ない最近はちょA


 バーストリテイリングは過小資本の上に、
浮動株が少ない。浮動株が少ないと、
ちょっとした株の売買で株価は、乱降下
するようになる。

 浮動株とは、大衆株のことで、市場を
転々としている株のことだ。証券取引所は
投資家保護の名目で、浮動株数や浮動
株主数が一定の基準を下回ると、一部
上場企業は第二部へ落とし、二部上場
企業は上場廃止にするという規則を
設けている。

 そこで、株の買い占め屋などは、最低
浮動株基準を逆手に取り、狙った会社に
買い漁った株を高値で買い戻させて
荒稼ぎをするわけだ。

 柳沢の別荘の、贅を尽くしたサロンでは、
大きな暖炉がブナや白樺の薪の炎をあげ、
10人の男がマホガニーのテーブルを
囲んでいた。

 部屋には、ジュラルミンのトランクケースが
数十個置かれている。そのトランクの
前には、頬に傷のあるいかにも強面の
男が、ヒップホルスターからシグザウエル
P226のピストルを見せびらかしていた。

 そして、トランクケースが置かれている
位置とは反対のほうには、アタックザックが
数個あった。その前にも、腕に覚えが
ありそうな屈強な男が、ワルサーP38を
ちらつかせながら、頑張っていた。

 シグの方は、山誠会の男で、ワルサーの
方は青龍組の男だ。

 テーブルを囲んでいる男たちは、
バーストの会長である柳沢正と社長の
義正、バーストのメインバンクの東京四菱
銀行頭取の浅井、四菱商事の社長岡田、
それに会社乗っ取りや株の買い占めで
暴利をむさぼる大日本船舶振興協会の
終身会長樺山とその4男の資紀と、資紀
が社長をやっている、水難商事の秘書課
連中4人だ。

 水難商事は、全国のボート競技場を
経営し、その競技場内の食堂や喫茶店
だけでなく、弁当やジュース、アイスク
リーム、アルコール類などの販売を
一手に引き受けている。

 社団法人大日本船舶振興協会は、
年間4兆円以上の売上がある。

 最近の競技は、ますますスピードが
アップされた船が使われている。それに
伴いエンジンのトラブルが増え、舵の
故障の発生率は上がった。転覆や
接触事故も多く、ギャンブル性が強調
され、素人でもまぐれ当たりがあること
から、人気を呼んでいるのだ。

 財団法人船舶事業発展協会は、ボート
競争の売上金の一部を吸い上げ、
造船事業の助成金とするほか、その他の
公益事業を行うことを目的に設立
された。この協会の会長も樺山が
やっている。

 発展協会が振興協会から受け取る額は
総売上の7パーセントだ。したがって、
年間3000億円ほどだ。

 発展協会は吸い上げた金の一部を
交付金という形でほかの団体に与える
わけだが、受け取るほうの団体も樺山、
もしくわその一族が支配している。

 そのため、樺山は無尽蔵ともいえる、
金を使い自分の野望に突き進んでいる
わけだ。

 発展協会は財団法人で、特殊法人とは
違うから、樺山が交付金を受け取る
側の団体の会長や理事長をしていても
なんら違法ではない。

 サロンに、カクテルを積んだワゴンが
入ってきた。ワゴンを押すのは、20歳の
ロングドレスをまとった女だ。フェラチオが
上手そうな唇と、一重に見えるが奥二重
の童顔の女だ。ドレスの谷間からはみ出し
そうなほど発達した巨乳がいやらしい。

 グラビア雑誌を最近賑わしている、
小酒井若菜だ。受験浪人生が毎晩
お世話になっていると言われている。
少年雑誌の表紙を飾ることもよくあり、
小学生のオナニーデビューを手伝って
くれることでも有名だ。

 若菜は男たちの注目を浴びながら、
バーストの柳沢正の傍により、軽く
唇を合わせた。若菜は正の愛妾だ。

 若菜はグラビア雑誌では人気だが、
まだまだ売り始めの女優であるから、
二人の関係は世間にはでていない。

 周りの男たちが、視線のやり場に困り
天井や部屋の壁を見ている隙に、若菜は
そっと樺山にウインクした。

 「皆様、今日はゆっくりとくつろいで
ください。私が皆様のお好きな飲み物を
ここで作らせていただきます。遠慮なく
おっしゃってくださいね。」

 若菜は甘ったるい、声で言った。動作を
する度に、巨乳が揺れる。若菜が
普通にいるだけでも、軽犯罪法違反だ。

 今日、柳沢の別荘に男たちが集まった
のは、樺山の水難商事が買い占めた
バーストリテイリングの浮動株を、
バースト側に買い戻してもらう交渉を
行うためだ。証券取引所を通さずに
直接取引きすることになっていた。

 今日集まるまでに、幾度か柳沢と
樺山の間で交渉はあったがやっと
決着をつけることになったのだ。


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