雨の小話

 

 

土砂降りの中、キスされた。

「何であないなことしいはったんどすー!?」

「あー?なんじゃぁ、聴こえんー!」

卑怯だ。

コージはんは卑怯だ。

両手にスーパーの袋をぶら下げてアラシヤマはガン飛ばした。

三メートル程前を歩く、コージの背中に。

「取りあえず傘貸しなはれーー!」

 

コージと2人で遠くのスーパーへ買出しに出掛けた。

セール期間中だったから気合を入れて買い込んだのだが。

(いきはよ〜いよいか〜えりはこわい・・ってか・・?)

雨に降られたのだ。突然。

大量の生鮮食品エトセトラ(コージ含む)をかかえ、そして雨。

この時程気象庁とついでに忍者トットリを怨んだ時は無かろうとアラシヤマは思う。

この現状を見てアラシヤマはミヤギ達に唯一認められた頭脳を無駄にフル回転させた。

ようは、いかにして自分が一つ持ってきていた折り畳み傘を使い、

なおかつこの荷物もち(コージ)に荷物を全て持たせるか、という事を計算したのだった。無駄に。

『・・・コージはん、じゃんけんして負けた方が荷物を全て持つ、ってのどうどす・・?』

『おお!素晴らしいアイディアじゃのう!』

三十路近くと三十路越えのデカイ刺客2人がじゃんけんをするというのは

冷静に考えればかなり恥ずかしいどすなぁ、と買い物中の一般市民の目を気にしてアラシヤマは青ざめた。

だがまぁ、グンマと買い物するよりはまだマシか。

(コージはんって、最初は何時もパーなんどすよね〜・・。)

攻略法を思い浮かべながらアラシヤマはチョキを出した。

コージの掛け声と共に。

 

(何であそこでグーだすんや!普通はパーやろが!)

乙女座の今日の運勢を頭に入れ忘れたアラシヤマはコージのミラクルプレイに見事撃沈した。その上キスまでされて。

自宅まではあと十分はかかるであろう。

必死で荷物をかばってきたけど、もうそろそろキャベツが濡れてしまうだろうか。

トイレットペーパーは幾ら包装がされているとはいえ、そろそろヤバイ気がする。

陰鬱に白いため息を吐くと、不意に雨が当たる感覚が無くなった。

「・・・コージはん・・。」

「荷物、半分持っちゃる。」

何時の間に隣に来ていたのだろう。傘を半分アラシヤマの上に差して、何時ものようにコージが笑う。

「ええどすわ。情けなんてかけてくれんでも。」

「わしゃあ、一度相合傘というのをやってみたくてのお。じゃが、さっきまでの通りじゃ      

 ちぃと恥ずかしくてのう・・。」

アラシヤマ的には今の台詞の方がよっぽど恥ずかしかったのだけれど、

結構嬉しかったから黙って俯いていた。

「そういえば、さっき何でいきなりキスしたんどす・・?」

先程は雨音でかき消されていた言葉だが、ここまで近いと否が応でも伝わる。

気配すらも。

「ああ・・・。あれはな、雨じゃったから。」

「?」

「雨じゃったから、今ならぬしに燃やされないでキスできると思ってのう。」

「なっ・・・・!」

そんな事をいきなり言われたと思ったら、コージの気配がいつの間にか近づき、

再びキスされた。

周囲の様子とかに気を配る間もないまま、触れられた。

呆気にとられて固まっていると、また何時ものようにコージが笑う。

「な?」

「〜〜〜〜〜っ!!!」

やっぱり、コージはんは卑怯だ。

腹が立ったので燃やしてやろうと思ったが、そうしたらもうキスしてくれへんかもしれへん。・・・・・あかん。それはあかん。

仕方が無いので、平手で我慢しておいた。

 

その後、相合傘で帰った事は、秘密だ!

 

 

 

 

 

 

バカップルだ。思わず射撃したくなるほどバカップルなんです。

何でこんなにバカップルで両思いのブツが書けたのか、今となっては謎です。

パプワ処女作だったっけかな。