新世界 11




混ざり合って一つになること。
それが恋人同士の最後の願いなのだとしたら。
きっと、震える程の幸せなのだろうと思うのです。



腰へと押し付けられた、カカシ先生の熱さ。
イルカ先生はじわりと溢れる涙に、視界を歪めました。
目の当りにしてしまった欲望という形が怖いのです。
欲望を向けられている対象が、自分だということが怖いのです。

カカシ先生・・・。

イルカ先生は心の中でそっとカカシ先生の名前を呼びました。

「イルカ先生」

熱く湿った声色で、カカシ先生が肩越しにイルカ先生を見つめます。
後ろから抱き抱えられるようにしているので、その瞳はとても近くにありました。
普段は涼しそうに見えるカカシ先生の眼差しが、今日は心なしか潤んでいます。
眉根を寄せて、どこか苦しそうです。

「イルカ先生」

耳の中に吹き込まれるように、カカシ先生がイルカ先生の名前を呼びます。
その声の温度。
イルカ先生はたまらずに、喉の辺りに詰まっていた空気を吐き出しました。

「んっ」

鼻を抜けるように出てしまった声は、自分でも吃驚するほどの甘やかさでした。
途端、イルカ先生は真っ赤になりました。
こんな女の人のような声を、男である自分が出してしまって、
カカシ先生は呆れたかも知れない・・・と、そう思いました。
恐る恐る、肩越しにカカシ先生を振り返ります。

ぶつかり合った視線。
カカシ先生は先ほどよりももっと、もっと濡れた欲情を浮かべていました。





「ごめん。俺、きっと我慢できません」



何を?
・・・・そう思って、改めてカカシ先生の顔を覗き込んだイルカ先生は、
その刹那、唇を深々と貪られていました。
「はぁっ」
歯と歯がぶつかるほどに激しい、それは、口付けでした。
噛み付くように降ってきます。
イルカ先生の下唇のふわふわな部分が、カカシ先生の前歯で噛み締められます。
噛み締められた所から、じわじわとした何ともいえない感触が這い上がってきます。
痛いような、もっと強く噛んで欲しいような。
イルカ先生はぶるりと背筋を震わせました。
ほんの少し離れた唇と唇。
互いが空気を求めます。

「はぁ、はぁ」
上手く飲み込めない空気を、イルカ先生は何とか吸い込みます。
「ごめん。ごめんね」
カカシ先生が辛そうな声を響かせました。
その声色が何とも悲しそうで。
だからイルカ先生は、捲り上げられたシャツの隙間から忍び入ってくる手にも、
スルリと腿を撫で上げる手にも、抵抗はしませんでした。
熱さを持った手は怖かったけれど、それは他の誰でもない、カカシ先生のものだったからです。

でも。
気持ちに身体がついてはいかない。
一つになりたいのだけど。



「あっ、ひゃっ」
足の付け根を、ぐっと押さえられ、イルカ先生はまた声を上げました。
カカシ先生の指が微かに中心に触れます。
触れた所からぴんっと力がそこへと宿ります。
「あ・・・あ・・・あぁ・・・・」
カカシ先生の腕に捕われたまま、イルカ先生は足でシーツを蹴りました。
まるで必死に水中を泳ぐ仕草で。
スルリと、水の感覚と同じ動きで、カカシ先生の冷たい指先が胸を滑ります。
スルスルという音が聞こえてきそう。
やがてその手の平は、イルカ先生の胸の小さな実にそっと触れました。
「んっ」
クルリと輪を描くように、指先がそこで回ります。
そうして、中心を昇るように捏ねまわされます。
「あっ・・・ああ」
イルカ先生は、その施される感触に何度も何度も息を殺しました。
「イルカ先生・・・硬くなってきましたよ」
腰を密着させながら、カカシ先生が熱く囁きます。
「あ・・・・そ、そんなこと言わないで・・・」
次第に気持ち良くなっていくその部分の刺激を感じながら、
イルカ先生は涙ながらにカカシ先生に懇願しました。
「だって、本当ですよ?」
クリクリと擦られながら、カカシ先生が堪らないという口ぶりで続けます。
手は、下肢を伝ってイルカ先生の雄の証明を握りとります。
「ふわぁっ」
キュッと握られた途端、ヘロンと力が抜けました。
驚く程の快感です。
緩く立ち上がっていた感触から、一気に力の入った感触へ。
カカシ先生の手が、イルカ先生を怖がらせないように、それを優しく撫でまわします。
先端のぷっくりとした部分を執拗に触ります。
「か、カカシせんせぇ・・・」

「イルカ先生・・・・気持ちいい?」
「んぅ」
イルカ先生の快感の度合いを推し量ろうとするように、
カカシ先生がイルカ先生の身体と向き合う形に方向を変えます。
両足の間にカカシ先生の身体を受け入れる体勢にされ、
イルカ先生は恥ずかしげに目線を逸らしました。


「ごめんね。一緒に気持ち良くなって?」
そう言うと、おもむろにカカシ先生は自分の着ているズボンをずらしました。
表れたそのモノの大きさに、イルカ先生はハッとしました。
そこは硬く屹立し、天を仰ぎ、震えていました。
「イルカ先生を見てたら・・・こうなりました・・・」
恥ずかしそうに、カカシ先生が言います。
「ごめん・・・イルカ先生のこと、好きだって思ったら・・・」
まるで言い訳のように、カカシ先生が続けます。
そっと取り上げたイルカ先生と、カカシ先生自身のモノを、
身体をずらしながら、ゆっくりと擦り合わせていきます。
熱い、質量のある塊が、涙を零しながら慰め合う。
なんて淫らなんだろう・・・。
イルカ先生はその光景に、瞼の裏の白くなる、眩暈を覚えました。

くちゅり、くちゅり、という濡れた音は、カカシ先生が腰を動かす度に小さく響きます。
互いを突付きあうように、愛撫しあいます。
「あぁ!駄目っ・・・」
イルカ先生は自然揺れてしまう腰の動くまま、解放への道を辿りました。
染み出すように、先端から液体が流れます。
「カカシ先生っ」
ぎゅっと瞑った瞳が、感覚の鋭さを増すのでしょうか。
ドクドクと流れ出る、自分自身の体液の音を、イルカ先生は耳にしました。

「はぁはぁ・・はぁ・・・」

イルカ先生の達した姿を目にして、カカシ先生がゆっくりと身体を離しました。
何だか酷く切ない瞳が、イルカ先生をじっと見つめてます。


「・・・・好きです」

そう言って、ギュウッとカカシ先生はイルカ先生を抱きしめました。
もう、何と言い表して良いか分からない程に、
カカシ先生はイルカ先生のことが好きで、好きで堪らなかったのです。

「こんな気持ちになったのは、イルカ先生が初めてです」

イルカ先生のすべらかな肩口に、鬱血の痕を付けていきながら、
カカシ先生はうっとりと呟きました。

「・・・・初めて・・・?」

カカシ先生の未だ続く、熱い、たかぶりを腹に感じ、抱きしめられながら、
イルカ先生はカカシ先生の言葉を追いました。

「ええ。こんなに人を好きになるのは初めてですよ」

カカシ先生はにっこりと笑いました。


「・・・でも・・・きっとこれから、もっと、もっと、
俺以上に好きになる人が現れるかも知れませんよね?」

イルカ先生は天井を見上げながら、そう言いました。

「え?」

カカシ先生がギョッとした様子で、イルカ先生の顔を見つめました。
どうしてそんなことを言うんだ?という顔で。

「きっと、カカシ先生には俺よりもいい人が現れますよ」

イルカ先生は今、自分のできる最高の優しさで、静かに言い放ちました。
笑えては・・・いないかも知れないけれど。


「どうして・・・?」


カカシ先生の「分からない」という表情が、イルカ先生に苦しく迫ります。
イルカ先生は逃げるように、カカシ先生から顔を逸らしました。















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