世界はわずかに歪んでいる。
いつから歪んでしまったのは、元から歪んでいるのか。それは誰にもわからない。
だが、歪みは歪み。
正常ではない。
即ち。
歪んでいる世界に存在する世界が、歪んでいないはずもなく。
世に満ちたのは歪みの結晶。
化け物。
そして、人は、それらを呼んだ。
異端のモノ――OSと。
【詞由香菜】ことばゆかな
「今日未明、F市郊外でOSによる惨殺事件が起こり、F市内在住の夢深山由紀子さん、17歳が……」
街頭に設置されている液晶モニタから流れる、ニュースを聞くともなしに、私はひとり道を歩む。
「全く、毎日毎日OSのせいでうかうか街も歩けないなんて」
ぶつぶつと呟きながら、私は歩調を強めた。
大体なんで行政機関はあんなヤツラをほっとくんだろう?
ヤツラどものせいでこっちは毎日毎日人が死んでるってのに。
独り言を言うのはいささか気が狂ったように思われそうだったので、私はその台詞を飲みこんだ。
前方から2人の男女が歩いてきた。
2人とも綺麗な姿形をしているが、なぜかサングラスをつけているせいで、とても怪しい。
不審に思いながら2人の男女と擦れ違う。
「気を付けて」
突然擦れ違いざまに声がかかった。
「?」
慌てて私が振り向けば、そこにはもはや謎の2人はいなくなっていた。
「なんなの……?」
何もわからないまま、平穏無事にこの日1日過ぎていった。
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