君に傷つかされても 何も思わない
羽根を取られても
むしろ取ってくれた方が
殺してくれればなんて幸せ・・・・
君と離れることもない
全て・・・
僕の全ては君のものだから
心臓も血も肉も・・・
僕は君のものだから―――――――
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「悪魔?」
「はい・・・。なんでもここ天界に紛れ込んでいるとか」
大天使ヴァルイダは、その報告に驚きもせず、笑みを浮かべた。
「一度は会ってみたいな」
「何をおっしゃっているのですか!!」
ヴァルイダの教育係的存在のフェルは少しきつく言い放る。
「冗談だよ」
笑みを浮かべたまま、ヴァルイダはその場を立ち去り、新しい本を探すべく、
長い廊下を歩き、本部屋へと足を運んだ。
「誰もいないな」
いつもはお手伝いなどの人が歩き回っている廊下は、静まりかえって誰1人歩いていない。
悪魔が出たという報告で、みんなは城の外に出ているのだろうか。
「それにしても悪魔はまだいたのか・・・」
悪魔は数年前に滅びたと聞いたことがある。
悪魔が滅びたのは天使のせいなのだ。
数年前、天使と悪魔は天界と地界を巻き込む、大戦争をした。
その時、天使が勝利を収め、戦争のせいで悪魔のほとんどが命を落とした。
今でも天使は地界へは、悪魔は天界には行ってはならない。
唯一、両方が行けることのできる場所は
人間界のみ・・・。
悪魔はきっと天使を恨んでいる。
それでも、ヴァルイダは悪魔に会ってみたいと思っていた。
会って、色々なことを話したい・・・と。
生まれた時から大天使の名はつきまとい、父親が他界してからもその名が
消えることはやはりなかった。
信じられないことに、たった5歳で大天使になった。
天界を治め、王の座についた。
でもそんなこと、これっぽっちも望んでいなかった。
天使と悪魔が仲良く共存できれば、それでいいと心から思わない日はなかった。
気付くと、ヴァルイダの前には本部屋のドアがあった。
「あ・・・着いていたのか・・・」
考え事をしていたヴァルイダは、本部屋のドアを開けた。
中は相変わらず湿っぽく、昼間だというのに薄暗い。
この部屋を行き来しているのはこの城の中できっとヴァルイダだけだろう。
廊下の光りが、ヴァルイダが開けたドアから差し込む。
その光りが差した場所には、見たことのない漆黒の髪をした少年が倒れていた。
「大丈夫か!!?」
ヴァルイダは驚き、少年の傍へと駆け寄った。
天使とは違い、真っ黒の髪。
ヴァルイダはその少年を自分の部屋へと運んだ―――――――
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「・・・・・ん・・」
「起きたか?」
その少年をベッドに寝かせてから約一時間。
少年は目を開け、のぞき込むヴァルイダを見て驚き、飛び起きた。
「俺・・・いったい・・?」
少年の目は、髪と同じ漆黒だった。
「よかった、もう大丈夫みたいだな」
「お前は・・・?」
「あ!僕はヴァルイダ。倒れてた君を見つけて
ここに運んできたんだ」
「そうか・・俺はカルイ。ありがとうな」
カルイは少し笑みを浮かべ、礼を言った。
「どういたしまして。君はどうしてあんな所に?」
天使は皆、金髪に目も金色。
しかしカルイは髪も目も漆黒の綺麗な色をしていたのだ。
「『神聖のほとり』から・・・。どうしても天界に行ってみたくて・・・」
カルイは少し下を向きながら、申し訳なさそうに呟いた。
「行ってみたくて・・・って・・・君まさか悪・・」
「勘違いすんなよ!俺は人間だ!!」
ヴァルイダが何かを言おうとした瞬間、それをカルイが塞いだ。
「にん・・・げ・・ん?」
「ああ。人間は髪が黒いのもいるし、金髪も・・・」
「本当に!?本当に人間なのか!!?」
今度はヴァルイダが説明をしていたカルイの言葉を、興奮の様子で塞いだ。
「ヴァルイダ様」
そこにフェルが、何かの書類を持って、部屋の扉を開けた。
「ヴァルイダ様!?その者は・・・?」
「あ・・・」
カルイが説明をしようとした時、さっとヴァルイダの手が出された。
「僕の人間の知人なんだ」
「知人?ヴァルイダ様、人間に知人なんて・・・」
「僕、顔広いからね♪」
そういう問題じゃないだろう・・・と心の中で1人ツッコミをするカルイを
よそに、フェルはため息をもらし、書類をヴァルイダへと渡した。
「まぁいいでしょう。所でこの書類はどうすれば?」
「ん?ああ、僕の机に置いといて」
何かの書類の話しをする2人を、不思議そうに眺める。
「フェル、ここに2人分の昼食持ってきて」
「わかりました」
その言葉を最後に、フェルは部屋から静に出ていった。
フェルを出ていくを見送ってから、ヴァルイダはカルイの傍へと駆け寄った。
「『神聖のほとり』って、あの山奥にある、人間界や地界や天界に行き来できる?」
好奇心溢れる瞳で、カルイをのぞき込む。その姿に少し戸惑いながらも答える。
「ああ・・・」
「へ〜すごいな。僕も行ってみたいな人間界や地界に」
うっとりと視線を天井に向けながら言うヴァルイダにカルイは驚いた。
「おい。人間界はともかく、地界なんかに行ったらお前、処刑されるそ!?
お前天使の偉い人なんだろ?」
「ん?一応は大天使だけど・・・」
視線をカルイの目に戻し、平然と答える。
「大・・天使って・・・・偉いどころか・・・!!おま・・・いや
あなた様に・・・俺・・・・っ!!」
動揺が隠せないカルイは慌てながら言葉を探す。
「やめてくれ!」
動揺するカルイを止めたのはヴァルイダの少し大きい声だった。
シーツを力一杯握りしめ、下を向く。
「そんな言い方・・・やめてくれよ・・・。普通でいいんだ」
その姿はどこか苦しそうで、悲しそうで、何かを我慢しているようだった。
カルイは息を吸い込み、ヴァルイダに手を差し出した。
「!?」
「ヴァルイダ、俺達は友達だ」
唐突な言葉。
カルイは笑顔でヴァルイダに言った。ヴァルイダは自分に差し出された手を
一度見て、笑みを見せ、カルイの手を握った。
それがこの2人の最初の出会いだった―――――――
「カルイはどのくらい天界にいるんだ?」
「ん〜・・・。いつまででも」
フェルに持ってきてもらった昼食をすべてたいらげた後、2人は楽しくしゃべっていた。
「『神聖のほとり』が開くのは、四日後だしな。まだ未定だな」
「親は?親は心配しないの?」
その話題にカルイは苦笑いをした。
「両親は戦争で死んだよ・・・」
「あっ・・・ごめ・・・」
ヴァルイダはすぐに口を押さえたが、もうすでに時は遅し・・・だ。
そのヴァルイダの苦笑いがなんだか悲しそうで苦しそうで、たまらなかった。
「僕も、両親いないんだ」
そのカルイをかばうかのように、自分の話を持ち出した。
「母は僕を産んだせいで死んで、父は僕が5歳の時に死んでしまった・・」
「そっか・・俺と同じだな」
「うん。一緒だね」
目を合わせ、同じように笑顔を向け会った。
カルイといると、とても居心地が良くて、安心する。
そしてなにより、僕を大天使として見ない。
本当の友達として自分を見てくれる。
本当の僕を・・・・・・・
ベッドが1つしかなかったせいで、カルイとヴァルイダは、ヴァルイダのべッドで
一緒に寝ることになった。
本当は他にも部屋はたくさんあったのだけれど、もっともっといつまでも話しを
したくて、こういう状況になったのだ。
眠くなるまで色々な話しをした。
悲しかった話し
楽しかった話し
明日は何をしようか
その次は・・・?
などと、たわいのないそんな話題の中、2人はいつの間にか寝息を立てていた。
++++++++++++++++++
“・・・・イ・・・・カルイ・・・”
『母さん!父さん!』
どこに行っていたの?
僕、1人で・・・
悲しくて、恐くて、寂しくて・・・
“おいで・・・・”
『母さん!父さん!!』
もう離れたくない
この暖かい腕にいつまでも・・・
いつまでも・・・・
ピチャン・・・
『かあ・・・さん?とう・・』
ヌル・・・・・・・
生暖かい
いやだ・・・・いやだよ・・・
僕を1人にしないでっ!!
背中が熱いんだっ・・・
母さん!!!父さぁぁぁん!!!
「うああああっ・・・!!!」
夢から目を覚まし、カルイは体を勢いよく起こした。
顔から首に流れる汗の感触さえわからない。
体中は汗がびっしょり。
「はぁ・・・はぁ・・・」
息が荒く、震える手で顔を覆い隠す。
「カルイ・・・?どうしたの?」
カルイの叫び声に目を覚ましたヴァルイダが体を起こし、目を擦りながら
カルイをのぞき込む。
カルイは後ろへ下がり、ひどく怖がった顔でヴァルイダを見つめる。
「カル・・・」
「触るなっ!!!」
ヴァルイダが差しのべた手は、カルイの手で払いのけられた。
体中を震えさせ、次から次ぎへと汗がしたたり落ちる。
漆黒の目には、ヴァルイダは映っていない。
「わかった・・」
重い空気がいっきに軽くなった感じがした。
「もう、大丈夫だよ。何も恐くないから・・・
僕が傍にいるよ・・・・」
そっと触れてきてくれた手は、暖かくて、心地がいい。
優しくしないでくれ・・・
俺は―――――――・・・!!
たまっていた何かが一気に出た。
泣いて
泣いて
叫んで
叫んで
いつまでも握ってくれている手が
嬉しくて
悲しくて
どうして俺は・・・・
これが、2人の運命を変える物語の
始まりだった―――――――――――――――
つづく
はい!初オリジです☆
しかし、なんざんしょ?これは・・・。
かなり中途半端で続くになっております・・・(汗)
一応これは天使と悪魔の話しなんですが、わけわかんないですね(笑)
よろしければ、続きも読んでみてくださいな☆