なんで




僕たちは

私たちは





いつも、こうなってしまうんだろう?

いつも、こうなってしまうんですの?















『めまぐるしい日々に祝福のキスを』

















「メリル!!!」


「全く…もう…!!!あなたって人は!!!」


久々の再会を終えた男と女。


しかし、それは、予想通り、ロマンティックなものとは無縁だった。











再開場所から遠く離れた、とある町のカフェテラス。


「うわっ!ここのドーナッツめちゃくちゃ美味しい〜!!」


「……………」


「ええっと…あの…先輩?せんぱーい?」


地球軍治安維持部隊+賞金稼ぎから逃れた赤コートの男は、今、カフェのテラスで優雅にドーナッツを食している。


その男を追いかけて同じ席に座っている元保険屋の小柄な女と大柄な女。


小柄な女は先ほどから一言も言葉を発していない。


それを見かねた大柄な女がその場を取り繕う。



「…あっ!そういえば…ここの街ってカレーパンが有名なお店があるんですよ!この前テレビでみたんです〜。私、買ってきますね!!」


「えっ?」


「すぐ戻ってきますから〜!先輩は、サクサクっとヴァッシュさんの取材進めちゃってて下さいね〜!!!」


「ちょ…ちょっと!ミリィ!!」


赤コートの男と小柄な女を置いて、立ち去る大柄な女。


その場に残された二人は気づいていた。


自分たちのために気を使ったのだと。



視線が泳ぐ男。


再び黙る女。



重い空気に耐え切れず、男は口を開く。


「あ…ねぇねぇ!君も…食べたら?ここのドーナッツ、ほんとに美味し―――…」


男が話し終わらないうちに、女はキッ!と鋭い視線で男を見た。


「すいません…」


その視線に怯む男。


男から視線を外して、ため息をこぼす女。


男と女、二人の脳裏には『ある事が』過ぎっていた。







さっきは、つい、昔の感覚に戻って軽く流しちゃいましたけど…やっぱりひどいですわよ!!

「必ず戻る。待っててくれ」

と、言っておきながら……どれくらい待たせれば気が済むと思っているんですの!!

あなたが…五番目の月に穴を開けた…あの時みたいに、生きているか死んでいるか…どんなに心配したことか……。

結局、また、探すのは私。

こんな男、もう、ウンザリですわよ!!!

ウンザリ…そう…そのはずなのに……。









君が言いたいことは…すごーくよく分かる!

あんな事言っておきながら、君に会いに行かなかったこと。

いや…決して…忘れていたとかではなくてですね!!えと…その……。

はぁ…なんて情けない男なんだ僕は。

穴があったら、入りたい……。

もし、レムがこんな僕を見たら『意気地無し!!』って言って拳骨を食らわせられるんだろうな…。

ウルフウッドだったら…『男やないんか!!オドレはぁぁ〜!!!』ってパニッシャーで血祭り!!??……………。

人より何倍も生きているっていうのに、こういう所は全く成長していない自分にほんと嫌気がさすよ。

ねぇ、メリル…。

どうしたら…君は許してくれる?








長い沈黙。








男はどうしていいか分からず、やけ食いとばかりに、目の前にある大量のドーナッツを口にほうばった。


「……んんん―――――!!!???」


案の定、ドーナッツを喉に詰まらせ咽る男。


「ヴァッ…ヴァッシュさん!?」


その異変に気づき、水を差し出す女。


「ゴクンゴクンゴクン…ん…ぷっは―――――!!!はぁはぁ…助かった…ありがとう……」


差し出された水によって回復した男は、安堵の言葉を漏らす。


「…ふ…ふふふ……」


そんな男の姿に女は、思わず笑みがこぼれる。


「本当に…あなたって人は…どうしようもないバカですわね……」


そう言いながら、女は右手を男の口元に近づける。


口の端についているドーナッツの欠片を拭うために。


「まぁ、そんなあなたを追いかける私も…バカですけど」


女の右手を男は自分の右手で繋ぎ止める。


見つめあう二人。


その瞬間に言葉など、二人には必要なかった。


重なり合う影。


近ずく唇。


そして――――――――――…

































「見つけたぞ―――――!!!ヴァッシュ・ザ・スタンピード――――――――――!!!!!」


「!!!???」


いつの間にやら、二人の周りを地球軍治安維持部隊と賞金稼ぎが囲んでいた。


「はぁ…あのね…人の色恋を邪魔しないでくれる〜?あとちょっとだったのに……」


拗ねた子供のように呟く男。


「やっぱり…こうなるんですのね……」


呆れたように呟く女。


「ま、しょうがない…逃げるとしますか」


「キャッ!!」


男は軽々しく女を抱きかかえ逃亡する。


それも、お姫様抱っこで。


「ちょ…ちょっと…!!ヴァッシュさん!!!この体勢…恥ずかしいんですけど……」


「ん?恥ずかしい!?でもこの方が逃げやすいし…ちょっとだけ我慢してね?」


「待て―――――!!!!!!」


二人を夥しいほどの群衆が追いかけてくる。


「もう〜!なんでいつもこうなるんですの〜!!」


「あはは…は。僕はただ平和に暮らしたいだけなんだけどね…。でも…こういうのって僕たちらしくない?」


その男の言葉に女は苦笑しながらも頷く。


「そうですわね」



















追いかけられて

追いかけて


それが二人のはじまり―――――























めまぐるしい日々に祝福のキスを











そして











愛しい君に

愛しいあなたに













幸せのキスを