ミスチル IN 小説

この物語はフィクションであり、
人物、団体、地名は架空です。


第一章

アルファとスカGT−R
海崎あゆみ
深夜の首都高速
AR18ライフル
猟小屋
犯す


アルファとスカGT−R

 文京区にあるフォーシーズンホテル梅山荘は2万坪の庭園をもち、四季折々の
美しい景観が広がる。客室は広く、ゆったりと落ち着いた雰囲気だ。全500台を収める
ことのできる駐車場は無料だ。
 異常なまでに熱い夏の夜、そのホテルの駐車場に1台のアルファロメオ156と、
もう1台のスカイラインGT−Rが、時たまエンジンを回して、とまっていた。
 アルファロメオの中にいる男は、美しく整った顔にサングラスをつけていた。
痩せては見えるが胸板は厚い。32歳だ。名前は桜井という。
 その横に止めてあるスカGT−Rの男は髪を長髪に伸ばし、不精髭を蓄えた
陽気そうな男で、鈴木という。33歳だ。年よりかなり老けて見える。
 桜井のアルファも、鈴木のスカGT−Rも太いタイアを除けば、外観上
一般市販車とあまり変わりはない。だが、時より回すエンジンの音が違った。
 アルファのほうは市販の2リッターのエンジンを3リッターの156GTAのエンジンに
代えてあった。ブレーキはポルシェ用のものを使っている。色はシルバーだ。赤だと目立つ。
 スカイラインGT−Rのほうは2・6リッター・ツイン・ターボ・エンジンをコンピューター・
チューンとターボ・ブースト比アップで、1気圧にした場合、400馬力を出す。緊急時に
1・2バールに上げると450馬力を絞り出す。ブレーキは当然のこと4輪独立ABSだが
ヴェンチレート・ブレーキ・ディスクはブレンボ、4ピストン・キャリバーはAPに交換済みだ。
クラッチもサスペンションも強化してある。どちらも羊の皮をかぶった狼なのだ。
 今二人が待っているホテルの大宴会場では、海崎あゆみが、華々しいパーティーを
繰り広げていた。


海崎あゆみ

 海崎あゆみは、本名を海崎歩という。海崎は現在、超売れっ子の歌手として華麗な人生を
送っていた。98年のデビュー以来、着実にレコードの売上枚数を伸ばしている。
 その独特のファッションセンスが注目を集め、女子中高生のカリスマ的存在としてもてはやされる。

 2000年ベストネイリスト、ベストジーニスト、ベストドレッサー賞を受賞。本業の歌のほうでも
アーティストセールス大賞、アルバム部門セールス大賞の受賞、紅白歌合戦への出場など、
その勢いはとどまるところをしらない。
 そのパーティーには、 新興市場「東証マザーズ」への上場第1号として脚光を浴びている、
ソリッドオーディオヤーパンが、 上場記念パーティをおこなっているのである。
  社長の大田は、株価の高取引について「第1号ということで、ソリッドの評価はマザーズの評価
につながる。非常に責任を感じている」とぶった。今後の事業方針については、「インターネット上の
配信のみではなく、コンビニなどに設置されるキオスク端末に向けた配信も行なう。
そちらからの収益も多くなるだろう」としている。おりからのITバブルで株価は一株あたり
1200万円を越していた。
 このパーティーには海崎のほかにも、メディアで有名な芸能人が出席している。

 
対外的なアピールを狙って開かれたこのパーティーは事業面の透明さを示すことよりも
株価操作を行うためのものだ。社長の大田も、それを影から操っているアメリカの
親会社も欲の皮のつっぱったカモに割高の株を買わせようとする魂胆なのだ。


深夜の首都高速

 それから、2時間後パーティーは終わった。背広の下に拳銃を吊った
強面の用心棒に守られ、有名人たちは自分の車に乗り込んで夜の町を
泳ぎに行く。テレビの前では紳士面をしてる氷室哲哉もかなりの女好きだ。
 桜井はフルスモークで中が見えないベントレー・アルナージに乗り込む氷室に
軽い嘲笑をくれてやった。心の中で、次はおまえだと呟く。
 海崎が地下のエレベーターを使い、ひどく寒気のする駐車場に、ボディーガード
3人に前後を守られ、腰を振りながら歩いてくる。テレビ移りを考慮してか
ひどく痩せてはいるが、そのいやらしい唇で一回は天国へ行きたいものだ。
 海崎はメルツェデス・ベンツS600の後部座席に乗り込んだ。全長で5メートルを越す
それは堂々としている。だが、その見た目の威厳を重視するあまり、大きくて
重すぎるという不評もある。海崎は車には無知だったが、ブランドと高いものが
男と同じぐらいに好物なので、事務所に頼み込んで経費として購入させたのだ。
 若干20歳の彼女にとって、そのベンツの後部座席に深深と身を委ね、
窓外にうつる同年代のカップルを見るのがなんとも言えない至福のときだった。
 全部座席に運転手とボディーガード一人、後部座席の右に海崎、左に事務所の
山田を乗せていた。そのベンツの前を白のハイエースが先導する。ボディーガード
二人が乗っていた。
 2台の車はホテルの目が回りそうになる、上り口をあがり、地上に出てきた。
 桜井と鈴木の改造スポーツカーはその後を追う。地方では珍しいアルファも
東京ではかなりの玉数が出ているので、あまり目立たない。
 海崎御一行の2台の車は、今をトキメクその勢いを象徴するかのように
強引な割り込み、信号無視を繰り返し、首都高速に向かっていた。途中、何度か
警邏のポリに遭遇したが、S600のフルスモークのそれをみて、交通切符を
切ることを躊躇った。
 桜井はそんな彼女らの無能振りを鼻で笑いながら、スマートな運転技術で
追跡する。バックミラーさえも見ることがない奴らだが、念のため間に
5台ぐらい車を入れていた。鈴木も桜井の後ろを悠々と走る。
 海崎たちの車は霞ヶ関ランプから首都高速に乗った。桜井は平均して
150メートルぐらいの間隔をあけ走っているが、時には急接近したり、離れたりして
それを追う。常に同じ車間距離だと逆に怪しいからだ。
 渋谷をとおって深夜の東名高速に入った。厚木インターから小田原有料道路に
抜けるつもりだろう。
 海崎たちが横浜インターを過ぎたころには長距離トラックなどしか見当たらなくなった。
 横浜インターから3キロほど行ったあたりで、桜井はギアを3速におとした。タコメーターの
針は急激に上がる。官能的な爆音を響かせ156は凄まじい加速を見せた。
気持ちがいいエンジンだ。一瞬その音に酔った桜井であった。たちまち
時速180キロを越したアルファは海崎たちの車を追い越す。
 横を通り過ぎるとき、桜井は海崎のベンツを見た。そのベンツの後部座席では海崎と
山田が軽いペッティングにふけっていた。服を捲り上げられはずされたブラジャーが
留め金のような役割を果たしていた。決して大きいとはいえないが、形のいい胸をしていた。
桜井はにやっと笑う。
 4キロほど先で、桜井の車は4速240キロに達していた。鈴木の車はその後ろ800メートル
ぐらいを走っていた。純粋なレースだとスカGT−Rのほうが速いのだろうが、
ドライビングは乗り手が決める。
 桜井はヒール・アンド・ツゥーを使ったシフトダウンのエンジンブレーキとディスクブレーキを
併用して急激に速度を落とした。まるで見えない神の手につかまれた様だ。
 その横を、鈴木の車が追い越していく。軽く手を上げていた。


AR18ライフル

 路肩にアルファ156GTAを止めた桜井は、後部座席のキャンバスカバーを
まくり、その下においてあったAR18自動ライフルと弾倉帯をつかみ、素早く車から
降りた。女物のストッキングで覆面の代わりにする。ひどく不細工になった。
 弾倉帯を腰に巻いた桜井は、その弾倉帯のパウチの一つから抜いた30連弾倉を
AR18の弾倉室に挿入し、遊底を引いて放した。
 待つほどのこともなく、海崎達の車が見えた。桜井は大きく両足を開き、腰だめにした
AR18で先頭のハイエースを狙い、フルオートで点射する。
 桜井のライフルの弾は曳光弾も混ざってあった。赤や緑の光を放つ。鮮やかだ。弾道の
修正がしやすくなる。着弾修正を行いながら、数発をハイエースの右前輪に
ぶち込んだ。
 口径0・223の高速弾は、タイアを破裂させた。ハイエースはその図体の高さも
手伝って容易に横転した。車外に放り出された男たちはみんながみんな同じような
あほ面をさらし、頭蓋骨から血と脳漿を、割れたスイカのように垂らしていた。
 申し分ない死に様だ。感動する。
 残された海崎のベンツは横転した車を危うく避けた。一瞬止まる姿勢を見せたが
桜井の覆面姿を見て、急加速に入る。そのとき、海崎と山田は互いの性器を
握り締めて、震えていた。
 そのベンツにも桜井はAR18から放った鉛の玉を打ち込んでやった。ベンツは
軽いスピンをし、中央の分離帯に激突した。車の前右は無残につぶれる。
エアバックも意味がない。
 海崎は全部座席に頭をひどく打ち付けられ、気絶する。山田のほうは
ぶつかった衝撃で気絶しかけていた。衝突前に海崎が握り締めていたちんぽから
血が出ていた。折れた長い爪が皮を切り裂いているのだ。
 桜井はライフルを元の位置に置き、アルファを始動させる。
 鈴木が海崎の衝突したベンツのある右車線をバックで戻ってきていた。
 ベンツの運転席の窓を38口径のリボルバーで叩き割る。手を伸ばし集中ドアロックを
解除した。ドアをあけ運転手をみた。気絶していた。とりあえず、外に引きずり出し
ナイフで喉を掻ききっておく。助手席のボディーガードは必死にもがきながら
懐に入れた拳銃を抜き出そうとしていた。鈴木は意味がないとはわかりつつも
リボルバーの引き金を絞る。
 衝突で割れた窓ガラスの隙間を縫って血しぶきが車の外に飛び散った。即死だ。
 後部座席に移り、気絶している二人を確認する。鈴木は
好色な笑いを浮かべ海崎をスカイラインの後部座席に乗せていた。山田のほうには
猿轡をかませ、背中の後ろで手錠をかけ、トランクに乱暴に放り込む。
 桜井がアルファをそのベンツに横ずけして、鈴木の顔を見た。スケベそうな
笑いが返ってきた。二人は互いの車に乗り込み、猛ダッシュした。バックミラーに
後輪タイアから発した摩擦煙がひろがっていた。

 やがて、アルファ156とスカGT−Rは、厚木インターを出た。まだ通報は
届いていないらしい。料金所の係員は普段どおり二人の車を通す。
 2台は、HIDの白っぽいライトで闇を切り裂きながら、悪魔的な笑いを浮かべ
コーナーを回った。丹沢の清川村に行く。路面は悪い。スポーツカーには
こたえる突き上げがしばしばある。


猟小屋

 丹沢の鹿猟の有料猟区の一部になっている清川村と津久井町の間の高畑山の
裾に、桜井は猟小屋を持っているのだ。やりきれないときなどに、散弾銃をぶっ放し
気晴らしをしたりする。桜井が猟をやるなどということを知っているものは少ない。
 その猟小屋は人里から離れていた。砂利混じりの道を爆走する2台の車は強力な
パワーのあまり、スピンしかける。ライトを浴びて木に隠れていた動物の目が光る。
 桜井の猟小屋は1階がガレージで、2階が居住用だ。
 小屋の前で車を止める。降りる。
 桜井は身長174センチ。体重59キロぐらいだ。痩せてはいるが、毎日の
自己鍛錬のためすばらしい肉体に仕上がっている。色白で一見優男だが、
内面は図太く、意思の塊だ。普段は収縮している筋肉も意志の力一つで
爆発的な破壊力を秘めた凶器に変わる。裸の体には無数の切り傷や
銃傷がついている。全て今までの闘争の過程で作ったものだ。
 猟小屋のガレージの扉を開ける。ガレージは居住区の下だから、かなりの
広さがある。車なら優に10台はとめることができるだろう。倉庫も兼ねているから、
石炭や石油のドラム缶や、工具類が山積みになっている。
 天井からは、コールマンのガソリン・ランターンがぶら下がっている。桜井は
手を伸ばしてそれをとり、ガソリンの有無を確かめた。入っている。
 ライターを消し、手探りでランターンのポンプのねじを緩めた桜井は、ガス
逃がしの孔を親指で閉じておいて30回ほどポンプし、タンク内の圧力を高める。
 ポンプのねじを緩め、クリーニング・ニードルを数回回してから、燃料ヴァルブを
4分の1ほど回転させ、左に緩める。マッチをすって、耐熱ガラスの火屋のなかに
差し込む。
 ランターンのマントルに火がついた。白熱の光を放つ。燃料ヴァルブを全開にし
天井からぶら下げた。
 その間に鈴木がアルファとスカGT−Rをガレージの中に収めていた。
 桜井は階段を上り、2階にいく。2階はワンルームだ。トイレとバスルームだけが
仕切られている。台所はカウンターで仕切られている。
 ダブル・マントルのコールマン・ランターンが吊られている。そいつにはクーグランの
オートマチック・ライターが付いているので、マッチなしで点灯できる。
 台所には、缶詰などの保存食品と、飲料水のポリタンクが多量にある。ヴェッドは
ダヴルが二つある。連泊するときなどに女が恋しいとき、2つあると何かと便利だ。
 桜井はガレージに下りた。
 鈴木が海崎あゆみの胸を愛撫しながら2回に連れて行こうと苦心していた。本当に
上に運ぶ気があるのか、ないのか、口からは涎が垂れそうであった。
 桜井はその鈴木を見て、苦笑する。桜井は仰向けに一旦置いたあゆみの上半身を
すくいあげるように持った。鈴木はあゆみの両足を担当した。一緒に合わせて
持ち上げる。二人なので、軽々と持ちあがった。
 桜井が先に階段を上がった。一歩ずつ慎重に、上がる。5歩ほど上がったところで、
鈴木が第一段目を上がり出した。桜井が10段ほど上がったときに、鈴木のほうを見ると
スカートを捲り上げた鈴木はあゆみの秘部をパンツ越しになめていた。
むしゃぶるように舐めている。
 2階に海崎を運び終えた桜井は、一人ガレージに戻る。山田はもがきながら
必死に這って逃げようとしていた。桜井は山田の尻を靴の先で蹴り上げた。
軽くだ。ヴぃくっと前につんのめり、山田は後ろを振り返った。そこに桜井の
手刀が山田の首を捕らえた。痙攣する。
 桜井はその山田をあゆみのときとは違い、乱暴に2階に引き上げた。
途中、骨と階段がごつっと当たる音がする。意に介さない。
 鈴木はベッドに運び込んだ海崎をかわいがっていた。服は全部脱がされる
わけでもなく、後一歩のところで体に纏わりついていた。パンツは一旦左足から
離れ、右足の太ももらへんをさ迷っている。妙にそそる眺めだ。
 鈴木は気絶からさめたあゆみのクリトリスを舌先で転がしながら、
両手で胸を揉みしだいていた。淫蕩な海崎は初めのうちは苦痛にうめいていたが
今では、甘美な喘ぎ声をだしている。
 「おまえの名前から、聞きたい。」
 桜井は、ひどくしゃがれた声で、海崎に聞いた。
 「海崎あゆみよ。あなたたちは誰なの?こんなことして、どうなるかわかってるんでしょうね?」
 海崎は鈴木に抱かれながらも、気丈に振舞った。
 「あっはっは。さすがに、あんな低レベルな歌を全国放送で歌いまくれる
だけはあるな。こんな状態でも、そんなでかい態度をとれるとは恐れ入ったね。」
 海崎はズボンを脱いだ鈴木の、黒光りした男根をしゃぶらされようとしていた。鈴木は
口に持っていくときに、海崎の鼻をつまんだ。うっと声を上げかけた海崎はその
でかいものを口に突っ込まれた。剛の者といった感じの鈴木のそれは口の中で
スラスト運動を開始した。
 程よいところで鈴木は黒光りする逸物を抜き、唾でべとべとするそれを
愛しそうに自分の手でしごき、海崎の蜜壷あたりを、撫でまくった。海崎は自分から
それを挿入しようと腰を振ったりする。鈴木は間一髪のところでそれをかわす。
じらしているのだ。


犯す

 桜井は、鈴木と海崎の、セックスを眺めながら、自分の股間が膨らんでくるのを
自覚していた。俺も加わりたいと思いながらも自制する。
 「海崎、おまえは去年、【DUTY】というCDを出したな?」
 桜井は怒りのこもった声で海崎に問い質した。
 「ええ。だしたは。よく知ってるのね?オリコン初登場で1位を記録したのよ。」
 犯されながらも、海崎は誇りを感じさせる声だった。
 「発売日は確か、9月の27日だったな?それは誰が考えたんだ?」
 「そんなもの知らないわ。私はただの駒ですもの。CDの発売日なんかを決めるのは
全部、会社の偉い人たちと所属している事務所の社長だわ。」
 海崎はそっけない返事をした。目先の欲望に走る。
 「おまえは知らないっていうんだな?貴様らが一体何をしたかということを
まったく理解してないようだな。てめえらのおかげで、俺たちの出したCDの
連続1位記録が途絶えたじゃねえか。ヴぉけが。」
 桜井はそう言い放ち、海崎に向かっていこうとした。
 そのとき、気絶していた山田が近くにあった、空き缶を投げつけてきた。無論、
届かない。桜井はにやっとわらい、山田のほうに歩み寄り、襟首を掴んで
ベッドのほうに引きずる。山田は手を使い、必死に抵抗したが、徒労だった。
 「てめえとこの男の関係は?」
 「ただの事務所のマネージャーよ。」
 「そうか?さっきは車の中で楽しそうにイチャツイテタじゃねえか?見てたぜ?」
 海崎の話では山田とは無名時代に知り合った恋人らしい。海崎が売れてから
事務所のマネージャーに推薦したのも彼女だ。ゆくゆくは結婚も考えているらしい。
 桜井はポケットからガーバー・フォールディング・ナイフを取り出した。ブレードは
ハイスピード鋼で、ロックウエル硬度62だ。ロックウエルとは先端に
半径0.2ミリの丸みをもつダイヤモンドをつけた頂角120度の円錐形の圧子で、
鋼材に一定の荷重をかけ、できたへこみの深さによって硬度を表示する。
一般にHRCの記号で表示されものだ。粘りのある鋭い切れ味といい、
絶妙のバランスといい最高級のナイフだ。コスト高で、これが生産中止に
なったのは残念であるが・・・。桜井はそれを舐めるような素振りで山田に見せた。
 山田は生命の危険を感じ震え出す。桜井が一歩づつ、近づいてくる。
 「その人に何もしないで。なんでもいうわ。だから、やめて。」
 悲鳴に近い声を出し、海崎は叫んだ。
 「発売日を考えたのは氷室よ。彼が考えたのよ。」
 「理由は?」
 桜井は山田を目の隅で睨みながら、言った。
 「わからないわ。」
 桜井はすばらしいスピードで山田の地面に無造作に置かれた右腕の
人差し指と、中指を切り落とした。鋭い切れ味のナイフは直後には痛みを
感じさせない。山田は切り落とされた指と溢れ出る血を呆然と眺める。
 「おまえがさっさと言わないと、こいつの指は全部なくなっちまうぜ?」
 「本当にわからないのよ。偶然あなたたちのグループと近い日にCDを出す予定
だったんですけれども、なぜ27日に出したのかまでの深い理由は知らないのよ。
ただ、氷室があなたたちのことをあまりよくは思っていないことだけは確かだわ。」
 海崎は泣きながら、答えた。
 「氷室の今いる場所はわかるか?携帯の番号は?」
 海崎は自分の携帯を取ろうとした。だが、それより速く、鈴木が服からそれを取り出す。
 氷室を検索し、海崎に見せる。
 「これで正しいか?住所は?」
 海崎は涙でくちゃくちゃになった顔を縦にふり、住所を言った。正確な場所は
知らないらしかったが、ランドマークになるほどの高層マンションの全フロアを
買い取っている氷室のことだから、すぐわかるだろう。実際、そこには
週のうち3日ほどを過ごしているらしい。
 「わかった。もういい。おまえらに伝言を頼みたいのだが、ひきうけてくれるかな?」
 海崎と山田は殺されずに済むと安堵の表情を浮かべた。
 「これからはおまえらのすきにはさせない。いつまでも汚い稼ぎをやっていると、
貴様達と同じ目に合わせてやる、とな。うふふ、おまえらは今日のところは命を
助けてやったが、これ以上あくどい商売を続けるのなら、テレビの公開生放送中に
乗り込んでなぶりころしにしてやるぜ。わかったな?」
 「キチガイ!!悪魔!!!」
 海崎は幼稚な言葉でののしった。
 鈴木がその海崎の蜜壷に本式に男根を突っ込み、ターボを全開にして
フルスピードで出し入れを開始した。3分ほど、抜き入れを繰り返し、海崎の
顔面に精子をぶっ掛ける。それを横で見ていた、山田は涙をこぼしながら
苦痛に顔を歪めている。
 桜井は二人をピストルの銃身で殴りつけ、気絶させた。
 山田の指をシーツの切れ端できつく結び、出血を抑える。
 海崎に鈴木が服を乱暴に着せた。その前に、カメラで海崎の痴態を
取り収めておく。役に立つ日がくるかもしれない。
 鈴木のスカGT−Rは2ドアだから、二人を桜井のアルファの後部座席につっこんだ。
 タン革のシートに血がつくが仕方ない。
 翌日の朝、鈴木の車につけた無線ラジオを使い、巧みに警察の
交信を傍受し、検問を避け、杉並にある隠れ家に戻っていた。途中、
海崎と山田の二人を救急病院の近くで放り投げておいた。事務所の
関係者と思しき人間を携帯から探し、電話をかけておいたのだ。


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