「忘れな草」 マイネルプラチナム

 長い間、復帰を心待ちにしていた馬がいます。その馬は、三度の挫折を乗り越えて、再びターフに帰ってきてくれました。その名はプラチナム。マイネル、プラチナム
 「マイネルの安馬」と過小評価されがちなその血統に、大きな可能性の隠されていることをここに明らかにし、もって彼の復帰へのはなむけと致しましょう。


洩れ出る輝き

 当馬は1996年4月6日、新冠は山内牧場に生まれました。父は、気鋭の種牡馬シルヴァーホーク Silver Hawkハワイ Hawaii 牝馬の間に生まれた、輸入新種牡馬*シルヴァーエンディング(ペガサスH/米G1、アーカンソーダービー/米G2、エルカミノレアルダービー/米G3 他 37戦8勝)。一方母は、カブラヤオーの娘で、近親にダイナガリバーのいるゴールドオーキッド(15戦0勝)。泥臭いとまでは言わずとも、一般に良血と持てはやされるような血統では、決してありませんでした。
 やがて独特の相馬眼と血統観で知られる岡田繁幸氏の目に留まり、ラフィアンターフマンクラブで共同馬主を募ると(総額1000万円)、この黒鹿毛馬はマイネルプラチナムと名づけられます。ラフィアン自慢の早期スパルタ調教にも耐え抜き、ステージチャンプでお馴染み美浦・矢野進厩舎に入る頃には、プラチナムの黒い馬体はかなりの動きを見せるようになっていたと言います。

 初戦は函館第1週の新馬ダート1000m戦。優駿HCのマル外サザンクロスシチーに次ぐ2番人気に推されたプラチナムでしたが、鞍上・鹿戸雄一騎手との折り合いもチグハグなまま、7着と敗れます。しかし折り返しの新馬で最後方から一気の脚を見せ、評判馬ファイナルキスの2着に入ると、翌月の未勝利戦ではエイシンワンシャン以下に快勝。続く函館3歳Sこそ精彩を欠き11着に敗れるも、次走・札幌のオープン特別クローバー賞では道営のシダソルジャーと競り合い2着、その末脚を印象付けました。

 それでも、1800mに伸びた札幌3歳Sでは、夏の北海道開催だけで早6戦目となるプラチナムを重く見る向きは少なく、Silver Hawk 産駒のマル外マチカネテルテル、デビュー勝ちのトウカイテイオー産駒ノボエイコーオーらの陰で、直前の人気にして95倍の11番人気に甘んじます。…ところが、道中今までになくスムーズに進んだプラチナムは、4コーナーで先頭に立つと、そのまま後続を寄せ付けず、5馬身差の圧勝を飾ったのです(勝ち時計1.50.3)。
 これは、この頃ビーマイナカヤマで上昇気流を掴みつつあった鹿戸騎手にとっても、91年アラブ重賞タマツバキ記念以来、サラでは初の重賞制覇となりました。2着も12番人気のスタートマーチで、馬連はハネマン6桁配当に。ただし配当は高くとも、この勝利はかつてのマイネル的な早熟馬のそれではなく、実質あるものではないか、と勝ちっぷりや時計からは思われました。
 …が、禍福はあざなえる縄の如し。喜びもつかの間、レース後プラチナムの右前に剥離骨折が判明します。骨片摘出手術を受け休養するため、彼は戦線を離れました。


故障、また故障

 順調に回復したといっても、プラチナムの復帰戦は翌年春の皐月賞トライアル若葉Sまで待たねばなりませんでした。順調な仕上がりと、やや薄い相手を理由に、彼はいきなりの4.3倍の1番人気に祭り上げられます。鞘次郎などは却って思わず不安を抱いたレースでしたが、プラチナムは見事人気に応え、重馬場を後方一気の快勝。半年のブランクを取り返してクラシック候補に追いついて見せました。

 そしていよいよ皐月賞。3番人気に支持されたプラチナムは、この年亡くなる大川慶次郎氏をして「馬鹿によく見える馬」と言わせる立派な出来でした。しかし良馬場発表も雨、ワンダーファングが発走除外となる波乱の展開で、プラチナムは道中かかりぎみに進出して失速、馬郡に沈み、アドマイヤベガ(1番人気6着)、ナリタトップロード(2番人気3着)とともに、テイエムオペラオーの後塵を拝します。敗因は色々言われましたが、休み明けの激走が反動を招いたのだとしても不思議はありません。

 では、と次なるダービーに雪辱を期したプラチナム陣営は、しかしここでまたも痛恨の事態に出会います。5月20日美浦の芝コースで、府中を意識した調教を行った彼は、以前の骨折箇所に近い右橈側手根骨を骨折、ダービーはおろか、年内の出走も絶望的となってしまったのです。あるいはもし最初の骨折が無ければ、無理なく府中芝の経験もできていたろうに…と、関係者の誰もが無念に天を仰ぎました。
 いずれにせよ、不完全燃焼のまま、マイネルプラチナムのクラシックはこれで終わりました。この年のJPNクラシフィケーションでも、皐月賞9着を元に算出されては、オペラオーから16ポンド差の103ポンド(46.5キロ)という評価も致し方ありません。ですが、この数値がプラチナムの実力を正当に評価したものでないことは、言うまでもないでしょう。

 年が替わって4歳となったプラチナムは美浦に戻り、中山記念から安田記念を目標に調整されました。が、今度は1月半ば、腱鞘炎を発症し、再び放牧に出されています。――何とももどかしい、不遇の日々。

 したがって今週(2000年9月9日)の朝日チャレンジCは、彼にとって3度目のカムバックになります。同期のダービー馬アドマイヤベガが戦列を離れた今日でも、プラチナムは3走前があの札幌3歳Sなのですから、まだまだフレッシュな状態であるはず…。今度こそ、その能力を存分に発揮してくれるものと期待しつつ、同時にまた、彼の脚元を心配せずにはおれません。


ご飯のススム血統表

 さて、ここまでは誰でも知っている話なので、わざわざ書く話でもなかったかもしれません。(≧▽≦; それでも、もしマイネルプラチナムのあの末脚を忘れてしまっている方がおられれば、ひとまず思い出してはいただけたでしょう。
 そこで次に、彼の血統表を掘り下げてゆく段に移りたいと思います。まずは、〈X染色体径路〉をピンクに染めた、特製5代半血統表をご覧下さい。

マイネルプラチナム 1996 牡 黒鹿 / FNo. 16-h / Roberto 系
*シルヴァー
エンディング
Silver Ending
1987 青鹿
Silver Hawk
1979 鹿
Roberto
1969 鹿
Hail to Reason
1958 黒鹿
Turn-to Royal Charger
Nothirdchance Blue Swords
Bramalea
1959 黒鹿
Nashua Nasrullah
Rarelea Bull Lea
Gris Vitesse
1966
Amerigo
1955
Nearco Pharos
Sanlinea Precipitation
Matchiche
1956
Mat de Cocagne Birikil
Chimere Fabuleuse Coaraze
Copperhead
1979 黒鹿
Hawaii
1964 鹿
Utrillo
1958
Toulouse Lautrec Dante
Urbinella Alycidon
Ethane
1947 黒鹿
Mehrali Mahmoud
Ethyl Clustine
Basin
1972 鹿
Tom Rolfe
1962 鹿
Ribot Tenerani
Pocahontas Roman
Delta
1952 鹿
Nasrullah Nearco
Bourtai Stimulus
ゴールド
オーキッド
1989 黒鹿
カブラヤオー
1972 黒鹿
*ファラモンド
Pharamond
1957 黒鹿
Sicambre
1948 黒鹿
Prince Bio Prince Rose
Sif Rialto
Rain
1946 鹿
Fair Trial Fairway
Monsoon Umidwar
カブラヤ
1965 黒鹿
*ダラノーア
Darannour
1960 鹿
Sunny Boy Jock
Danira Dante
ミスナンバ
イチバン
1959 黒鹿
*ハロウェー
Harroway
Fairway
Rosy Legend
*スタイルパッチ
Style Patch
Dogpatch
ラックレディ
1978 黒鹿
*チャイナロック
China Rock
1953 栃栗
Rockefella
1941 黒鹿
Hyperion Gainsborough
Rockfel Felstead
May Wong
1934
Rustom Pasha Son-in-Law
Wezzan Friar Marcus
*レディスラー
Lady Surah
1961 黒鹿
Hasty Road
1951 鹿
Roman Sir Gallahad
Traffic Court Discovery
Surabaja
1951 黒鹿
Sayajirao Nearco
Rosy Legend
Usumbura Umidwar
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547 / 9代クロス血統表はこちら

 当馬の血統表を形容して、ねこ^H^H高柳 "御大" 誠二氏は「これで飯が3杯はイケる」との名言を述べられました。その味わいの源は、一体どこに? …鞘次郎の勝手な考えによれば、それは「母方の特異な配合」「それを存分に活かした当代の配合」の、大きく2点によります。



 まずは、牡馬である当馬にとって、〈X因子 X-factor〉を伝える可能性がある祖先、すなわちピンクのラインを遡って見ましょう。すると、そのうち3本が、
*ハロウェー Harrowayダンテ Dante、サヤジラオ Sayajirao の「だんて3兄弟 (^^;;」にたどり着くことがわかります。これらは「不世出の名花」ローズィレジェンド Rosy Legend が出した名種牡馬群であり、すべて母のX染色体を一身に受け継いでいたと考えられます。つまりプラチナムの母ゴールドオーキッドは、Rosy Legend のX染色体径路上3連クロスを配した、〈ダブルコピー牝馬 a double copy mare〉だったのです(<ここんトコは『奥様は魔女…』のイントネーションでどーぞ)
 ここまでのヲタク^H^H^H テクニカル・タームがご不明な場合は、お手数ですが先に Rosy Legend の項からご覧下さい。m(_ _)m
 この点を明確にするため、上表のピンク部分牝馬のみを左寄せして組み直したものが、下の〈5代伴性血縁血統表〉です。

ゴールドオーキッド 1989 牝 黒鹿 ― マイネルプラチナムらの母
カブラヤ
1965 黒鹿
Danira
1953 黒鹿
Rosy Legend
1931 黒鹿
Golden Legend Suicide
St. Lucre → ★
Rosy Cheeks Justitia
Purity → … → ★
Mah Iran
1959 黒鹿
Friar's Daughter Prim Nun
Garron Lass
Mah Mahal Rosedrop
Mumtaz Mahal
ミスナンバ
イチバン
1959 黒鹿
Rosy Legend
1931 黒鹿
Golden Legend Suicide
St. Lucre → ★
Rosy Cheeks Justitia
Purity → … → ★
スタイルパッチ
1950 鹿
Rose Leaves Cerito
Colonial
Style Leader Daphne
Minuet
ラックレディ
1978 黒鹿
May Wong
1934
Cos
1920 黒鹿
Stella [F22-a] Enchantress
Hollyleaf
Renaissance Feronia [F8-d]
Rinovata
Wezzan
1924
Prim Nun Perdita
Nunsuch
Woodsprite Sisterlike
Sister Lucy
レディスラー
1961 黒鹿
Traffic Court
1938 黒鹿
Ariadne Bridge of Sighs
Adrienne
Traffic Elf
Traverse
Surabaja
1951 黒鹿
Rosy Legend Golden Legend
Rosy Cheeks
Usumbura Uganda → … → ★
Queen
of Scots → ☆
SireLine 改メ HeartLine

 実は、ゴールドオーキッドの母父
カブラヤオー自体、ダブルコピー牝馬カブラヤから出た〈フィリーサイアー〉的種牡馬だったわけですが、ゴールドオーキッドの場合、母系を遡ったスラバヤ Surabaja にも、妙な仕掛けがあるようです。今度はそこだけ拡大してみましょう。

Surabaja 1951 牝 黒鹿 ― ヌアージターフの祖母、カズシゲ、ダイナガリバー、
ケントニーオー、マイネルプラチナムらの3代母
Rosy
Legend
1931 黒鹿
Golden
Legend
1907 鹿
Suicide
1876 黒鹿
Seclusion Palmyra
Miss Sellon
Ratcatcher's
Daughter
●Pocahontas
Lady Alicia
St. Lucre
1901 鹿
Feronia [F8-d] ■Alice Hawthorn
Woodbine → ●
Fairy Gold ◆Rouge Rose→■
Dame Masham
Rosy Cheeks
1919 黒鹿
Justitia
1896 鹿
Gem of Gems Souvenir
Poinsettia
The Frisky Matron Rigolboche → ●
Mayfair
Purity
1903 鹿
Moorhen Seclusion
Sister to
Ryshworth
Sanctimony Feronia [F8-d]
Golden Iris → ◆
Usumbura
1945
Uganda
1921 黒鹿
Bitter Orange
1906
Gravity Aline
Enigma (F2)
Tragedy Queen Moorhen → ▲
Clarion (F7)
Hush
1911 鹿
Feronia [F8-d] ■Alice Hawthorn
Woodbine → ●
Silent Lady Arcadia
Miss Gunning
Queen
of Scots
1930
Golden
Legend
1907 鹿
Suicide Seclusion
Ratcatcher's
Daughter
St. Lucre Feronia [F8-d]
Fairy Gold → ◆
Grand Princess
1922
Grand Geraldine L'Abbesse
de Jouarre
Grand Marnier
Queen Empress Stella [F22-a]
Sceptre
SireLine 改メ HeartLine

 おやおや、これはこれは…。Surabaja は、Rosy Legend こそクロスしないものの、その父の母ゴールデンレジェンド Golden Legend(息子2頭は見事にフィリーサイアー)をクロスし、名牝ウガンダ Uganda も引き入れて、Rosy Legend のキモだったフェロニア Feronia とセクルージョン Seclusion を4本ずつも並べていたのですね。こりゃまた、何とも繁殖に入って良さそうな配合と言うべきかな。
 ゴールドオーキッドの従姉妹であるユアースポートの場合、この Surabaja と、同じくX染色体径路上に Galicia クロスを配したミスオナー Miss Honor(*バウンティアスの母、*タップオンウッドの祖母)を併置していたことで、カズシゲ(1977 牡 鹿 by *ボールドアンドエイブル ― 高松宮杯、マイラーズC、函館記念 他)ダイナガリバー(1983 牡 鹿 by *ノーザンテースト ― ダービー、有馬記念、共同通信杯4歳S、菊花賞2着。年度代表馬)ダイナシルエット(1983 牝 鹿 by *ノーザンテースト ― クイーンS2着)と活躍馬を続出しえた、と言えます。
 そして(ユアースポートと違い)、同種のダブルコピーを組み合わせ、トリプルだかクワトロだか言いたくなるような配合に仕上げたゴールドオーキッドの配合には、
ダイタクリーヴァの母スプリングネヴァーにも通じるパラノイアックな雰囲気が充満しています。(^^;
※ ただ両者は、その見かけ上の近交度において大きく異なります。スプリングネヴァーは、なりふり構わぬインブリードを用いて、伴性遺伝的な重ね方と相似配合的な重ね方とが分かちがたく敢行されているのに対して、ここで見るゴールドオーキッドは、決して常識的にも過剰なインブリードではなく、また全兄弟クロスが巧みに用いられて、近交による弊害をできるだけスマートに避けています。
 そのくせ後者は、伴性血縁で数えると近い代に、Rosy Legend という非常に効果の高い牝馬クロスを3本(Usumbura 部分を考え入れれば4本近く)配しているのですから、「X染色体径路上クロスによる功>罪」とする狙いの、巧妙なことこの上ありません。
 こうした手法を使いこなしてきたドイツ馬産でさえ、これほど見事なパターンは珍しいほどです。
 このように「詳しく見ないと気付かないが、その割には案外しっかり効きそうな仕掛け」が、ゴールドオーキッドには隠されていたのでした。



 では、ゴールドオーキッドの産駒は、牡なら100%、牝なら50%の確率でこの資質を受け継ぎ、確実に活躍できるか、というと……それほど簡単ではありません。性染色体は確かに重要な遺伝を司りますが、それ以外の、31対62本の常染色体を無視するのはナンセンス(hatさんなら、ビックリ心臓コンテストじゃないんだから、と突っ込まれるところだな (^^;;)。

 そこで再び、父*シルヴァーエンディングまで含んだ、マイネルプラチナムの血統全体を眺めてみます。必要に応じ、別窓から9代表を呼び出してご覧下さい。
 すると、当馬のクロス血統表で目立つのは、およそ次の6系統のクロス群であることがわかります。

【A】Dante=Sayajirao:6x5*6 〜 Nearco:5*6*7*7*7x6*7 〜 Pharos=Fairway:6*7*8*8*8*8*8*8*8x6*6*7*8  
    〜 Rosy Legend(f):7x6*6*7 〜 Dark Legend:8x7*7*7*8 〜 Dark Ronald:9x7*8*8*8*8*9 〜 [Bay Ronald]

【B】Fair Trial:7x5 〜〜 …… 〜〜 Son-in-Law:9x6*7*9 〜〜〜 同上(もちろん Fairway=Pharos も共有)

【C】Roman:6x5 〜 Sir Gallahad=Bull Dog:7*7*7*7*9x6*7 〜 Teddy:8*8*8*8*9x7*8*8 〜 … 〜 [Bay Ronald]

【D】Bull Lea=Dogpatch:6x6 〜〜 同上(【A】内 Nearco との間には、Spearmint や Ajax、St. Simon も共有)

【E】Hyperion:7*8x5 〜〜 Gainsborough:8*8*9*9x6*8*8*8*9 〜 Bayardo:9*9x7*9*9*9*9 〜 [Bay Ronald]
   (【A】内 Nearco との間には、Chaucer を共有)

【F】Prince Rose:8x6 〜〜 …… 〜〜 Gay Crusader:9x8 〜〜〜 同上
 これらを整理しながら考えると、【A】群から【F】群までは、どれもてんでバラバラに見えながら実はすべて Bay Ronald に至る血脈であること、【A・B】群【C・D】群【E・F】群はそれぞれ互いにかなり近しく、【A】群と【C・D】【E】群もある程度共通の要素を持っていることも、見えてくるでしょう。
 したがって大きく見た場合、【A】群から【F】群までは、〈ニックスインブリード〉と言ってもよい全体性を獲得している、そのように判断することができます。
 このような作業と考え方を、かつて五十嵐良治氏は「異なったクロス馬は相互に新しいクロス馬によって結合される事(が望ましい)」としながら、いわゆるI理論の確立へと進んでゆかれたのではなかったでしょうか。それなのに、その後継者たるIK血統研究所は、当馬に極めて低い評価しか与えられない……少々残念です。(-_-;
 面白いことに、ここでの種牡馬*シルヴァーエンディングは、自身の資質を伝えるためというよりも、(カブラヤオーや Surabaja といった血統を重ね特徴的な構造を持つ)牝馬の特徴を継続して押さえ、確実に伝達するための媒介として用いられています。ですから当馬の資質も、どちらかといえば母方に由来するものとなっていると考えるのが自然ですね。つまりこれは、一種の「牝系を育てる」系統交配、山野浩一先生なら「ドイツ派」と呼ばれるだろう方法論に他なりません。この方法には、単体で遺伝的なインパクトの大きい種牡馬よりも、むしろ母系の特徴を引き出し(牝馬が出れば)次代に伝えられるような、いわば控え目な種牡馬の方が適します。言ってみれば、ごくごく繊細な種牡馬選定が必要となるのです。

 こうした状況が、必ずしも偶然や鞘次郎の妄想の産物ばかりでないのは、プラチナムの1歳下に、エイシンサンディ(祖母父*ドンからまたも Dante へ至る)を付けた半妹プラチナリボンがおり、これが新馬勝ちしていることからも明らかでしょう。上記の近交群は、プラチナリボンの配合においてもあまり変わりません。
 両馬の生産者である山内氏は、ほとんど一貫してこうした慎重かつ丁寧な、いぶし銀の配合を試みられており、小規模ながらも侮れないセンスの持ち主、と鞘次郎は密かに注目しています。(-_☆

2000/09/07
※ 本項の執筆に当たっては、マイネルプラチナム号の出資者のお一人、
Oka-World
の Gallop さんにご協力をいただきました。記して感謝致します。m(_ _)m
同馬の近況・写真などは、↑そちらをご覧下さいませ。


 ご存知の通り、プラチナムは復帰後もついに再びあの末脚を見せることなく、引退となりました。幸い、彼は生産者である新冠・山内牧場に引き取られ、種牡馬として扱われることになったそうです。
 その地味さゆえに量的な成功は望むべくもありませんが、視点を変え「牝馬が出れば、一発もありうるし、肌としても期待できる」フィリーサイアーとして見るなら、種牡馬マイネルプラチナムには相応、いや、それ以上の価値が見込めるはずです。またサクラシンゲキ牝駒やウイニングチケット牝駒との間には、ニックの生じそうな雰囲気もあります。決して望みを捨てず、彼の子供たちを待ちましょう。
 ともかくお疲れ様、プラチナム。よく無事に走り切ってくれました。

2001/05/27


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