混ざり合って一つになること。 それが恋人同士の最後の願いなのだとしたら。 きっと、震える程の幸せなのだろうと思うのです。 腰へと押し付けられた、カカシ先生の熱さ。 イルカ先生はじわりと溢れる涙に、視界を歪めました。 目の当りにしてしまった欲望という形が怖いのです。 欲望を向けられている対象が、自分だということが怖いのです。 カカシ先生・・・。 イルカ先生は心の中でそっとカカシ先生の名前を呼びました。 「イルカ先生」 熱く湿った声色で、カカシ先生が肩越しにイルカ先生を見つめます。 後ろから抱き抱えられるようにしているので、その瞳はとても近くにありました。 普段は涼しそうに見えるカカシ先生の眼差しが、今日は心なしか潤んでいます。 眉根を寄せて、どこか苦しそうです。 「イルカ先生」 耳の中に吹き込まれるように、カカシ先生がイルカ先生の名前を呼びます。 その声の温度。 イルカ先生はたまらずに、喉の辺りに詰まっていた空気を吐き出しました。 「んっ」 鼻を抜けるように出てしまった声は、自分でも吃驚するほどの甘やかさでした。 途端、イルカ先生は真っ赤になりました。 こんな女の人のような声を、男である自分が出してしまって、 カカシ先生は呆れたかも知れない・・・と、そう思いました。 恐る恐る、肩越しにカカシ先生を振り返ります。 ぶつかり合った視線。 カカシ先生は先ほどよりももっと、もっと濡れた欲情を浮かべていました。 「ごめん。俺、きっと我慢できません」 何を? ・・・・そう思って、改めてカカシ先生の顔を覗き込んだイルカ先生は、 その刹那、唇を深々と貪られていました。 「はぁっ」 歯と歯がぶつかるほどに激しい、それは、口付けでした。 噛み付くように降ってきます。 イルカ先生の下唇のふわふわな部分が、カカシ先生の前歯で噛み締められます。 噛み締められた所から、じわじわとした何ともいえない感触が這い上がってきます。 痛いような、もっと強く噛んで欲しいような。 イルカ先生はぶるりと背筋を震わせました。 ほんの少し離れた唇と唇。 互いが空気を求めます。 「はぁ、はぁ」 上手く飲み込めない空気を、イルカ先生は何とか吸い込みます。 「ごめん。ごめんね」 カカシ先生が辛そうな声を響かせました。 その声色が何とも悲しそうで。 だからイルカ先生は、捲り上げられたシャツの隙間から忍び入ってくる手にも、 スルリと腿を撫で上げる手にも、抵抗はしませんでした。 熱さを持った手は怖かったけれど、それは他の誰でもない、カカシ先生のものだったからです。 でも。 気持ちに身体がついてはいかない。 一つになりたいのだけど。 「あっ、ひゃっ」 足の付け根を、ぐっと押さえられ、イルカ先生はまた声を上げました。 カカシ先生の指が微かに中心に触れます。 触れた所からぴんっと力がそこへと宿ります。 「あ・・・あ・・・あぁ・・・・」 カカシ先生の腕に捕われたまま、イルカ先生は足でシーツを蹴りました。 まるで必死に水中を泳ぐ仕草で。 スルリと、水の感覚と同じ動きで、カカシ先生の冷たい指先が胸を滑ります。 スルスルという音が聞こえてきそう。 やがてその手の平は、イルカ先生の胸の小さな実にそっと触れました。 「んっ」 クルリと輪を描くように、指先がそこで回ります。 そうして、中心を昇るように捏ねまわされます。 「あっ・・・ああ」 イルカ先生は、その施される感触に何度も何度も息を殺しました。 「イルカ先生・・・硬くなってきましたよ」 腰を密着させながら、カカシ先生が熱く囁きます。 「あ・・・・そ、そんなこと言わないで・・・」 次第に気持ち良くなっていくその部分の刺激を感じながら、 イルカ先生は涙ながらにカカシ先生に懇願しました。 「だって、本当ですよ?」 クリクリと擦られながら、カカシ先生が堪らないという口ぶりで続けます。 手は、下肢を伝ってイルカ先生の雄の証明を握りとります。 「ふわぁっ」 キュッと握られた途端、ヘロンと力が抜けました。 驚く程の快感です。 緩く立ち上がっていた感触から、一気に力の入った感触へ。 カカシ先生の手が、イルカ先生を怖がらせないように、それを優しく撫でまわします。 先端のぷっくりとした部分を執拗に触ります。 「か、カカシせんせぇ・・・」 「イルカ先生・・・・気持ちいい?」 「んぅ」 イルカ先生の快感の度合いを推し量ろうとするように、 カカシ先生がイルカ先生の身体と向き合う形に方向を変えます。 両足の間にカカシ先生の身体を受け入れる体勢にされ、 イルカ先生は恥ずかしげに目線を逸らしました。 「ごめんね。一緒に気持ち良くなって?」 そう言うと、おもむろにカカシ先生は自分の着ているズボンをずらしました。 表れたそのモノの大きさに、イルカ先生はハッとしました。 そこは硬く屹立し、天を仰ぎ、震えていました。 「イルカ先生を見てたら・・・こうなりました・・・」 恥ずかしそうに、カカシ先生が言います。 「ごめん・・・イルカ先生のこと、好きだって思ったら・・・」 まるで言い訳のように、カカシ先生が続けます。 そっと取り上げたイルカ先生と、カカシ先生自身のモノを、 身体をずらしながら、ゆっくりと擦り合わせていきます。 熱い、質量のある塊が、涙を零しながら慰め合う。 なんて淫らなんだろう・・・。 イルカ先生はその光景に、瞼の裏の白くなる、眩暈を覚えました。 くちゅり、くちゅり、という濡れた音は、カカシ先生が腰を動かす度に小さく響きます。 互いを突付きあうように、愛撫しあいます。 「あぁ!駄目っ・・・」 イルカ先生は自然揺れてしまう腰の動くまま、解放への道を辿りました。 染み出すように、先端から液体が流れます。 「カカシ先生っ」 ぎゅっと瞑った瞳が、感覚の鋭さを増すのでしょうか。 ドクドクと流れ出る、自分自身の体液の音を、イルカ先生は耳にしました。 「はぁはぁ・・はぁ・・・」 イルカ先生の達した姿を目にして、カカシ先生がゆっくりと身体を離しました。 何だか酷く切ない瞳が、イルカ先生をじっと見つめてます。 「・・・・好きです」 そう言って、ギュウッとカカシ先生はイルカ先生を抱きしめました。 もう、何と言い表して良いか分からない程に、 カカシ先生はイルカ先生のことが好きで、好きで堪らなかったのです。 「こんな気持ちになったのは、イルカ先生が初めてです」 イルカ先生のすべらかな肩口に、鬱血の痕を付けていきながら、 カカシ先生はうっとりと呟きました。 「・・・・初めて・・・?」 カカシ先生の未だ続く、熱い、たかぶりを腹に感じ、抱きしめられながら、 イルカ先生はカカシ先生の言葉を追いました。 「ええ。こんなに人を好きになるのは初めてですよ」 カカシ先生はにっこりと笑いました。 「・・・でも・・・きっとこれから、もっと、もっと、 俺以上に好きになる人が現れるかも知れませんよね?」 イルカ先生は天井を見上げながら、そう言いました。 「え?」 カカシ先生がギョッとした様子で、イルカ先生の顔を見つめました。 どうしてそんなことを言うんだ?という顔で。 「きっと、カカシ先生には俺よりもいい人が現れますよ」 イルカ先生は今、自分のできる最高の優しさで、静かに言い放ちました。 笑えては・・・いないかも知れないけれど。 「どうして・・・?」 カカシ先生の「分からない」という表情が、イルカ先生に苦しく迫ります。 イルカ先生は逃げるように、カカシ先生から顔を逸らしました。 index 新世界 12