8 携帯電話
単独登山における必須装備であり標準装備
遭難における、受身的救助待ちから能動的、積極的救助待ちへ
まず携帯は単独登山に限らず、一般パーティ登山においても必須と言うことだ。
一般パーティ登山はとりあえず割愛して、単独について書いてみる。
過去の僕の山行において、携帯があったらどんなにか良かったか、と思うことが何度かあった。僕がアクシテントにあった、と言うのではなくて。
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ある時、山中をヤブ漕ぎしていたとき、人間における骨などを発見した。それは、某山の直下であるが、そこからかなり厳しい道のりだった。なにはともあれそのことを警察に知らせないと、と言うことで、ときどき木に紐などを巻き目印にして頂きに着いた。
頂は、いたって平和な雰囲気で直下に骨があるなどと言うこととは別世界だった。頂きは二等三角点の展望最高の場所。僕は、ここで無線機器を使っている人達を発見した。それで、その人達に、その無線機を使用させてもらって、警察に電話したい旨を話した。また、何故必要なのかも話した。しかし結果として、利用させてもらえなかった。理由は忘れてしまった。
この時点で、もし警察に連絡出来たら、警察のその後の動向によっては、この山頂で僕が待機して、警察と合流して、現地に向かってもよいと考えていた。
しかし、頂きからの連絡は出来ず、麓に下りて派出所に向い、一報を伝えるに至った。その時点での再び山に向かう、時間と体力はほとんどなかった。それで、その発見現場を詳細に説明して帰京した。
その後、警察から自宅に何度も電話が入り、その発見場所がかいもく分からないとのこと。さすがに「現地に来て、捜索の協力をしてもらえないか」とは警察でも言えないようだった。電話の際により詳細に現地について話した。その後、連絡は一度も来ていない、と言うことは発見されたのではなかろうか。
この場合、もしあの頂で携帯があれば、即電話できたと思う。また、警察の行動によっては合流して現地にむかってもよいと考えていたわけだ。だから、その後の警察の何度かの苦労のある捜索もしないで済んだのに、と思う。
これが、生きている人だったら、その時点では天と地もある大変な状態に違いない。
A
友人の同行者が下山中に足を滑らせて、数m転落。事後処理のために、友人は広範囲に動き回って、なんとかその同行者を病院に入れたそうである。友人曰く、あの時、携帯があったらもっと楽に短時間で事後処理できた、と言うことだ。
B
携帯をもっていて大変に役立った例
知り合いの山屋の仲間が某山にてビバークをよぎなくされた。パーティは二手に分かれてビバーク。下の方は携帯は持っていなくて、そのままビバーク。上の人達は携帯をもっていたので、知り合いに直に電話でき、救助の要請を、リアルタイムで連絡できた。ビバーク態勢に入ってから、15時間と言う早さで救助隊と合流することができた。その際、下でビバークしていた人は、下から上がってくる救助隊を見て、「何でこんなに早いのか、驚いたそうだ。」
そう言った携帯による恩恵と言うか、利便性は絶大だ。
具体的に携帯の良いところを書いてみると
○自分がアクシデントに見舞われたときに連絡できる
○自分以外の人のアクシデントにおいて緊急を要する場合、連絡できる。
○各人との連絡とか、地元、住まい、友人とかとの連絡、指示等がリアルタイムでできる。
○無線などと違って免許制でもなく、機械自体も軽い
唯一のウィークポイント
○谷とか山の陰の場合、電波がとどかない
携帯電話は市街とか下界における、電波送受信アンテナに全面的に依存している。そのため、そのアンテナの送受信範囲外だと電波が行き来できず、よって電話がかからないと言う事になる。しかし最近の携帯電話の電波が向上しているらしい。だから、相当の高い場所でも、見晴らしのよい場所なら電波が届き会話可能とのこと。
北アルプスの各峰はもちろん、ちょっとした尾根でもかなり可能とのことだ。まず、携帯の表示を見て、アンテナマークが表示されていれば通話可能ということになる。
アクシデントにあったら
自分なり、他人がアクシデントに見舞われたなら、まず見晴らしの良い場所に移動すること。谷底とか山陰の場合、通話不可なので、そこであきらめないで通話できる場所を探した方がよい。その場合はとりあえず尾根とか山の頂とかになる。
自分が歩けなくなった場合、ここで誰かのくるのをじっと待つか、より展望の良い場所に移動して連絡するか冷静になって判断すること。
計画書を出していても、救助隊がくるかもしれないのは、せいぜい二日後くらいになる場合がある。これは受身的なアクシデント対処方だ。それよりも自分で積極的に連絡して救助してもらった方が、金銭的、時間的な面で良い。
何かあったら即電話と言うのは良いかもしれな。しかしその本人は遭難回避における事前準備を怠っていないか、と言う大きな問題がある。事故は起こらないにこしたことはない。
まず
○日ごろから警察、家族、親類、友人なりに計画書をちゃんと出し、帰ってきたら確実に下山報告をしていること。
○日ごろから山の入門書とか、対応書を何度も読んでいる。
○山岳保険に入っている
○体力維持を図っている
以上の点を常日頃からおこなっていなくてはならない。それでも、なおアクシデントに見舞われたなら、救助する方も納得できる。
しかし、以上のことをほとんどやってない場合、またまた、無謀な山登り、と言うことで新聞とか雑誌に叩かれることになる。本人に限らず、万一単独で起こった場合、他の何万と言う単独山登りの方々にも迷惑がおよぶ、と言うことを自覚するべきだ。
結論として
○携帯電話は本人のアクシデント以外に他人のアクシデントにも大いに役立つものである。
○また受身的な救助待ちから、能動的な救助待ちの変化で、遭難時から救助態勢のでの時間的な速さは絶大である。
○しかし安易にたよるのも考え物だ。
○その前に、自分自身が日ごろから最低限の知識、体力、山についての人との良好なアクセスを計っていかなくてはならない。
と言う事になる。
有用無二な装備
携帯電話があることで精神的に楽になるなら、使わなくても、もっているだけでも大いに役立つ山の装備、と言うことになる。
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