結婚するためには何がいるかな。 カカシ先生は考えました。 「結婚してもいいよ」 イルカ先生が、ほんわり、ほんわり笑って言ってくれてから、5日が過ぎました。 カカシ先生はぎゅうっとイルカ先生を抱きしめて、泣き出しそうな声で、 「ありがとう」 と告げました。 すると、イルカ先生は、やっぱりほんわり笑いました。 その様子は恥ずかしそうで、可愛いという形容のままでした。 結婚するのに、何がいるのかわからなくて、 カカシ先生はやっぱりイルカ先生に相談しました。 「イルカ先生、何を準備したらいいでしょう?」 アカデミーの職員室で、試験の採点をしていたイルカ先生の前に、 空いた椅子を引きずってきて座り、カカシ先生が尋ねます。 「そうですねぇ」 手に持っていた赤いペンに、きゅぽっとキャップを被せると、 イルカ先生がカカシ先生へと向き直ります。 「住む所をどうします?」 少し困ったような、それでいて照れた顔をして、イルカ先生が首を傾げます。 「ああ!そうでしたね!」 手をポンッと叩くと、カカシ先生は大きく頷きました。 イルカ先生は、狭いアパートに一人で住んでいます。 カカシ先生もやっぱりアパート住まいです。 「どこか小さくてもいい。一軒家がいいですね」 小さい時、両親を亡くしたというイルカ先生に、家の暖かさをまた味わって欲しい。 カカシ先生はそう思いました。 カカシ先生もまた、家の暖かさを知らないで育ちましたので、 イルカ先生と二人だけで穏やかに暮らしたいという思いがありました。 「じゃあ、どこか探さなくてはいけませんねぇ」 イルカ先生が、う〜んと考え込みます。 「探しに行きましょう。イルカ先生、夕方、お時間ありますか?」 提案を口に出したカカシ先生は、何だか少しはしゃいだ様子です。 「ええ。夕方ですね。わかりました。探しに行きましょうか」 カカシ先生の言葉に、イルカ先生が頷いて返事をします。 こうして、二人は新居となるべく家を探しに、夕方の街を歩くことになりました。 「小さくてもいい。庭があるといいです」 イルカ先生が、アカデミーの校門で待っていたカカシ先生に洩らした言葉です。 庭で、家庭菜園をするのがイルカ先生の夢なのだそうです。 カカシ先生はその夢を叶えてあげたくて、イルカ先生に微笑んで頷きました。 すると、イルカ先生は嬉しそうにカカシ先生を見上げました。 「大根も、ナスもトマトも、採れ立てがおいしいんです」 大きく伸びをしながら、イルカ先生がにっこりと笑います。 お家の話になると、イルカ先生は笑ってばかり。 カカシ先生にはそれが嬉しくてたまりません。 「じゃあ、行きましょうか」 そう言って、カカシ先生はイルカ先生へと手を伸ばしました。 「あ・・・・」 イルカ先生が、小さく呟いて、その差し伸べられた手を見つめます。 「あっと・・・手、繋ぎませんか?」 イルカ先生の視線の先が、自分の差し出した手だということを知って、 カカシ先生は些か慌てた様子で、そう言いました。 「・・・・・・」 じっと見つめていた手に、イルカ先生がおずおずと震える手を絡めます。 恥ずかしくて、恥ずかしくて。 恥ずかしい位に熱い、その手を、指先を。 ほんの少し、触れては戻るその指先を、カカシ先生はぎゅうっと握り込みました。 まるで、もう離れたくないという仕草で。 「さぁ、行きましょう」 安心させるように、カカシ先生がイルカ先生に笑います。 「はい」 二人のお家。 探して、歩く。 二人は夕方の街へと一歩踏み出しました。 index 新世界 3