――クリスマス――
「こんばんは〜!!」
以前、風祭が言っていた様に、サッカー部で集まることになった。
集まる場所はもちろん水野の家だ。
「シゲ、風邪はもういいのか?」
「まぁな」
人との接触をあまり好まない佐藤が、珍しく風祭と一緒に来ていた。
外は少し曇っていて、雪がちらちら降っていた。
「雪も降ってるし、来るきなかったんやけど、ポチに連れてこられたんや」
少し苦笑いをしながら水野の家へ入った。
パーティーをしている部屋は、めったに人を入れない
水野の部屋だった。
中ではサッカー部のほとんどが来ていて、もうすでに騒がしくなっている。
佐藤は周りを少し見回し、姿を探した。
しかしそこには佐藤が探している人物はいなかった。
「あれ?不破は来てないのか?」
高井のその言葉に胸が痛んだ。
「不破なら町で・・・」
「いいじゃないか!すぐ来ると思うし!」
風祭が何かを言おうとした時、水野がその言葉をさえぎった。
でも佐藤にはわかっていた。
今、不破が何をしているのかを・・・
あの女とデートでもしているのだろう・・・
ものわかりのいいフリをして、佐藤は水野の部屋の窓際に腰掛けた。
外は雪。
闇の中を綺麗な雪だけが、輝く様に降っている。
積もるんかな?
テーブルの上には水野のお母さんが作ったと思われるケーキ。
色んな種類のお菓子。
食べ盛りの男にはそれを見て騒がない方がおかしい。
部屋の隅には綺麗に飾られたクリスマスツリー。
みんながわいわい楽しんでいる中、佐藤だけが窓の外を見ながら
そんなことを考えていた。
男だらけのクリスマスパーティー。女っ気のないクリスマス。
誰かが持ち出してきたのか、いつの間にかテーブルにはチューハイが置かれていた。
3時間もすれば、宴会の様な騒ぎは収まり、みんなは夢の中だ。
テーブルの上にはすでに食べ尽くしたケーキにお菓子。
チューハイの空き缶は綺麗にビニール袋に入れられている。
しかし、その静な部屋で1人、まだチューハイを飲んでいる人がいた。
佐藤だ。
ただ1人、延々と外を見つめている。
パーティーを始めて結構経つのに、今だ不破の姿はない。
部屋のドアに目を向けてしばらくすると、また佐藤は窓の外に目を向かした。
そう・・・
あの時もこんな風に雪が降っていた。
とても静で、雪が降っていたのに少しも寒くなかった。
すぐ傍に不破と言う存在があったから―――――――
とても・・・
とても・・・静だった・・・
暖かくて
安心で
居心地がよくて
ずっと
ずっと
こうしていたいと、心から本気で思った・・・
でも
お前は違うんやな・・・・
お前がほんまに一緒におりたかったんは
俺やなかったんやな・・・・
気付くと、佐藤の目から涙が溢れていた。
止めたくても、止まらなかった。
声を押し殺すように、必死で口を手で押さえて
泣いた。
みんなに気付かれない様に・・・
声が出せない分、その力をチューハイを握る力に代えて―――――――
バタバタ・・・・バンッ!!
その時、すごい音と同時に、部屋のドアが開いた。
そこには不破が息を切らしながら立っている。
佐藤は我が目を疑い、目をこすり涙を拭いた。
その姿を見た瞬間、不破はズカズカと佐藤の前に来て、佐藤の腕を引っ張り
外へと連れ出した。
「ちょっ・・・不破!?」
何がなんだかさっぱりわからなく、不破の力のままに不破に連れて行かれた。
その不破の力がなんだか悲しく感じる。
外に出されたとき、佐藤は不破の腕を払い取った。
「何なんや!!急に!!」
外は雪がさっきよりかはやんで、雲がとぎれていた。
佐藤は不破に背を向けた。
「お前、あの女の子とデートしてたんやろ?何で来んねん!!」
佐藤は涙が出そうなのをこらえ、下を向いて不破に反発する。
「お前、何か勘違いしてないか?」
その言葉を聞いて、頭に血が上り、佐藤は叫んだ。
「何がやねん!!お前ほんまは・・・」
目から涙が流れた。
「っ・・・く・・・」
言葉にならない、言葉。
言いたいのに、喉の奥が熱くて
何も言えない。
涙だけが流れ、沈黙が続く。
目をつむり、精一杯涙を止めようとするが
涙は止まらなかった。
「これだ・・・」
その沈黙を破ったのは不破だった。
ゆっくりと目を開けると、不破の手の上には光なにかがあった。
『DtoS』と彫られている
指輪だった―――――――
佐藤はそれを手に取り、見つめた。
「あの女は俺の小学校の時からの友達で、町で一緒にいたのは
クリスマスプレゼントを探すのを・・・」
平然と答える不破をよそに、佐藤は不破に抱きついた。
「俺・・・アホやから・・・言ってくれんとわからんやんけ・・」
佐藤は涙を流しながら強く不破を抱きしめた。
それに答えようと、不破も強く佐藤を抱きしめた。
「俺も怒ってるんだぞ?」
「はい?」
佐藤は不破の胸からうずくまっていた顔を上げ、不破の顔を見た。
「今日だって、2人で過ごしたかったし、お前は俺を名前で呼ばない」
少し照れたかのように、横を向いた不破がなんだか可愛くて、佐藤は少し吹き出した。
「ぷっ・・・はは」
その笑いを聞いて、不破は少しムッとした。
しかし、不破は急に真剣な顔をし、佐藤の肩をグッと強く持った。
「成樹」
いきなり下の名前を呼ばれ、佐藤の胸は高く鳴った。
その真剣な顔が佐藤にゆっくりと近づいてくる。
「だ・・・大地・・・」
名前を呼んだ瞬間、2人の唇が重なった。
雪はやみ、雲は晴れて
綺麗な星が2人をいつまでも照らした―――――――
End
終わった〜!!(祝)
少々長かったですね(汗)
でもまぁ。幸せでよかったですよ。
微妙に水シゲでした(笑)