劇場版「あの日にかえりたい」(1988年公開)


このページでは、劇場版「あの日にかえりたい」のストーリー、解説、そして管理人による独断と偏見の作品分析をしています。個人的な解釈ですので、大目に見てやって下さい。(^^;
「あの日にかえりたい」は、唯一「オレンジ★ロード」のオリジナル劇場版として、88年10月に封切られました。
内容は、三人の三角関係の完全決着を描いており、通常の「オレンジ★ロード」の要素が一切ありません。つまり、ラブコメの部分を排除し、全編ひたすらシリアス一本でいっています。
超能力も、笑いも、この劇場版にはありません。あるのは、せつなさだけです。
初めて見る人は、いつもの「オレンジ★ロード」とのギャップの大きさに、たぶん戸惑うのではないでしょうか?
なお、「あの日にかえりたい」の続編が、96年に封切られた「新・きまぐれオレンジ★ロード あの夏の始まり」です。


全編ストーリー

もっとも「オレンジ★ロード」らしくなかった劇場版
〜プレイバック1988「あの日にかえりたい」〜

主題歌、挿入歌の紹介

ひかるはなぜ、あの夏に勝負をかけたか?

恭介がひかるを無視した理由

まどかがとった行動

夏祭りの打ち上げ花火

恭介とまどかの通う大学



ひかるはなぜ、あの夏に勝負をかけたか?


恭介とひかるの関係は、冒頭、アバカブで二人が話しをしている時点までは、友達以上恋人未満という、つまり今までと何ら変わらぬ仲でした。
ところが二人の関係が急速に発展したのはこの直後、ひかるが恭介にキスをしてからです。
当然、キスをされた恭介にとってもこれは悪いことではありません。彼にしてみても、ひかるという娘には多少なりとも好意を持っていたからです。
そんな彼女の積極的な行動に、続く二回目のキスでも恭介は拒否することなく、ひかるのことを受けとめるのでした。
しかし、よくよく考えてみると、このひかるの一連の行動にはやや疑問符がつきます。
というのも、恭介はこの時期、来たる大学受験に向け、まさしく受験勉強の一番大事な正念場を迎えていたのです。
学力優秀、受験でも楽に合格するであろう鮎川まどかと違い、勉強を苦手とする恭介の場合、ボーダーラインはギリギリという状態。
彼の受験の合否は、「夏休みにどれだけ頑張れるか?」・・・これに尽きます。
ところが、なぜかひかるはこの夏休みに、恭介に対し積極的な行動を取りました。キスをしたり、度々、彼と二人で会ってみたり・・・。
はっきりいって、受験勉強中の恭介にしてみればこれは悪影響です。こんなことをされては精神的にも落ち着かず、勉強にも支障をきたすでしょう。
事実、ひかるとキスをしてからの恭介は、まどかに無視をされたことも加わって、受験勉強もどことなく上の空でした。
つまり、それまで恭介と同じ距離を保っていたひかるが、なぜ夏休みの突入と同時に勝負をかけてきたのか、です。
考えられる要因として、大よそではありますが次の三点があげられます。

1、恭介の気持ちを知っていたひかるの焦り

2、恭介とまどかが受験する大学

3、恭介とまどかが通うことになった夏季講習

まず1ですが、劇中の後半、ひかるはまどかに向かってこう言います。
「あたし、知ってたもん。春日先輩が、ずっと前からまどかさんのこと好きだったの」
TVシリーズでは、恭介がまどかを好きだったことをひかるが知っているようなシーンは、当然ですが一度として出てくることはありません。
しかし、ずっと前から知っていた、とひかるがいっていることから、既に中3の時から恭介がまどかに想いを寄せていた事実を、もしかしたら彼女はどこかで把握していたかもしれません。

(そのことを平然と隠していたのか、あるいは本当に知らなかったのか、分かりませんが・・・)
ひかるの恋敵は、年上で彼女がもっとも信頼を寄せるまどかです。
幼い頃から付き合いのあるまどかは、全てにおいて彼女の理想の女性です。ひかるは十分に、まどかという人物の魅力を分かっていたことでしょう。
そのまどかに恭介は想いを寄せていた・・・。明らかに、これはひかるにとって不利でした。
恭介はひかるのことも好意を持っていましたが、やはり気になる存在はまどかの方。彼女の方も恭介が好きだった。
自分が好きだった相手には、既に想いを寄せる人がいた。そしてその相手は、尊敬する「理想の女性」鮎川まどか。
ひかるの前には、二つの巨大なる壁が立ちはだかっていたのです。彼女は劣勢でした。
このままではまどかに勝てないと、いつもひかるは感じていたはずです。
さらに、恭介とまどかの二人は同じ大学を受験しました。あの夏休みの段階で恭介とまどかは、二人同じ大学に受験するのを決めていたのか? ・・・これは定かではありません。
が、少なくともひかるは予想していたと思います。たぶん、二人が同じ大学を受験することを・・・。
合格して二人が同じ大学に通うことになったら、ますます恭介とまどかの関係は近いものとなるはずです。
ひかるは焦っていたでしょう。恭介が大学に行く前に、何とか彼を振り向かせたいと。
これが1、2、の理由ですが、そのひかるの「焦り」を加速させたのが、続く3の夏季講習の存在です。
2の説明同様にやはりこれも、数週間から一ヶ月通う夏季講習の中で、恭介とまどかの関係が一歩進んだ状態になる可能性は考えられました。
しかも学校とは違って、ひかるは講習会には行けない訳ですから、余計、彼女が不安に思うのも当たり前です。
焦りと不安・・・。
かくしてひかるは勝負に出たと思われます。恭介がまどかと同じ大学に行く前に、恭介とまどかが完全な恋人同士になる前に・・・。
この夏に全てをかけ、勝負に出たのです。
一気に形勢逆転を狙ったひかるでしたが、残念ながらまどかとの勝負に完敗し、彼女は恭介から身を引かなければなりませんでした。



恭介がひかるを無視した理由


「あの日にかえりたい」は、とてもシリアスな作品です。
では、なぜシリアスになったかというと、その一つに恭介がとったひかるへの対応があげられます。
劇場版の恭介は「鬼の恭介」であり、それまで温和な性格だった彼を疑いたくなるような、ひかるへの冷たい対応でした。
無視、無視、無視・・・・。
ひかるがいくら追いかけてこようが、恭介は聞く耳を持ちません。なぜなら彼はひかるともう会わないと、自ら確固たる決断を下したからです。
涙を流すひかるに、恭介はただただ逃げるだけでした。
ひかるとの別れ際、少しでも恭介が彼女のことをフォローしていれば、この劇場版はあそこまでシリアスにならなかったでしょう。
言いかえると、なぜそこまで恭介はひかるを無視したのか?
TVシリーズ、つまり中学生時代の彼であったら、おそらくひかると別れるにしてもあんな対応はしなかったと思います。
恭介はこの3年間で別人になってしまったのか?
・・・というと、答えはノーです。たぶん、基本的な部分は何ら変わっていないでしょう。(^^;
優しい性格も、そしてもちろん持ち前の優柔不断さも・・・。
もし優柔不断さを克服していたら、三人の関係はとっくに終わっていたはずです。
従って、恭介はまるっきり別人になったという訳でもありません。
その事実は、冒頭のアバカブのシーンを見ても分かります。
恭介がひかるにああいう態度で拒絶したのは、彼女のことを急に嫌いになった訳でもなく、自分をひかるから切り離すにはあの手しか、彼にはできなかったのです。
もし涙するひかるに何度も会って謝っていたら、心優しい彼のこと、そのうち彼女の方に情が移ることも考えられます。
しかし、今回だけはどうしてもそれは許されませんでした。・・・まどかのことがあったからです。
恭介はひかるとキスをするくらい、また彼女のことも好きでしたが、彼の本命はあくまで鮎川まどか一人なのです。
それは中学時代から高校時代まで・・・。3年間、想いが変わることは一度もありませんでした。
夏祭りの夜、泣きながら電話をかけてきたまどかの声を聞いて、恭介の気持ちは大きく揺らぎ、そしてついに、彼はまどかに告白しました。
と同時に、恭介は覚悟をきめなければいけなかったのです。ひかると会うのをやめることを・・・。
彼女と会って話せば話す程、その悲しみは深くなり、長く会えば会う程、いつしかひかるに同情する気持ちが芽生えるかもしれません。
それが恭介という男の性格なのです。
だからこそ、恭介はひかるを徹底的に無視し、かたくなに冷たい態度を取り続けたのでしょう。
そうでもしなければ、恭介は彼女と別れることはできませんでした。
あの恭介の冷たい対応は、半分が「決別するため徹底した」最後の手段、もう半分は自分の気持ちをいつまでも理解してくれない、ひかるに対してへの「苛立ち」だったと思います。(あくまで推測ですが・・・)
ひかるが号泣する裏で、恭介もまた悩んでいたと思われます。
彼女と最後の別れの後、恭介は一人でお店に入りますが、そこで見せる彼の表情は苦悩に満ちています。
彼にとっても、ひかるとの別れはとても辛い体験だったのでしょう。

・・・・ただし、この恭介の別れ方が良かったかというと、やや否定せざるを得ません。
確かに、彼女と完全に別れるためには仕方なかったとはいえ、あれではひかるのダメージは大き過ぎです。
一方的に逃げるだけでなく、もう少し上手な別れ方もできたはずです。
せめて電話ぐらいはちゃんと話してあげてもよかったのではないでしょうか?
しかも、彼女と2回もキスをしたのだから、やはりその責任も取るべきだったのでは、と思いますが・・・・。



まどかがとった行動


劇場版では、ついひかるの方に注目がいってしまいますが、忘れてならないのが「オレンジ★ロード」のヒロイン、鮎川まどか。
が、本作品に限ってはその存在はあまり目立ちません。ヒロインでありながら印象度から見ると、断然、ひかるの方が上です。
それはひかるが積極的に動いたのに対して、まどかは劇中、恭介に電話をかけたぐらいで、後はほとんど自分からモーションをかけることがなかったからです。
告白したのも恭介の方でした。つまり、特別まどかが、彼のために動くということはありませんでした。(デートはしましたが・・・)
「静」のまどかより「動」のひかるの方が、当然与えるインパクトは強烈であり、ひかるはフラれてもフラれても、とにかく恭介にアタックして行きました。
一方まどかは、ひかると恭介がキスしたことが分かると、強い嫉妬心とショックから、通っていた夏季講習をすぐさま休んでしまいます。恭介と顔を合わせたくなかったからでしょうが、もしひかるであればこんなことではヘコたれないでしょう。
TVシリーズを見ても分かりますが、まどかはとても傷つきやすい性格の持ち主です。彼女にしてみると、恭介がひかるとキスしたという事実は、到底受け入れられないことだったと思います。

「まどかさん、何もしないでズルイです! まどかさん、先輩のために今まで何かしましたか?」

このセリフは終盤、アバカブでひかるがまどかにいったセリフです。
恭介から無視をされ、行き場を無くしたひかるが、ついにまどかの元にやってきた時のことでした。
ひかるの言う通り、実はまどかは恭介にそれらしいことを何もしていません。この夏の「勝負」でさえ、まどかは恭介のキスも拒みました。
まどかという女性は、割に恋愛に関しては不器用で、慎重(保守的かな)という印象を持ちます。
恭介から告白してくれたから良かったものの、これで彼が何も言わなかったから・・・・二人の関係はずっと変わらなかったでしょう。
まず彼女の方から告白するということは考えられません。
恋愛は「守り」の姿勢。恭介のキスを拒み、「やっぱり・・・ひかるちゃんのことが・・・」という彼に、ひかるのことはいいのと答えたまどかは、「春日くんの気持ちの問題なの」と、全てを恭介に託しました。
結局これが効いて、まどかはひかるとの勝負に勝利しました。
恭介と2回もキスをしておきながら、彼の気持ちを動かせなかったひかるが、電話1本のまどかに「何もしないでズルイです!」というのも分かります。ひかるはやるだけのことをやって、「玉砕」ですから・・・。
ひかるの中では、あれだけやったのにどうしてまどかを逆転できなかったのか、悔しくて悔しくてたまらかったはずです。
もしも具体的な形で、まどかが恭介にモーションをかけていると分かっていたら、ひかるは自分の負けを少しは認めたでしょう。
しかし、まどかは結果的に何もしなかったのです。ひかるが彼女を恨むのも当然かもしれません。
「恭介がまどかのことを好きだからしょうがない」
・・・と、言ってしまえばそれまでなんですが。(^^;

でもまあ、あの恭介に電話をかけてきたことは、まどかにしてみればよくやった方ではないでしょうか?
思い出してみて下さい。彼女は「ピックのまどか」として、その昔は誰も近寄ってこない程の不良少女だったのですから。
授業をエスケープし、タバコをプカプカとふかし、先生でも半ば見放していた彼女が、泣きながら恭介に電話をかけてきたのです。
そう考えれば、まどかはあの状況で出来ることを精一杯、彼女なりに努力したと思います。
例え、「何もしてない」とひかるに言われようとも・・・・。



夏祭りの打ち上げ花火


夏休みが舞台となっている劇場版ですが、その中で夏祭りのシーンというのが出てきます。
どうやらこの夏祭り、恭介たちの住んでいる街では恒例の行事のようです。
お祭りと同時に打ち上げ花火も上げられ、その光景は恭介のマンションのリビングからも、しっかりと見ることができます。
ところでこの打ち上げ花火のシーン、TVシリーズでも似たようなシーンがあったことを覚えてますか?
それはTVシリーズ第17話「夏の誘惑! いきなりダブルデート」の回なのですが、恭介が自分の部屋で勉強している時、窓から打ち上げ花火の光が見えるのです。
恭介の部屋から見えるということは、たぶんリビングからでも見えると思います
実は春日家のマンション、意外にいい所に建っていたんですねえ。
この時の花火は、夏休みの始めに行なわれた花火大会で打ち上げられたものです。
具体的に書くと、「第18回 茂夜梨野 花火大会」で、開催場所は茂夜梨野公園、時間が午後7時30分〜8時30分となっています。
劇場版のあの打ち上げ花火が、この花火大会のものであったかというと、おそらく違うでしょう。
開催時期が合わないし、TVシリーズの回では夏祭りそのものが出てこないからです。
しかし、恭介のマンションから見えるということは、二つの花火の打ち上げ場所が同じ茂夜梨野公園か、または近い所で打ち上げられたと考えられます。(たまたまかも・・・苦笑)

ちなみに「茂夜梨野」、ひらがなに直すと「もよりの・・・」です。(^^;



恭介とまどかの通う大学


まず答えからいうと・・・、分かりません!(^^;
劇中を見ても大学名は出てきませんし、新シリーズの方でも分かるようなシーンはありません。
ただしモデルとなった大学だけは分かっており、「あの日にかえりたい」に登場する大学は、あの早稲田大学をモデルにしています。(これは監督の望月さんが同大学の出身だからだそうです)
だからといって、二人がその大学に入学したかといえばそうではありません。
あくまで大学はモデルであり、二人が入ったのは恭介の学力レベルに合う大学だったでしょう。
まどか一人なら有名大も入学できたでしょうが、はっきりいって恭介のレベルではほぼ不可能なのですから(苦笑)。
では、二人が通う大学はどこにあるか?
これも・・・明確には分からないんですねえ。(^^;
唯一ヒントとなるのは、「あの日にかえりたい」の冒頭、二人がバイク(カブ)に乗って大学に向かっているということです。
自宅からカブで向かうということを考えると、恭介たちの住んでいる街から大学まで、それ程遠くはないと想像できます。
あまり離れていたら、普通は電車かバスという所が妥当な線でしょう。(バイクで向かう人もいますが)
それでは、二人の住む街はいったいどこなのか? 東京か横浜か?
新シリーズでは百段階段のあるあの街が、どうやら横浜らしいと思わせる描写があります。
横浜から東京、およびその他の近郊の県まで、わざわざカブに乗って合格発表を見に行くとは思えませんので、新シリーズでいうなら住んでいるのは横浜、通っている大学は横浜市内ということになるでしょうか。
しかし、TVシリーズや劇場版を見る限りでは、あの街が横浜だという証拠もまたないのです。
TVシリーズで出てきた繁華街のシーンや、劇場版で恭介が乗った電車などを見ると、逆に東京都内ということも十分考えられます。
これらを総合的に合わせると、「あの日にかえりたい」では受験した大学は東京都内という設定。「新シリーズ」からは設定が変わり、二人は横浜市内の大学に在籍中・・・ということになったと思われます。

よくアニメやマンガで、主人公の住んでいる街はどこか話題になりますが、「オレンジ★ロード」という作品の中では、実際にある地名や場所は数える程しか出てきません。
「めぞん一刻」や「耳をすませば」などは、本当に実在する街やスポットをモデル(細部は違いますが)としていますが、恭介たちの住む街の大部分は、作者まつもと先生の考えた「架空の街」です。
もちろん、本当に街並みを見渡せる百段階段があったら見に行ってみたいものですが、「架空の街」だからこそ作品を見る楽しさがあるとも思います。
ただ、「abcb」というお店だけは、本当にどこかにないかなあと思うのですけどね(苦笑)。


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