「綺麗な星やな〜」

白い息を吐きながら佐藤が言った。

今の時刻は7時。

部活が終わり、わいわい騒いでいたらこんな時間に

なってしまったのだ。

「ほんとだな」

佐藤の隣にいるのは不破だ。

帰る方向が同じなので、こうして一緒に帰っている。

不破は選抜に行っていたから、2人で会話をするのは久しぶりだ。

 

少し見ないうちに男らしくなった不破。

背も伸びて、がっちりとした体。

そんな風に考えていると、佐藤は不破の顔がまともに見れなくなり

下を向いた。

「どうした?寒いのか?」

「え!?別に・・」

急に話しかけられて、心臓の音が不破に聞こえそうなくらい大きく

鳴っている。

「ほなな。俺こっちやから」

2つの分かれ道。

佐藤は左で不破は右だ。

不破に別れを言って、帰ろうと足を動かした瞬間

腕を引っ張られ、不破の腕の中へと導かれた。

「明日も・・一緒に帰ろう」

静にそう言う不破の背中に佐藤は腕を回し、強く抱き返した。

「もちろんやで」

気付くと、いつの間にか雪が降っていた。

でも少しも寒いとは思わなかった。

不破の暖かさが佐藤に伝わり

2人はいつまでも雪の降る夜に抱き合っていた―――――――。

 

 

 

 

――翌日――

「ぶえっくしょんっ!!」

「シゲさん、大丈夫?」

佐藤のくしゃみに驚いて、風祭が話しかけてきた。

「ああ。ちょっとな〜」

苦笑いをして佐藤は答えた。

そりゃあ、あの寒い中、延々と抱き合っていれば風邪をひかない方がおかしい。

ふと廊下を見ると、何かのプリントを持った不破が人混みの中をすたすたと

早足で歩いている姿があった。

佐藤は少し体がだるいというのに、不破は平然と人混みの中へと

消えていった。

「ばけもんか。あいつは・・・」

すでに呆れモードに入りつつ、ぼそっと呟いた。

誰にも聞こえない様に言ったはずなのに、水野がじーっとこっちを見ている。

 

水野は鋭い。

ちょっとしたことで何でもわかってしまう。

佐藤は目を逸らし、上を向いた。でもそれは無駄に終わった。

「シゲ、いちゃつくなとは言わないが、試合も近いし程々にしとけよ」

全てお見通しってわけなのだ。

「すまんって・・へ・・・へっくしんっ!!」

「本当に大丈夫なの?」

風祭は心配そうに佐藤をのぞき込んだ。

「ポチは優しいな〜。それに比べてたつぼんは・・・」

バキッ!

「たつぼんって言うなっ」

そこに先生が入ってきて、水野は自分のクラスに

風祭は自分の席へと帰っていった。

授業中も、佐藤はぐったりとしていた。

それを心配そうに風祭が見ている。

「はぁ・・・ほんまだるいわ〜」

キーンコーンカーンコーン・・・・

「シゲさん、今日は部活休んだ方がいいんじゃない?」

そう言われ、少し考えたが

“明日も一緒に帰ろう”

昨日、不破と約束したことを思い出した。

「いや。大丈夫やで」

少しふらつく体で立ち上がり、かばんを持って部室に向かった。

空を見ると、少し曇っていて冷たい風が吹いていた。

 

 

「あれ?おかしいな」

部活を始める前に、いつも欠席を付けていた水野が名簿を見て、首を

傾げていた。

「どないしたんや?」

そこに佐藤が来て、水野と一緒に名簿をのぞき込んだ。

すると、不破のところに丸が入っていない。

「ん?今日、不破休みなんか?」

「さぁ?お前も聞いてないのか?」

コクンと頷く佐藤を見て、水野は名簿を佐藤に渡して不破を探しに行こうとした

時、ランニングから帰ってきた風祭が

「あ!不破なら中庭で女の子といたよ」

部室の中が騒がしくなった。

「へ〜、あいつやるじゃん!」

そんな風にちゃかす奴もいれば

「マジで?あのお堅い不破が!?」

と驚く奴。

みんなが騒いでいる中、佐藤だけが黙り込んでいた。

「シ・・・」

水野は佐藤の肩に手をあてようとした瞬間

佐藤は名簿を捨てて、部室を飛び出した。

「シゲ!!」

水野はとっさに叫んだが、その叫び声はきっと

佐藤の耳には聞こえていなかっただろう。

 

 

 

「不破!!」

中庭と言っても、結構広い。

風祭が見たということは、ランニングのコースの近く。

ということは校舎に近いだろうと思い、佐藤は校舎付近を探した。

すると、どこからかかすかにしゃべり声が聞こえてきた。

そのしゃべり声の方に行ってみると

そこには大きな木の下で、不破と見たことのない女の子と

楽しそうにしゃべっている姿があった。

不破を呼ぼうとしたが、声が出なかった。

声にならなかった。

頭が痛い。

目の前がぐらぐらする。

風が・・・冷たい―――――

 

 

 

 

 

6時。部活終了後、佐藤と不破はいつもの道を2人で歩いていた。

昨日とは違い、隣同士ではなく、不破の少し前を佐藤が歩いていた。

「なぁ。不破」

「なんだ?」

もうすぐ、分かれ道に着く頃、佐藤が口を開いた。

「今日、なんで部活遅れてきたんや?」

何故が佐藤の心臓が速く鳴っている。

本当のことを言って欲しい。

女の子としゃべっていたと・・・・

「日直の仕事してた」

佐藤の心臓の音が静になってきた。

「・・・・ふ――ん・・・・」

どうして隠すのか佐藤にはわからなかった。

本当のことさえ言ってくれれば、不破のことを信じれたのに。

「あ!俺、用事があったんや!さき帰るわ!」

佐藤は振り返ることなく、走り出した。

不破に顔を見られなくてよかった。

目から何か熱いものが流れるのがわかった。

 

 

                                つづく

 

 

 

 

 

 

いやはや・・・。

なんだこれは!って感じです(汗)

ほんと、ごめんなさい(汗)

一応まだ・・・つづくので・・・・

よろしくです。