ハイキングにおける遭難死

 



下り道での転倒は死に繋がる場合もある
先日友人から遭難の件で連絡があった。
某山地において男性が某山からの下山中に、転落して死亡したとのこと。某山は普通のハイキング道ではない。しかし標高は1000m以下と低く、踏み跡もあり手頃な尾根歩きを楽しめるところだ。
 僕もその山には過去に登ったことがある。
 ただ道はハイキング道として整備している訳ではないので登りはジグザグではなく、かなりの直線的な登り下りといえる。

 当日の遭難状況的には
 転倒後、転げつつ落ちていき、途中に潅木等はあったが、ぶつかってもその衝撃で跳ね、滑落を止めることなく沢方向に落ちていき視界から消えたとのとこと。
 どこで転倒転落したか明確には分からない。しかし山周囲の状況として、その付近の山は約200mくらいの標高差を一気に登る形だ。だから200m近く転落したのではなかろうか。
 ただそういった登りや下りはどこにでもある形状だ。しかし転落した場所が悪く、沢はツメ付近はかなり峻険で、沢登の登りとしてはかなり厳しい登りだ。ツメの登りとしては4級から4級プラスの登りといえる。そのくらいその沢のツメは急で悪い箇所だといえる。

 いわゆる転倒というものは誰にでも起こりうる。僕なども転倒は予定に入っているくらいだ。
 年齢とか体力のある無しにかかわらず予想しうる、ごく小さなアクシデントだ。ここで考えなければならないのは転倒の場所だ。転倒しても安全な場所とそうでない場所があるということだ。それは自明の理だろう。崖が何十mも落ち込んでいる場所で転倒したらどうなるか誰にでもわかる。
 また峻険な斜面も、途中に潅木等がなければ、かなりの距離を転落していくことになる。周りがなだらかでもその下が一転峻険な岩場の場合もある。
 普通ハイキング道の場合、そういった峻険な場所は道もジグザグになるように配慮して傾斜角度を減らしたりしている。または鎖を設置して最善の策を練っている。それでも尾根はなだらかであるが、左右の斜面は凄い峻険な刃渡りのような場所もある。
 普通事故など特に転倒転落事故は、下り道が圧倒的に多いだろう。登り時の身体の安定度とくらべ、下りの場合足先が良く見えない。膝に体重がかかるため、膝及び下半身の筋肉に過度の重力がかかり、筋肉疲労がおきる。バランスがとりづらい。等のハンデがある。
 よくヒマラヤ登山の場合など、登頂するまではいいが、登頂後の転落死が多い。目的の頂へ登りきった達成感のあとの緊張感のゆるみとか、残存する体力の低下、下りの難しさなどがある。
 ヒマラヤに登る高度の体力、技術を持つベテランの人でさえ下山には神経をすり減らすくらいだ。だから一般の登山者の場合、よくよく注意すべき問題だろう。


 どおしたらそう言った峻険な斜面での転倒事故を免れることが出来るだろうか。
 ◎身体的な訓練
 転倒する機会を減らせば、危険度が確率的に減る 
 膝の屈伸などをおこなって下半身の安定を図る。この訓練としてはスクワットを日に数十回やる方法がある。最近では年齢に応じたトレーニング方法も確立されつつある。
 訓練方法として
 1スクワット
 2電話帳を下に置いて、その片足での登り下りを一回に20回を1セットで日に2〜3回 1
2チャンネルで放映の健康番組でのトレーニング法
 3椅子に座り、そこから立ち上がり、また座るを1回に20回くらいを1日3セットくらい。
ためしてガッテンでの脚力強化法
 など。
 2と3などはバランス感覚も高められるらしい。詳しくはその方面のホームページを参照してみてください。

 ◎地図及び案内書で周囲の状況の把握をしておく
 今回の転落死の場合、落ちた場所が最悪だった。
 普通峻険な場所の場合、相当に緊張して足取りも確実なものとなり、転倒の確率は格段に減る。
 しかし状況的に1000mにも満たない山であり、潅木も生える普通の斜面であるならほとんど緊張もすることがない場合が多い。その場合あやまって転倒しても転倒した格好でちょっと休む、みたいな行為は僕でもやってしまう可能性がある。
 山登りを全て緊張の連続で行うということはほとんど不可能に近い。また、あまり緊張の連続だと、不意に眠気が襲ってきて、その方がもっと危ない場合がある。
 まず要所要所での緊張をほどこすことが大事。どこでその緊張をほどこすかと言うと経験からくる判断が多い。普通はリーダーが判断して注意を呼びかけることが大事だ。

 それで、まず転落的事故に至るような場所について、地図上で判断する。又は案内書で判断する。
普通断崖絶壁の場所では誰でも必ず注意はする。しかし周囲の状況からいって安全だと思えても、その下は救いようのない谷とかが存在する場合がある。地図で見て等高線が込み入っている場所などは特にそうだろう。
これも経験からくるものが多いが、その場からみる展望で斜度が急であったり、それにともなって等高線が込み入っている場合などその場、あるいは事前で判断することが必要になるだろう。
リーダーなら「この斜面は急だから注意」とか「下りは一歩一歩確実に」というコメントは必要かもしれない。
また個人であるなら自分に言い聞かせて、確実に一歩一歩を進める。
 僕なども下りは気を使う。神経を消耗する。
この際もう、
地味で確実な一歩が安全の最善の策である

下りの確実なこれが最も安全というマニアルはない
ほぼすべてが応用であるわけだ。
まとめてみると
1膝及び、下半身の筋力アップ。
日常的に楽に続けられる方法はたくさんあるので、自分にマッチした方法を見つける。
2案内書、地図などの状況判断をいつも行う癖をつける
3ストックの使用によるバランス補助
4やや困難と思われる場所では、地味だが確実な一歩一歩が必要。
 最終的には、この

飽き飽きするくらい地味で、確実な一歩一歩が最善の安全策と言える



飽き飽きするくらい地味で、確実な一歩一歩
そして疲れたら休む
それからまた
飽き飽きするくらい地味で、確実な一歩一歩



これは思ったよりキツイ代物ではないと考える。

クイラミング、特にアルパインクライミング(属に言うホンチャン)などは、
長い長い200m以上ある壁を登るのである。
このクライミングの基本は、
眼の前にある、困難な一歩を確実に登ること、なのだ。
そしてこの困難な一歩を続けていくうちに、何時の間にか頂に着いていた、というのが本当のところだ。
数百mをわずか数十センチづつ勝ち取っていく。
 永遠に続くようであるが、自分の目の前に困難に神経を集中していけば、導かれるように終了点に到達する。
 それがクイラミングの極意といえるのではなかろうか。
 ハイキングであれ、クライミングであれ基本は同じだ。
 登山者の皆々様、その極意を極める、というのも登山道のやり甲斐かもしれません。


あなたが延々と続く急坂を、飽きることなく確実に一歩一歩下れるか。
それが生死の分かれ目になる時もあります。

 

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