淡水フグって何だ!?



ミドリフグ

淡水フグというのは、純淡水で飼育出来るフグのことで、一時的に純淡水域に入ってきて生活するミドリフグやハチノジフグは、含まれません。またこれらのフグを淡水で飼育を続けると突然死亡したり、病気になったりします。


ハチノジフグ

またマミズフグ(別名:インドトパーズパファー)のように、いかにも真水で飼育出来るような名前のフグも、産卵のため一時的に川や湖、池に遡上してきたところを、捕まえられたもので、長期間の淡水飼育はあまり好ましくありません。ただしミドリフグよりは淡水に順応する能力は高いと思われます。
このように、淡水フグの種類や飼育方法はまだまだ誤解されがち…。お店でも間違った水質でストックされていたり、雑誌や専門書でも時々間違った記述があるから、自分自身で正しい知識を身につけたうえで飼育する必要がある。

東南アジアの淡水フグ


アジアは淡水フグの種類が大変多い。まだ発見されていない種や、学名があやふやなもの、名前が特定できないものなどが沢山いる。そのために、採取業者やお店の人たちもとっても困っているんだ。そういうはっきり正体の分からないフグは未だに名前が特定されずに、マレーシアで採取されたものはマレーフグやマライアンパファー、メコン川で採取されたものはメコンフグという大雑把(おおざっぱ)な名前で売られている。結構いい加減な感じもするけど、容姿・模様・性格がとても似ているから仕方がないことかもしれないね。


メコンフグの一種(♀)


メコンフグの一種(♂)



アイスポッテッドパファー

メコン川水系で知られているのは、口の細長いレイウルス種(アイスポッテッドパファー)や、それに良く似たバルバータス種(ビルマフグ)だ。どちらも体型がよく似ているから、つい最近まで同じ種として扱われていたんだ。またこれらのフグは、マライアンパファーと呼ばれることもある。入荷はそれほど多くないので、少し手に入れにくいかも…。でも現地には沢山いるんだよ。
同じメコン水系で入荷されるのは、砂に潜(もぐ)って目と口だけを出している、アフリカのミウルスのような、スバッティー種。ちょっと前まではあまり入荷されなかったけど近年になって増えたみたい。


スバッティ



バイレイ

アベィ

また、メコン川支流(しりゅう)の渓流(けいりゅう)域には、お腹がオレンジ色で全身が柔らかい、トゲ(皮弁:ひべん)だらけのとっても奇妙なフグ・バイレイ種や、黒いゴムのような体にオレンジ色の小さなスポットがたくさん入ったアベィ種などの、小型でとても珍しいフグも確認されている。これらのフグが生息する場所は、水の流れがとても強く速い急流地域なんだよ。そんな厳しい場所に適応するために、独特の体型に進化してしまったんだね。滅多(めった)に輸入されないから、写真といえども入手するのはかなり難しい…。


アベニーパファー


インドエメラルドパファー

メコン川よりも少し西にあるブラフマプトラ川からインドにかけては、エメラルド色の体色に尾の先端が赤く染まった10センチにも満たない小さなククッティア種(インドエメラルドパファー)が入ってくる。雌雄の判別にはちょっとしたコツがいるけど繁殖に成功しやすいフグなんだ。
インド南部やスリランカからは、世界最小の淡水フグアベニールパファー(2.5センチ)が知られている。雌雄の判別が容易なフグなので、是非繁殖にチャレンジして欲しい。ちょっとイタズラ好きで相手の鰭などを齧ってしまうところもあるんだけどね。

東南アジア全域に生息するのは、ブロンズパファーまた、ゴールデンパファーとも呼ばれている。メタリックに輝く体表が、いかにも汽水・海水のフグという感じがするから、よく汽水フグに間違われるのだけれど純淡水フグなんだよ。
似たような感じの種類のフグがあと4種類くらいいるんだけど、見分けるのはすごく大変だし、入荷されるのも稀なんだ。


ブロンズパファー


アジアの少し南に位置するスマトラ島やボルネオ島からも沢山のフグがやってきている。
最近頻繁(ひんぱん)に輸入されるようになったのは、中型で目がとっても大きく、顔が’ダルマ’のようなパレンバンゲンシス種(インドシナレオパードパファー)だ。ジャンビーとかスマトラパファーともいわれていることから、スマトラ島からのやってくることが多いみたいだね。ちおなみにジャンビーというのは、スマトラ島にある都市の名前だ。体の横には目のような模様(もよう)がいっぱいあって、襲いかかってくる外敵から身を守っているぞ。じっとしていてあまり動かないフグなんだ。赤やオレンジ色の個体もいる。


ロルティッティ

イルベスコ

酸性の水質、ブラックウォーターを好むカリノテトラオドン属の小型のフグも数種生息している。タイからは、婚姻色(こんいんしょく)によってオスが全身メタリックパウダーブルーに染まるロルテッティ種(アカメフグ)。ボルネオ島からは、黄色い虎縞(とらじま)がとても珍しいサリバトール種や、背中に黄色いVの字模様のあるボルネンシス種。おとなりスマトラ島からは、背中や尾びれが赤く染まるイルベスコ種(レッドテールアカメフグ)などである。


ボルネンシス

サリバトール

成魚になれば、メスとオスの判別が簡単なので、うまく飼育すれば、繁殖もねらえる。これらのフグは見た目がよく似ている。どれがどの種類のフグかを見分けられるようになれば、もうかなりのフグ通と言えるぞ。


アフリカの淡水フグ


ムブ(幼魚)

ムブ

アフリカには、コンゴ川・タンガニカ湖に生息する、60センチを超える世界一大きな淡水フグムブや、ナイル川・西アフリカに生息する、40センチを超えるファハカなどの大型の種がいる。


ファハカ(若魚)

ファハカ(幼魚)

またファハカには、亜種(あしゅ)が2種確認されている。その内、ケニア北部にあるトゥルカナ湖(塩湖)に生息するTetraodon lineatus rudolfianus という種は、塩湖(えんこ:塩の湖)という特殊な環境のせいか、体調が10センチ未満にしかならない。

中型のフグでは、砂に潜って口と目だけを出しているテトラオドン・ミウルスが知られている。このフグは体色の種類がとても多く、クリーム色からこげ茶色、オレンジ色や赤色まで、さまざまな色のものがいるぞ。中でも赤色系統の体色を持つものが、比較的高価で売られているようだ。ちなみにナイルフグという名前で売られていることもあるが、ナイル川には生息してません。この名前は今後、使わないほうがよいでしょう。

ごく稀(まれ)に、ショウテデニィやドゥボイシィというフグが、ムブやミウルスの幼魚として輸入されることがある。これは現地のシッパー(熱帯魚を現地で採取して輸入する人)が、ショウテデニィやドゥボイシィをムブやミウルスの幼魚と判別出来ないことが原因らしい。ショウテデニィやドゥボイシィは、日本でもあまり存在を知られておらず、現在のところ需要(じゅよう)が少ない。現地の人たちはフグにはあまり関心がない=お金にならないと思っているため、特に個体を判別することを習慣としていない。だからもっと多くの人たちがこれらのフグのことを知り、需要が増えてくれば現地の人たちもこれらのフグの判別方法を覚えてくれるし、日本にももっとたくさん輸入されてくるのではないだろうか。
現在日本では、滅多に見ることの出来ない珍しいショウテデニィやドゥボイシィだけれど、現地でも地域によっては普通に見られる種であり、ドゥボイシィに関しては日本でも過去にまとまった入荷があったそうだ。今後の入荷に心から期待!


テトラオドン・ドゥボイシィ


テトラオドン・ショウテデニィ


カメルーンには生きた写真ですら見ることが出来ない、珍種のパストゥレイタスTetraodon pustulatus というフグがいる。なんでも河口付近に生息しているらしいが、保護区も多いことから入手がとても難しいということしか今のところ分かっていない。これは直接現地に行き、自分で調べてみるしか方法はなさそうだ!?


パストゥレイタス


最後に…アフリカのフグに共通して言えることは、砂に潜りたがる傾向が強いことだ。飼う場合は出来るだけ目の細かい砂を、体をすっぽり隠せるくらいの厚さまで敷いてあげよう。でも、砂に潜りたがる性格のフグはとても神経質で臆病なものが多い。そういう性格のフグはストレスを受けやすく、病気になっても治りにくい傾向があるんだ。砂に潜らない個体に比べると飼育難易度は高いと言える。フグ飼育初心者の人がフグを選ぶときは、差し出した指に寄って来るぐらいのフレンドリーな個体を選んだほうがいいだろう。せっかく飼育するんだから、出来るだけ健康に長生きしてほしいもんね。

南米の淡水フグ


南米淡水フグ

南米アマゾンから輸入されている純淡水種のフグは1種類だけ。それはコロメスス種、南米淡水フグ(Colomesus asellus)というフグだ。またサウスアメリカンパファーとも呼ばれる。南米淡水フグは、採取された地域によって模様や体型に少し違いがあるんだ。
また南米淡水フグに似た南米汽水フグ(クロオビフグ)がいる。両種の見分け方は、体に入っている黒いバンドの数で判別しよう。南米淡水フグは目の上から数えるバンドの数が5本、南米汽水フグはバンドの数が1本多く、6本あるんだ。間違った飼い方をすると命とりになってしまうから気をつけてね。


汽水フグってなんだ?


汽水フグで、誰もが知っている有名な種類といえばミドリフグではないでしょうか。いろいろなお店で、頻繁に見かけられると思います。このフグは性格的にも愛嬌があり、人にもよく馴れてくれます。それに少しぐらい塩分濃度に変動があっても、比較的耐えてくれるという丈夫な面から、フグ飼育初心者の方にもオススメの汽水フグと言えます。
タイ、フィリピン、マレーシア、カンボジアの汽水域の、マングローブが生えた浅瀬や川と海が繋がったところで、4センチから7センチくらいの個体が、群れを作って元気に泳いでいます。このフグは体長10センチを超えると海に出るために、単独で海岸の岩を突付いている姿がよく見かけられるそうです。小さな頃は群れで行動し、成長するとひとり立ち(?)するようですね。


サヴァヘンシス

ミドリフグととてもよく似た、サヴァヘンシスという種類がいます。このフグは、ときどきミドリフグに混じって日本に入荷されてくるのですが、お店では特に区別されることはなく、どちらもミドリフグとして売られています。とはいえ、大きな違いはほとんどありません。あえて見分けるとすれば、ミドリフグは口の先のほうにまで大きな黒いスポットが入っているのに対して、サヴァヘンシスには、クッキリとした大きなスポット模様が入らないこと、顔の形もちょっと細長いミドリフグに対して、サヴァヘンシスは平べったいというぐらいでしょうか。もしもお店でミドリフグを見つけたら、よく観察してみてください。どちらのフグが入っているでしょうね?

ミドリフグの次によく入荷されるフグといえば、ハチノジフグでしょう。生息域もミドリフグとほぼ同じですから、幼魚の時の飼育方法は基本的に一緒で構いません。でも成長すると、少し違いが必要になります。
というのも、ミドリフグは成長とともに、塩分濃度を少しずつ海水に近付けていったほうが良いのですが、ハチノジフグはずっと汽水の環境で飼育を続けることが可能なのです。

性質はミドリフグもサヴァヘンシスも、ハチノジフグもよく似ており、フレンドリーで物怖じしない個体が多いです。ただし、フグには大体言えることですが、少し気が荒い個体が多いでしょう。喧嘩をしたりおなかが空いたりすると、お互いのヒレや尾を齧ってしまうことがあるので、出来るだけ混泳はやめたほうが無難です。


ハチノジフグ


インド・スリランカからは、ハチノジフグにちょっと似た姿の、インドトパーズパファーが入ってきます。別名マミズフグとも呼ばれていますが、実際のところは真水では長く飼育することはできません(健康を害してしまう)ので、この名前はあまり使わないほうが良いでしょう。


幼魚(1.5センチ)

この種のフグは、生息する場所によって体の模様が若干異なります。インド東側で採れたものは、全身がカメの甲羅のような模様。インド西側で採れたものは、お腹に虫食いのような模様が入っています。そしてスリランカで採れたものは、お腹には模様が入らずに真っ白です。ちなみに、こんな風に同じ種類であるのに住む場所によって形態が違っているもののことを亜種と言います。(時には全く違う種類であるかのように見えることもある。)


若魚(12センチ)

このフグは成長がとても早く、たちまち20センチくらいにまで成長してしまうので、なるべく一度に複数匹を買うことは避けたほうが良いでしょう。幼魚の頃はとても小さくかわいらしいので、ついつい何匹も欲しくなってしまいますが、健康に飼育するには60センチ水槽に2〜3匹までが限界です。

インドネシアの南の島々やニューギニア島からは、レッドラインパファーというフグがたまに入荷されることがあります。10センチを超えない、小型のかわいらしいフグです。現地では特に珍しいということもなく、普通に目にすることが出来るそうですが、ミドリフグなどに比べると少し地味な印象のせいか、日本ではあまり人気はないようですね…。
性格はちょっと臆病でおとなしいので、同種同士なら混泳もOK。同種以外にもこのフグのほうから攻撃を仕掛けていくことは滅多にないのですが、逆に他種に意地悪をされてストレスを受けることが多いため好ましくありません。マングローブの根っこなどを沈めて、水質を弱酸性に保ってあげれば、それほど飼育自体は難しくはありません。成長も遅く、終生あまり大きくはなりません。餌は人口飼料にでも簡単に餌付いてくれることが多いので、比較的飼い易いフグといえます。


レッドラインパファー


南米からは、クロオビフグという標準和名を持つ、南米汽水フグがまれに入荷されます。顔つきは少々タラコくちびる気味(?)で、身体には黄色と黒の模様があるフグです。実は40センチ以上にも成長する大きなフグなので、出来るだけ大きな水槽で飼育してあげましょう。また性格が大変荒く、同じ種のフグにも噛み付いて食べてしまうことがありますので、飼育は単独飼育が望ましいと思います。


南米汽水フグ


南米レオパードパファー

また、南米汽水フグ以外にもヨリトフグ属の南米レオパードパファーや、ターゲットパファーなどのフグが数種入荷されます。これらは残念ながら汽水域に一時的に入ってきただけの海水フグのため、塩分濃度はやや高めで飼育し、徐々に海水に慣らしていったほうがよいでしょう。また、ターゲットパファーは成長すると40センチを超える、やや大型のフグですので飼育を決める際にはよくご検討ください。


ターゲットパファー



メガネフグ

メフグ

おとなり中国沿岸や渤海、そこへ注ぐ大河・長江からは、メガネフグ、メフグが稀に入荷されます。いずれも海水フグですが、早春、産卵のために、海から千キロも離れた純淡水域にまで群れで遡上することが知られています。そのため真水に順応する能力は高く、そのまま湖や池などにとどまる個体までいるほどです。従って、半海水の環境でなら長期間の飼育も可能といえそうです。ただ、高水温には苦手らしく、25℃前後の水温維持が望ましいでしょう。
ただ、中国では漢方薬として重宝されているため、入荷は非常に稀です。


サザナミフグ

スジモヨウフグの幼魚

一部のモヨウフグ属のフグは、幼魚期を汽水域で生息することが多く、成魚になってもしばしば汽水域に入ってくることが知られています。
サザナミフグ、スジモヨウフグ、ワモンフグ、カスミフグ、モヨウフグが汽水に入ってくるといわれています。

よって淡水フグや汽水フグとしてショップで売られていることもあり、注意が必要です。

海水1/2でも長期、飼育は可能ですが、成長にしたがい塩分濃度は海水に近づけてあげてください。


ワモンフグ

カスミフグ

コクテンフグ



オキナワフグ

日本にも汽水に入ってくるフグが2種類います。沖縄地方に生息するオキナワフグと、日本近海に生息するクサフグです。
オキナワフグは幼魚期に遡上することが知られており、10匹くらいの群れで泳いでいる幼魚が、純淡水域の川などで目撃されることがあります。ただし、成魚になる頃には生息の場所を海に戻すようなので、終生淡水での飼育は無理のようです。
クサフグは、河口近くでフナやコイなどを釣っているいるとき、稀に釣り針にかかることがあるそうで、川を遡上することが知られています。産卵のための準備行動であるという説もあるそうです。


クサフグ



タキフグ

シッポウフグの仲間

東南アジア、オーストラリアからは、タキフグの幼魚、シッポウフグの仲間数種が入荷されます。いずれも海水フグですが、幼魚が汽水魚として稀に入荷されることがあります。

もっと詳しく説明した淡水フグサイトの紹介

puffers island
http://tekipaki.jp/~puffer/