ぐったりまったりイベントその2 〜親父登場〜
ムジローはアーセレナ戦地へ行き戻ってからというものすこぶる体調が優れない。
体がきしみ、だるい。胸から腹にかけて時折大きく何かの鼓動が聞こえる。
最初は少し不安に思い、大人しく。居た が…ある日
ガッシャーーーーン… パリン! パリンパリン…
「っっしゃああーーー!!!!
もおおーーーーうお我慢ならんっ!!!だんだん腹が立ってきた!!!!」
お昼過ぎの平和な午後に轟いた雄たけびは
屋根の上で暴れたムジローのとうとう切れちゃいました、な物だった。
大人しく寝ていたムジロー。
原因等色々思考するうちに、わけもかららず俺がなにした状態においちり、とうとう逆ギレという始末。
酒瓶をブン投げ、なにやら暴れた後。その最中もずっと体はギシギシ言っていたが。
ガンガンガンガン!!!!
「やああーーーっかましいのはアンタでしょお!!?
突然大声出さないでよ!!!近所迷惑よ!!!」
フライパンにおたまを殴りつけながら窓から顔をだし上を見上げ
これまた怒鳴り散らすラルトム。
前髪が少し焦げていた。
「うし。俺ぁーーこれからちょっとなまった体ぁ締めて来らぁ。」
屋根の上、大股開いて遠く見つめる一人。
フシュー。鼻息荒く、にたリ笑った顔は何かふっきれた顔だった。
否ヤケとも言う。
ダンッ!
「ひゃっほう!」と裏声すっ飛ばしたと思えば景気良く屋根を蹴り飛び降りる。
馬鹿丸出し、と窓から顔を出していたラルトムは呟くと眼を伏せた。
何かが弾けたムジローは見れたもんじゃなかったとか。後日談。
「オラ!!お前ェも来い!この前の稽古から全然やって無ェだろお前!!」
大きく屈伸をした後振り腕を大きく振りながら声を飛ばす。
「っええーー!!?今日もお!?」
「唖保かお前ゃあ!毎日しないで強くなる訳ぁ無ェだろ!!」
めずらしく怒る側の立場が反対になるのはこの時だけだ。
ラルトムはれっきとした自分の属性に合った武器も持ち、魔法も習ってるとはいえ
あまり、その。運動じたいが好きではなかった。
しかし「旅を続ける中で俺が居らん時どうするつもりだ」の一言にグッとき、
それ以来ムジローに稽古つけてもらってるのだ。
「…うー。」
エプロンを取り、焦げた前髪を撫で付けながら手に勺杖を持ちノロノロとラルトムが出てきた。
ラルトムの属性は雷だ。勺杖に電磁波を集め、放出する。
才能が無いわけではないが、鍛錬も積まないのであまり実績は無い。
それにいつもムジローが居たので、使う時も無かったのだ。
「ウラ。俺ぁそいつぁ使え無ェからどーもこーも言え無ェが、基礎体力位はつけやがれ。」
「…今日は何するのーー?」だらけた声でラルトムが言った。
パンパンッ!!(両手軽やかに叩き大股広げ勢い良く指差すは数十メートル先にある岩石の山。)
ギクリ。ラルトムの肩がすくんだその時
「ひゃああーーーーーーっぽーーーーーーーん
ノオオオーーーーックぁアーーーーー!!!!!!!」
(響く大声はそれはもうとても楽しそうな声で。眼が。口が。顔全体でにたあと笑っている。 不気味だ。)
「またあああ!!?」
ガスッ!!!ラルトムが素っ頓狂な声を上げた途端、ムジローの拳は飛ぶ。
ラルトムに脳天チョップをかまし、大きく胸を張り声を荒げた。
「文句言ってんじゃ無ェ!!
いいか、そいつ(勺杖を指差し)を使ってもいい。何でもいい。
あの岩を自力で崩せ。もしできなかったら俺がト・ド・メ・る。」
「なっ!無理よう!電気って岩とか効かないんだから!!」
「わかっちょるわいそんな事。そこは頭を使いたまえ。」
こいつに一番言われたくない言葉だ。
「あ、頭って…。もーーー!!わかんないよ!!」
バリッ!闇雲に勺杖を振りかざし、大きく息を吸うと杖の先に電気が走る。大気中から集めた電磁波、徐々に大きくなると…
「どぅ りゃああーーーーあ!!」
大きく振り下ろされた杖の先から楕円形の巨大な電気の塊が岩石の山めがけて放たれた。
その時だ。岩石の山の向こうから、人影が頭を出し
「トーーーーーオぐわああああああああああ!!!!!」
ドオンッ…!!轟音を立て岩が崩れたのはラルトムの一撃の為では決してなかった。
放った巨大な塊は
顔を出し声を上げたその人影へと ヒットしたのだ。
「っーーーーーー!!!!!!!?!!!?!!?!!?!」
顔面蒼白。勺杖を両手で握り締め、目を見開き口をパクパクさせながら
ムジローの着物の裾を必死に引っ張るラルトム。
一方ムジローはしばし同じ顔をしていたが、やがてラルトムの肩をポンと叩き…
ニコリ…!!
笑ったのだ。
「ノープロブレム!!」
「何がモウマンタイ(無問題)よーーーー!!!!!!」
スカーん!!親指立てて微笑んだムジローの頭を勺杖で殴り急いで岩場へと走り出したラルトム。
血が出た額を押さえつけながらヤレヤレと追うムジロー…
人影は岩場の後ろへ倒れていた。 さっきの轟音はこの人影が倒れた時に一緒に周りの岩も崩れた音だろう。
人影は、運良くその岩に押しつぶされず倒れていた。
否生きてるかどうかは不明だ。
クリーンヒットとまでは行かずとも、放電はしてるであろうな。
なんて呟いたのはムジロー。
「ちょっ…ご、ごめんなさ…大丈夫!!?」
うつ伏せる人影はでかい図体をした、男だ。
辺りにちらばる大きな荷物。ボロボロの穴あきマント。格好からして冒険者のようだった。
ラルトムが一生懸命仰向けにしようと重い体相手に奮闘していると
ムジローが立ったまま、足でゴロリ蹴り転がした。
「っ!!アンタ、人様…しかも怪我人に何ちゅう事を!!」
そう突っ込むや否や言葉は止まる。
ムジローはまだその男を蹴った後の踏んだまま、ラルトムはムジローに裏拳かました格好のまま、口をポカンとあけていた。
そして二人同時に
「ッッッ…!!!!」
「パパああ!!?」
「グルシスッ…!!!?」
全身ちょっぴり焦げ、白眼向いて口から煙を出して足元に転がってる男は
実の娘に一撃食らわされ、息子息子といじめ倒した男に足蹴りにされた
あわれな父親だった。
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その後親父は焦げたまま家へ運ばれ療養中(いきなり大怪我)
…続く
お犬さまから一言 …んうー…(訳:ご飯まだあ?)