っぴりわかりかけB


 証券取引所の上場基準によると、第一部
銘柄の上場株式数が2000万株を切った
場合や、株主数や売買高が極端に減少
した場合は第二部に格下げされることに
なっている。

  大日本船舶振興協会と 船舶事業
発展協会とその子会社達が、柳沢の
バースト株を買い漁ったのは去年の
夏ぐらいからであった。

 バブル期に拡大路線を一直線に突き
進み不良債権を膨大に抱えてしまった
大手小売業界とは対照的に、柳沢の
バーストはアジアからローコストで調達
した衣料品を好調に販売しつづけている。

 バーストの株価は、樺山が買い始めた
頃は一万円前後だったが、樺山の
買いが噂されて一時期5万円を超えるま
でに急騰した。

 今年3月の名義書換の段階で樺山が
買った株が数十万株づつ、数回に渡り
出てきた。そして、名義書換の最終リス
トが出てきた時点では、バーストの株を
700万株ほど取得していたことが
わかった。

 柳沢兄弟は焦った。早速、知り合いの
政治家に樺山への紹介状を書いてもらい
樺山資紀のところに挨拶をしにいった。

 そこで、兄弟は樺山一族が買い集めた
バースト株は1400万株ほどにもなる
ことを知り、さらに驚愕した。

 バースト株の総発行数は約6000万
株ほどだから、1400万株は全体の
20パーセントを超えてしまう。樺山は
バーストに役員を数人送り込むことも
できてしまう。

 顔面蒼白になり震え上がった柳沢に、
樺山資紀はこう言った。

 「どえらいことになってしまいましたね?
もし、我々が今度の株主総会であなた
たち柳沢一族の実態を公表したりしたら、
どうなると思います?心配しなくてもいい
ですよ。私達は善人だ。あなたたちを苦し
めるようなことはしません、協力します
よ。」

 と、笑いながら言った。

 プレミアム付で、株を買い戻せといった
わけだ。

 「ありがとうございます。しかし、1400
万株ともなると、簡単にはいきません。
私達だけの一存ではどうにも・・・。
メインバンクである東京四菱信託銀行
さんのほうとも相談しませんと・・・。」

 結局、日を改めて交渉をすることに
なった。

 数度、柳沢と樺山の間で交渉が行われ、
柳沢側は一株当たり、19000円でなら
交渉に応じると言った。

 そして、今その最終交渉が行われて
いるのだ。

 99年はIT株が暴騰した年だった。創業
まもないインチキ企業の株がIT関連だと
いうことで、とんでもない価格にまで上昇
した。

  「21世紀はインターネットの世紀になる。
であるからには、これからインターネット
関連の需要は爆発的に増える筈だ」

 という前提のもとに、情報通信関連の
株が他の産業の株価がジリ貧にもかか
わらず、急騰した。

 しかし、いかにITが革命的であるとは
いえ、情報関連の中でも創業間もない
企業は赤字決算が続いており、この先
本当に黒字になるかはわからないといっ
た否定的な意見も多かった。

 樺山一族は、その頃ある企業の株を
買い漁っていた。ライト通信株だ。


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