届かない日
――私にはなにもないから……
――でも、これをどうしたらいいんだろう……
「れいの好きにするといいよ」
しんじはそう言う。
「それはれいの物だから」
「そう……」
れいは歩き出す。
答えのない森の中れいは踊り続けた。
緑の中にれいが透き通っていく。
「あげる」
「なんであんたにこのあたしがもらわなくちゃならないのよっ!」
あすかは髪をふって言った。
「これで生きなさいよ」
「でも……」
「あんたはその価値があるわ。このあたしが言ってるのよ」
れいはまた歩き出す。
「天使は地面に倒れた……雪を翼となして……また羽ばたくために」
道はまだ続いていた。
「あたしになにか用?」
みさとはそう言うと自分の物を見せてくれる。
「いつか好きな人が出来たらあなたにも必要になるわ。
いまはもってなさい、れい」
――誰ももらってくれない。
れいはまた歩き出す。
「あら、れい。これを私に?」
りつこはそう言うとれいの髪をなでる。
「これはあなたの笑顔かしら」
――また受け取ってくれない。
「あなたが絶望に負けない時、それは翼にだってなるわ。
いまの私にはすぎる物ね。大事になさい、れい」
道はまだ続いていた。
「これを……」
れいはゆいにそれを渡そうとする。
「まだあなたには必要な物よ」
「でも……」
「れい、かけっこしょうか」
ゆいがそう言う。
うなずくれい。
れいはなんとなく嬉しかった。
二人は草原を駆け抜けた。
「ゴールイン!」
ゆいのほうが先に着いた。
後から来たれいを抱きしめる。
ゆいは透き通っていって、れいはゆいをすり抜けてしまう。
ゆいの消えた先にゲンドウがいた。
「おまえは私の希望だ」
「はい」
「この道はおまえの求める先へと続いていくだろう。
それを自分で感じるんだ、れい」
れいはさらに歩き始める。
まだそれを持ったまま。
歩き続けるのだった……。
おしまい
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