぎざになったプラスチック。
それだけならとにかく、それに、デンタルフロスの代わりに与えていたおもちゃから引き剥がした糸が何本も複雑に絡み合っていたのです。

恐らくこれらのものはロビンがずっと前に飲み込んでいたものでしょう。
それがいつのまにか胃の中で絡み合い、何かの拍子で胃に栓をしてしまったのです。

絡み合った異物はロビンがどんなに吐き出そうとしても身体から抜けてこなかったのでしょう。 だからあんなに嘔吐していたのですね。
先生は、それを長い時間をかけて、麻酔をしたロビンの身体から内視鏡を使って摘み出してくれたのです。
お陰でロビンは開腹手術はしないで済みました。

異物が取れるとロビンはめきめきと元気になりました。
先生の所から後日戻ってきたロビンはまだか弱い感じでしたが、食欲は元に戻り、あっという間に元のロビンに戻りました。

うちでは、この顛末の後、プラスチックのシャンプースタンドを廃止し、ステンレス製に代えました。
デンタルフロス代わりのおもちゃも、一切置かなくなりました。
その他、プラスチック製のボールやら、おもちゃで、ロビンが壊せるものもやめました。
木製のボーンも同じようにバリバリと食べて壊してしまうので、買うのをやめました。
この時のことは、偶然の事故と思いますが、それでも、もう二度と同じ事故を繰り返したくないからです。
その結果、うちにあるロビンのおもちゃの種類が激減したのは否めませんが。


ロビンのしつけ

さて、そんなこんなで今日のロビンが育ったのですが、最後にロビンのしつけの話をしましょう。

ロビンの最初の病気が治ったころ、獣医先生のお勧めでロビンはしつけの訓練を受けることになりました。
本当は、先生の開催しているしつけクラスに入れてもらう予定だったのですが、タイミングが合わなくて豪華にも個人レッスンとなってしまったのです。
その頃、ロビンは5ヶ月〜6ヶ月程度でした。

個人レッスンはよかったのか悪かったのか、とにかく、ロビンと子守りと指導の先生とでレッスンになりました。
既にうちでおすわりや伏せを自己流に教えていたので、混乱しないようにそのまま「SIT」、「DOWN」、といった自己流のコマンド(命令語)を使って練習しました。

基本的には、つけをして歩く、止まらせる、座らせる、伏せさせる、座ったままで待たせる、伏せたまま待たせる、座ったままで待っているのを遠くまで行ってから呼び寄せるといった動作を練習しました。

ロビンの小憎いところは、指導の先生がやると何でも言うことを一遍できいてしまうところでした。
それを子守りがあると、ちょっと不満げに、でもお菓子が貰えるから言うことをきく、という程度。
とにかく、対先生のロビンは非常に覚えがよくて、何度もやらないうちに言うとおりに動くので、先生も「優秀な犬」と思われたことでしょう。

でも、本当の意味でロビンが「優秀な犬」だったわけでななかったと思います。

そんなこんなである意味訓練のしがいのなかったロビンは、いつのまにか訓練に行くのを止めてしまいました。
でも、同じクラスが時々川で先生と練習をしているのを知っていたので、お散歩のついでに見学することがありました。

先生もロビンを覚えていてくださって、練習の合間に、ロビンを呼び寄せてちょっとやってみるか・・・ということになったのです。
いつもの調子でリードは首につけたまま、人間の手からは離して、つけをさせようとしたところ、普段から他の犬と遊びなれていいないロビンは、一目散に他の犬に向かって突進していったのです。

慌ててロビンを連れ戻そうとする子守り。
苦笑いする先生。
ロビンのしつけクラスがあくまでも個人レッスンだったので、他の犬のいるときのロビンの反応は、先生もわからなかったのでしょう。
結局ロビンは「優秀な犬」にはなれませんでした。

子守りがレッスンを通じて感じたのは、しつけや訓練は犬よりも飼い主に対してなされるということでした。
犬がいうことをきく、きかない、は命令を出す人間と犬の相互関係の状況によるものが大きい、と子守りは思いました。

結局訓練を続けるのが苦痛になるのは、犬ではなく、犬を連れて行く飼い主なのです。 (少なくともうちではそうでした!)
犬が思い通りにならないと退屈だし、どうしていいのかも分からなくなって嫌になります。
だから飼い主の根気が足りないとうちのように途中で放り出してしまうことになるのでしょう。 (悪例ですねー)

ロビンはそれでも適当に言うことを聞くので、よくおよその人から、「いい子だね」と言ってもらえます。
普段からの習慣で、座れの号令には座るし、伏せの号令にもちょっとしぶりながら従っています。
一番問題なのは、呼んだときにくるかこないかです。

ロビンは川で他の犬が近くにいないときは、リード(引き綱)をつけないで歩きます。
ボールを取りに走ったりもします。
ほかに何もないと、ロビンはとてもいい子。 
ボールは取ってくるし、子守り達から離れません。

でも、そこに偶然他の犬が登場すると、ロビンは有頂天になって子守り達の存在を忘れて走っていってまうことが何度かありました。
まだ仔犬だったから余計夢中になったのかもしれません。
でも、そうやって迷子になる犬や、交通事故にあう犬だって絶対に多いはずです。

ロビンが迷子になったり、事故にあったりするのは嫌なので、呼んだら戻るようにしなければなりませんが、これが本当に難しいのです。
夢中になっている犬には何も効きません。
お菓子を振り回そうが、ボールを振り回そうが、どうでもいいのです。
そんなときに名前を呼ばれたり、来いといわれても、聞く耳なんてまったくないのです。

呼んでも来ない時には連れ戻すしかありません。
連れ戻されて、リードをつけられることで、それは「つまらない」と覚えさせるしかない、と思いました。
そして、呼ばれて戻ると誉められることも覚えてもらう。
それは、かなり地味な努力です。
行ってしまいそうな時には、最初から離さない、という手も使いました。
そうやって時間を掛けて、日常生活のルールみたいなものがだんだんと生まれてきた・・・ような気がします。

自由にしてやりたい、とか、たまにはいいじゃないか、とか思うこともままあります。
でも、それでロビンがひどい目にあうのは困るだと、心を鬼にしても飼い主の意向に合わせさせる。
そうやって、段々と生活のルールが生まれ、ロビンもこの群れのリーダーが誰なのかを覚え、自分がどの群れの仲間なのかを覚え、そうなると犬の習性でグループの掟に従うのが、おそらく自分でも自然になってきたのではないでしょうか。

お散歩中に出会うよそのワンちゃんたちはみんな優秀ないい子に見えます。
中にはロビンと同じように、飼い主が苦戦しているワンちゃんがいると、子守り達もちょっとほっとしたりして。
まあ、ロビンは最高に優秀な犬じゃあないけれど、最高に可愛い犬だからいいんだよね。

追記: でも、ロビンは芸もできるんだよね。 芸は身を助く?

              
※   ※

以上、ロビンの3歳を記念して、ロビンの子守りの過去ログ(?)でした。
長いものを読んで頂いてありがとうございます。
また、年月が経ったら、別のエピソードが書けるようになるかもしれませんね。

2002年8月記

結構笑える顔が多いの・・・

ガマボーンの熾烈な取り合い(笑)

勝ち取ったガマボーンを噛むロビン

ダンスの邪魔と追い出されたロビン

おもちゃ二個持ち・・・

車の後ろがロビンの席。

昔の車は乗り降りしづらかった・・・

昔時々行った砧公園。

ボール取りのご褒美をぺろっ

初めての雪。 雪球キャッチ!

雪の中を走って嬉しいロビン。

寝ててもまだ仔犬っぽい

甘えて人の上で寝るのが好き

退院したロビン。 手は点滴の跡

元気再開!

甘えも再開ー!

座ると何となく左手を折る癖。

Tシャツを着させられたロビン・・・

ショーの真似ごと

軽井沢を歩くロビン

霧ケ峰でポーズ!