だからこれで、と。
とん、と突き放された肩が急に熱を失って、とても淋しいと思った。
切取線
(こんなのって)
置き去りにされた。
見捨てられたのか見放されたのか、それとも。
彼にその気はなかったとしても、自分にしてみればあまりに酷い仕打ちだった。
確かに驚きはしたけれども。
初めて触れた唇はカサカサとして冷たくて。
それも何だかリュウらしいなぁとか、そんなことを考える余裕くらいはあったのだ。
自分にだって。
それなのに確かめもしないで一方的に言いたいことだけを言って。
置いて行ってしまうだなんて、あまりにもひどい。
嬉しかったのに。
自分だけ何もかも分かったような顔をして。
諦めたような顔をして。
勝手に傷つけたと思い込んだまま、こちらの気持ちも聞かずに走り去ってしまった後ろ姿を、群青に溶けかけたドアに思い起こす。
二人きりだった教室に、今、自分はひとりぽっちだ。
昨日の晩から何か妙だとは思っていたのに。
どうして自分には、彼を止めておくことが出来なかったのだろう。
今朝の笑顔の落ち着きに、どうして安心なんかしたんだろう。
―――どうして、何も話してくれなかったんだろう。
あれは決別の表情だったのに。
気付くことが、できなかった。
陽はとうに沈みきっている。
もう帰らなくちゃ、と思う一方で、帰りたくないと思っている自分がいる。
今朝は一緒に出でてきたあの家に、もうリュウの姿はない。
いつからか日常に溶け込んだあの微笑みにも、もう会えない。
「・・・けどさぁ。」
“忘れてほしい。”
いきなりキスをされたことよりも、その後の一言の方がよっぽど自分を傷つけたなんて、きっとリュウは思いつきもしない。
(忘れられるわけ、ないじゃん・・・。)
忘れるはずがない。
忘れられない。
三十分前までは、そこに、目の前に、座っていたのに。
温もりももう消えてしまったけれど。
一緒にいたのに。
忘れられるはずがないのに、それとも彼は自分を忘れてしまうとでも言うのだろうか。
キュウだけでなくQクラスのことも、学園のことも全部忘れて。
何もかもなかったことにして、それで次に会うときには?
―――そんなのは、許さない。
忘れさせない。
なかったことにもさせない。
逃げるなら追いかける。
振り払われればまた掴む。
諦めるものか。
この場所を、自分を、皆を、
捨てさせたりなんてしない。
何を背負っているのか、
何に怯えているのか。
なにひとつ話してももらえていなかったままだけれど。
それでも、選んだ先に彼の幸せがあるとは思えないから。
自分の、幸福も。
どこへ行ったかも分からない。
だけど、きっとまた会える。必ず。
こういう時の勘は外した例しがない。
「待ってろよ、リュウ・・・!」
これは勝負だ。
自分と彼の。
姿は見えないけれど、見えない何かを確かに自分は確信している。
だから必ず勝つ。
勝って、また一緒に歩ける。
拳を固く決意に握ると、キュウは漸く席を立った。
明日ここへ来ても彼はいない。
だけどその先はきっと違う。
変わっていける。
変えていける。
冷え切った夜の空気に、吐いた息が白く散った。
*探偵学園Q/リュウキュウ
えーっと思われるかもですが、好きです。(の割にはあまり見てないしコミックスも4冊くらいしか持ってないけど)(しかもまた売るけど)
アニメは曲が好きですよー。
何度も聴くうちにヤミツキになるようなものが非常に多いです。
でもあの、メグのミニスカートを意識しすぎた感じの絵はちょっとね・・・。
まぁ男の子は犬の尻尾で出来てるわけですし(誤)。仕方ないか。
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