はじめに
常夏の国第三東京市……寒い夜というのが今回の話しの設定ですが、そんな夜あるんでしょうか(しかも時期はお正月)。でも、山があると寒い風とか盆地だと雪が降るらしいですし……それとも設定上ここは特殊な世界で……ほら、エヴァでもテレビのラストにはしんじの心の内面学園話しがあったことですし……、う〜んまあほら、いいじゃないですか。細かいことはエヴァに預けてください。ではでは、お楽しみください(まねまね)。


寒い夜


 寒い風が吹く。
 そんな夜風の中、しんじとあすかは電気街に来ていた。
「さ、寒いよあすかぁ……」
「なによしんじ、ドラクエトゥエンティ買いたいって言ったのはしんじじゃない」
「だからってなにも深夜の列に並ばなくても……」
「縁起よ縁起をかつぐのよっ!」
「え、えんぎ?」
「正月には縁起をかつぐものなのよ」
「もう正月はずいぶん過ぎてるけど……」
「男がぐちぐち言わないの」
 男でなくても寒い夜だった。
 ――あすかは寒いのが平気なのかな? ドイツ育ちだからかな?
 あすかはホッカイロをたくさんしていることを隠していた。
 あすかのプライドがそれを許さなかった。
 しんじとあすかは列に並ぶ。
「さあしんじ、明日までがんばるわよ!」
「う……ん」
 しんじはうつむいて返事をした。
 かといって悪い気はしなかった。
 なによりあすかがすぐそばにいたから……。
「あすか、寒くない?」
「え、う、ち、ちょっと寒いかな〜……なんて」
「そう、よかった」
 並んでからずいぶんとたつ。
 座っているしんじが、こっくりこっくりと眠りこけている。
 それをやさしく微笑みながら見ているあすか。
「っくしゅんっ」
 しんじがくしゃみをした。
 かなり寒そうだ。
 あすかはしんじが寝てるのを確かめてジャンバーをがばっと開くと、
 しんじをあすかのジャンバーが包んだ。
 しんじの冷えた感触が心地よい。
「明日晴れるかなあ……」
 空に向かって話すあすか。
 しんじにもたれかかりながら、あすかも眠りに着く。
 時間が来た。
 列が動き出し、しんじは目を覚ます。
 そこでもたれかかる、あすかの寒さの秘密とやさしさを知った。
 しんじは無言であすかを背負った。
「あんたばかぁ? ……むにゃむにゃ」
 あすかの口ぐせの寝言に、つい笑ってしまうしんじ。
「もうたへれなあい……ん? どこ、ここ、誰、あんた……しんじ……?」
 ソフトも買い、帰り道にあすかが起きた。
「し、しんじまさかあたしのジャンバーの中、き、気づいた? ……」
「なんのこと?」
「え、いや、あの、その……」
 その時、空から雪が降ってきた。
 見とれる二人。
 しんじはまた歩き出す。
「もう降りるわよ、しんじ!」
「聞こえない聞こえない」
 しんじは背中であすかをしっかり抱きしめながら、帰り道を歩いた。
 寒くも暖かい道を……。


おしまい





エヴァサイドネット トップ