「我が心の名牝」 エイワン A.1.

 A(^^; 妙なタイトルをつけてしまいました。『ファミリーテーブル』目次の2番目に名を刻むこの馬ですが、通常これを「名牝」として取り上げることはないでしょう。
 先にお断りしておくと、本項は(当馬の馬体写真さえ見たことのない)島国の血統ヲタによる電波な妄執以上のものではありません。A. 1. を名牝と呼んで恥をかいても、鞘次郎は責任を負いかねますので、あしからず。(≧▽≦)
 ダンテ Dante 初年度牝駒の一頭で、白ワインの名を持つアスティスプマンテ Asti Spumante は、Dante を巡るニックス論の格好の素材です。
 その代表産駒テタンジェ Taittinger(1954 牝 by Tehran ― プリンセスマーガレットS。馬名はやはり白ワインから)は、父の母父 Solario と母の父 Dante のニックを利用したものでした。
 生産者も知ってか知らずか、次に歴史に名を残すのは、もう一つのニック Owen Tudor と Dante を組み合わせた産駒になります。

 1963年、Taittinger の半妹としてイギリスに生を受けた一頭の芦毛牝馬は、後にエイワン A. 1. という、何ともゾンザイな (^^; 名を与えられ、5戦ほど走って未勝利のまま引退しました。

A. 1. 1963 牝 芦 / FNo. 7 / Owen Tudor 系
Abernant
1946
Owen Tudor
1938 黒鹿
Hyperion
1930
Gainsborough
1915 鹿
Bayardo Bay Ronald
Rosedrop St. Frusquin
Selene
1919 鹿
Chaucer Canterbury
Pilgrim
Serenissima Minoru
Mary Tudor
1931 鹿
Pharos
1920 黒鹿
Phalaris Polymelus
Scapa Flow Chaucer
Anna Bolena
1920 鹿
Teddy Ajax
Queen Elizabeth Wargrave
Rustom Mahal
1934
Rustom Pasha
1927 鹿
Son-in-Law
1911 黒鹿
Dark Ronald Bay Ronald
Mother-in-Law Matchmaker
Cos
1920 黒鹿
Flying Orb Orby
Renaissance St. Serf
Mumtaz Mahal
1921
The Tetrarch
1911
Roi Herode Le Samaritain
Vahren Bona Vista
Lady Josephine
1912
Sundridge Amphion
Americus Girl Americus
Asti Spumante
1947
Dante
1942 黒鹿
Nearco
1935 黒鹿
Pharos
1920 黒鹿
Phalaris Polymelus
Scapa Flow Chaucer
Nogara
1928 鹿
Havresac Rabelais
Catnip Spearmint
Rosy Legend
1931 黒鹿
Dark Legend
1914 黒鹿
Dark Ronald Bay Ronald
Golden Legend Amphion
Rosy Cheeks
1919 黒鹿
St. Just St. Frusquin
Purity Gallinule
Blanco
1932
Blandford
1919 黒鹿
Swynford
1907 黒鹿
John o'Gaunt Isinglass
Canterbury Pilgrim Tristan
Blanche
1912 鹿
White Eagle Gallinule
Black Cherry Bendigo
Snow Storm
1926
Buchan
1916 鹿
Sunstar Sundridge
Hamoaze Torpoint
Snow Maiden
1916
The Tetrarch Roi Herode
Snoot Perigord
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547 / 9代クロス血統表はこちら


灰色の快速遺伝子

 未勝利とはいえ、A. 1. の血統は2つの点で侮りがたいものです。まずは父方の重要な血脈について。

 父アバーナント Abernant は、英スプリント界で無敵を誇った芦毛の一流馬。ナショナルS・シャンペンS・ミドルパークSに勝ち2歳王者となり、明けて3歳、英2000ギニーを2着した後は短距離路線に転じ、キングジョージS・キングズスタンドS・ジュライC・ナンソープSを制し、4歳時もこれらを連覇しています。
 またこの馬は、偉大なフィリーサイアーでもありました(母父に入っての活躍馬に、「ダンテ系中興の祖」
デリングドゥ Derring-do やサッチング Thatching など)
 Abernant のこうした特長は、父よりもむしろ母方の、名BMSラスタムパシャ Rustom Pasha、そして祖母マムタズマハル Mumataz Mahal に根拠を求めることができるでしょう。そこには、スピードを追求した大生産者アガ・カーン三世の影響が、色濃く見えます。

 そのことは毛色にさえ表れています。周知の通り、芦毛は〈優性遺伝子〉によるものですから、両親のいずれかが芦毛でない限り発現しません。またかつては「芦毛は能力に劣る」とされていたため、競走馬に芦毛は少なかったと伝えられます。
 そんなわけで、芦毛馬の毛色は、ほとんどの場合ある特定の血統、すなわちザテトラーク The Tetrarch(1911 牡 芦 by Roi Herode ― シャンペンS他。驚異的なスピード馬) ないしその父ロワエロド Roi Herode へと遡ることができます。この事情は、例えばタマモクロスやオグリキャップ、メジロマックイーンにしても同様ですね。

 Abernant の、そして当馬 A. 1. に至る芦毛の系譜は、このようにして成立しました。なお、Mumtaz Mahal の一族は、他にもマームード Mahmoud(1933 牡 芦 by Blenheim ― 史上初の芦毛英ダービー馬)ミゴリ Migoli(1944 牡 芦 by Bois Roussel ― Sayajirao と同期の凱旋門賞馬)プティトエトワール Petite Etoile(1956 牝 芦 by Petition ― 英二冠牝馬)など、多数の芦毛名馬を出してアガ・カーンに貢献しています。

 遺伝確率的には「毛色が父祖から引いた能力と連鎖する可能性はきわめて低い」と考えるべきですが、The Tetrarch 〜 Mumtaz Mahal が広めた、爆発的なスピード特異な毛色とは、いずれも血統史上劇的な役割を演じたという点において、確かに重なる部分があります。その意味でも Abernant は、Nasrullah とはまた違った意義を持つ血統だと言えるでしょう。


高度な相似配合

 もうひとつ、A. 1. の血統で重要なポイントは、その構成が相似的であることです。
 Owen Tudor が Dante(特に Nearco )と相性の良いことは別項ですでに述べた通りですが、この配合はそれにとどまらず、Rustom Pasha も Rosy Legend とMumtaz Mahal は Snow Storm と、それぞれ相似な関係にあります(7代くらいまでご覧いただくと確実かな)。
 おまけに後2者の類似は、The Tetrarch(伴性血縁的に2x5)や St. Serf(同4x5*6)の〈X染色体径路上クロス〉としても実を結んでいます。

 相似関係がほぼその位置(ついでに毛色 (^m^;;)においても成り立っているという意味で、これは実に巧妙な〈相似配合〉です。
 こうした相似配合馬には、よく知られたスピードシンボリ(1963 牡 黒鹿 by *ロイヤルチャレンヂャー ― 39戦17勝、JRA1969-70年度代表馬)マルゼンスキー(1974 牡 鹿 by Nijinsky ― 8戦不敗)、最近ではエリモエクセル(1995 牝 栗 by *ロドリゴデトリアーノ ― オークス 他)など、優れた成績を収めたものが沢山出ています。
 が、より重要なのは、これらは上手く使えば産駒や孫の段階で、より大きな実を付けることでしょう。


  〜 相似配合による名牝の例 〜

ロマネラ Romanella(1943 牝 栗 by El Greco ― 産駒に Ribot ら)
スウィートトゥース Sweet Tooth(1965 牝 鹿 by On-and-On ― 産駒に Our Mims、Alydar ら)
シャダイフェザー(1973 牝 鹿 by *ガーサント ― 孫にダイナカール、その仔にエアグルーヴ)
トリイヨン Trillion(1974 牝 鹿 by Hail to Reason ― 産駒に Triptych、孫に Treble ら)
モデルスポート(1975 牝 黒鹿 by *モデルフール ― 産駒にダイナアクトレス、その仔にステージチャンプら)
ブラウンデージ(1975 牝 鹿 by *ボンモー ― 産駒にシンブラウン、シンチェスト、テイエムジャンボら)
イザベラ(1980 牝 栗 by *イエローゴッド ― 孫にプリモディーネ)
*ダンシングキイ Dancing Key(1983 牝 鹿 by Nijinsky ― 産駒にダンスパートナー、ダンスインザダークら)

 余談ですが、個人的には「さらに相似配合同士を出会わせた、一種フラクタルな『相似の相似の相似…』的配合(例えばトキノミノルや Ribot)」こそが、究極の配合だと考えます。
 こうした A. 1. のいかにも「次世代辺りで一発狙っちゃろう」的な仕掛けは、初仔パールモア Pearlemor(1968 牝 by Gulf Pearl ― 3勝)、4番仔チリガール Chili Girl(1971 牝 by *スカイマスター ― スターフィリーズS、クイーンメアリーS2着)などに続き、お馴染みのこの馬で結実します。


鉄の心臓改め…

*スティールハート Steel Heart 1972 牡 黒鹿 / FNo. 7 / Turn-to 系 ― 12戦5勝
Habitat
1966 鹿
Sir Gaylord
1959 鹿
Turn-to
1951 鹿
Royal Charger
1942
Nearco Pharos
Sun Princess Solario
Source Sucree
1940 黒鹿
Admiral Drake Craig an Eran
Lavendula Pharos
Somethingroyal
1952 鹿
Princequillo
1940 鹿
Prince Rose Rose Prince
Cosquilla Papyrus
Imperatrice
1938 鹿
Caruso Polymelian
Cinquepace Brown Bud
Little Hut
1952 鹿
Occupy
1941 鹿
Bull Dog
1927 黒鹿
Teddy Ajax
Plucky Liege Spearmint
Miss Bunting
1930 鹿
Bunting Pennant
Mirthful North Star
Savage Beauty
1934 鹿
Challenger
1927 鹿
Swynford John o'Gaunt
Sword Play Great Sport
Khara
1927
Kai-sang The Finn
Decree Wrack
A. 1.
1963
Abernant
1946
Owen Tudor
1938 黒鹿
Hyperion
1930
Gainsborough Bayardo
Selene Chaucer
Mary Tudor
1931 鹿
Pharos Phalaris
Anna Bolena Teddy
Rustom Mahal
1934
Rustom Pasha
1927 鹿
Son-in-Law Dark Ronald
Cos Flying Orb
Mumtaz Mahal
1921
The Tetrarch Roi Herode
Lady Josephine Sundridge
Asti Spumante
1947
Dante
1942 黒鹿
Nearco
1935 黒鹿
Pharos Phalaris
Nogara Havresac
Rosy Legend
1931 黒鹿
Dark Legend Dark Ronald
Rosy Cheeks St. Just
Blanco
1932
Blandford
1919 黒鹿
Swynford John o'Gaunt
Blanche White Eagle
Snow Storm
1926
Buchan Sunstar
Snow Maiden The Tetrarch
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547

 A. 1. は12頭の仔を産み落とし、うち11頭が出走して9頭が勝ち上がっていますが、白眉は当然この馬、やはり名スプリンターだった*スティールハート Steel Heart です。

 父ハビタット Habitat は、最近ちょっと影が薄いものの、欧州マイル戦線に一時代を画した名馬かつ名種牡馬。英サイアーランキングでも、2位に4回、3位・4位に各2回入っています。この優秀な遺伝力は、Habitat を供用していた愛エアリースタッド Airlie Stud を、一躍名門と呼ばれるまでに押し上げました。
 とりわけ、ヨーロッパの重賞を産駒のうち50頭で計108勝したことは、時代的に考えても見事な記録と言えるでしょう。この記録は1999年末現在の時点でも、75頭で149勝しているサドラーズウェルズ Sadler's Wells、54頭で109勝のヌレイエフ Nureyev に次いで第3位の座にあるほどです(続いて Riverman、Northern Dancer、Lyphard、Mill Reef、Nijinsky…)。
 Habitat 産駒には、ディスタントリラティヴ Distant Relative(1986 牡 鹿 out of Royal Sister ― サセックスS、ムーランドロンシャン賞 他)など、Nasrullah を導入して積極的にスピードを増幅した配合が目立ちますが、これは Habitat の血統構成を考えれば肯ける所。
 またその他 Owen Tudor+Dante を持つ牝馬との間にも、この*スティールハートや名牝マーウェル Marwell(1978 牝 鹿 by Habitat ― チェヴァリーパークS、キングズスタンドS、アベイユドロンシャン賞など短距離界を席巻。産駒も Caerwent が愛ナショナルSを勝ち、Marling は愛1000ギニー他をこれまた勝ちまくった。近親に
*ハンターコム Huntercombe)あたりを代表に、多くの名馬を出しています。
 ちょっと変わった所では、Sライン出身の名馬スタインレン Steinlen(1983 牡 鹿 out of Southern Seas ― アーリントンミリオン、BCマイル 他)も母方に Dante を持っていましたっけ。

 このような父の2年目産駒として A. 1. が産み落とした*スティールハートは、腹違いの同期*ホットスパーク Hot Spark(1972 牡 栗 by Habitat ― フライングチルダーズS、パレスハウスS、キングススタンドS 2着)とともにワルト・デヴィッドスン氏のキラーキン牧場で育ち、ホウトンセールのリングに引き出されると、2番目の高価格71,000ギニー(ホットスパークが72,000ギニー)でラヴィ・ティッコ氏に競り落とされました。両馬はともにダーモット・ウェルド調教師に預けられ、値段に恥じぬ活躍を見せます。
 2歳時は王道を歩み、ジムクラックS、ミドルパークSを快勝して望んだデューハーストSは名馬*グランディ Grundy から7馬身差の2着(ただし当時はデューハーストよりミドルパークの方が重要なレースでした)。3歳になると英2000ギニーは惨敗も、デュークオブヨークSを勝ち、ジュライCをリアンガ Lianga の2着した後、バーデンバーデンのゴルデネパイチェを制して、通算12戦5勝で早々に引退しています(より詳しくは、A.Tさんによるデータサイト Bubble Company 内「種牡馬辞典」 Steel Heart の項をご参照下さい)
 勝鞍のすべてが5〜6ハロン(or1200m)戦であったことからも、"Steel Heart" というよりは "Steal Heart" とでも言うべき、生粋のスプリンターだったことがわかります。

 引退した*スティールハートは、故郷アイルランドで3世代の産駒を出してから、1978年11月、日本へと輸入されました。そして日本での初年度産駒に、日本競馬史上屈指の名マイラー、ニホンピロウイナーを出すことになります。
 その後も*スティールハートは以下に挙げるような快速先行馬を出し続け、日本競馬へのスピード導入に先駆的な役割を果たしました(裏を返せば、ニホンピロウイナー以上に距離の融通性を備えた産駒は、ついに出なかったわけですが…)。


  〜 *スティールハートのその他の代表産駒 〜

タカラスチール(1982 牝 黒鹿 out of ルードーメン ― マイルCS、クイーン 他、最優秀古牝馬)
ラガーブラック(1985 牡 鹿 out of サンムーティエ ― シンザン記念、ペガサスS-2着)
ナルシスノワール(1986 牡 黒鹿 out of セレーザ ― スプリングS、東京新聞杯、スプリンターズS-2着)
ケイワンハート(1988 牝 黒鹿 out of スイートスワニー ― 東京プリンセス賞、トゥインクルレディー賞)
マザートウショウ(1990 牝 黒鹿 out of エイティトウショウ ― 函館3歳S、3歳牝馬S(東)、クイーンC)

 いずれにせよ、ポイントはやはり Mumtaz Mahal〜The Tetrarch、次いで Hyperion、Dark Legend あたりに絞れそうな感触がありますね。


ハレルヤ! 名牝が帰ってきた

 さて、*スティールハートの影響もあって、70年代以降の A. 1. 牝系には、決まって Habitat が付けられるようになりました。牝系図をご覧ください。

 
 牝系図:Asti Spumante 〜 A. 1. / FNo. 7

 Asti Spumante ( 1947 英 牝 栗 by Dante ) = 3代母 Snow Maiden は芦毛の愛オークス馬   Travel Man ( 19?? 英 牡 by Buisson Ardent ) ― コヴェントリーS/英G3-2着   Valtellina ( 1953 英 牝 鹿 by Vatellor )   |Supreme Sovereign ( 1964 牡 芦 by Sovereign Path ) ― ロッキンジS/英G2   Taittinger ( 1954 英 牝 by Tehran ) ― プリンセスマーガレットS/英-LR、   |              チェヴァリーパークS/英G1-2着、英オークス/英G1-4着   Madeira ( 1955 英 牝 by Combat )   Sip ( 1956 英 牝 by My Babu )   Biarritz ( 1958 英 牡 by Buisson Ardent ) ― ロッキンジS/英G2-4着   Isola d'Asti ( 1962 英 牝 by Court Harwell )   |Frascati ( 1968 牡 栗 by Ragusa ) ― セントサイモンS/英G3   
A. 1. ( 1963 英 牝 芦 by Abernant ) ― 5戦未勝利    Pearlemor ( 1968 英 牝 by Gulf Pearl ) ― 3勝    |Alpherat ( 1974 英 by 牡 *アンバーラマ ) ― ノーフォークS/英G3-2着、モルニ賞/仏G1-3着    |Zorn( 1980 英 牡 by Riboboy ) ― ヴァレーゼ市大賞/伊G3-2着    |Alef Zero ( 1975 英 牡 by *アンバーラマ )    |Grey Ghost ( 1972 英 牡 by *イエローゴッド )    |Senor Tomas ( 1983 英 牡 by Sparkler )    Mystic Prince( 1969 英 牡 by *アステック ) ― 障害1勝    Bold Ron( 1970 英 牡 by Bold Lad(?) ) ― 2勝    Chili Girl ( 1971 英 牝 芦 by *スカイマスター ) ― 1勝、スターフィリーズS/英LR、クイーンメアリーS/英G2-2着    |Baby Marie ( 1985 by Jalmood )    ||Left Bank ( 牡 ??? )    |Hot Case ( 1977 牝 by Upper Case )    ||Dependable ( 1990 牝 by Formidable )    |Chilibang ( 1984 英 牡 芦 by Formidable ) ― キングズスタンドS/英G2    |Cool Chili ( 1988 英 セン by Formidable )    *スティールハート Steel Heart ( 1972 愛 牡 黒鹿 by Habitat ) ― 5勝、ミドルパークS/英G1、    |            ジムクラックS/英G2、デュークオブヨークS/英G3、ゴルデネパイチェ/独G3    Harrapan Seal ( 1973 英 牝 by Habitat ) ― 1勝    |Repel ( 1980 牡 by Youth )    |*ニジンスキーセンチメント Nijinsky Sentiment ( 1981 米 牝 芦 by Nijinsky )    ||Mesaafi ( 1989 愛 牝 by Slip Anchor ) ― プレスティジS/英G3-2着    ||サツマリーベ ( 1992 日 牝 芦 by *カコイーシーズ )    |||トシザカンパラ ( 1996 日 牡 芦 by *カンパラ )    ||ファーストアロー ( 1994 日 牡 芦 by *エブロス ) ― クラスターC/G3    ||スナークサクセス ( 1995 日 牝 鹿 by *ブライアンズタイム )    |Barrin's Ridge ( 1984 牡 by Cox's Ridge )    Ampulla ( 1974 英 牝 鹿 by *クラウンドプリンス ) ― 2勝、チェリーヒントンS/英、シャンペンS/英-2着    |Steel Habit ( 1979 牝 鹿 by Habitat )    ||Regular Guest ( 牡 by Be My Guest )    ||Batshoof ( 1986 牡 鹿 by Sadler's Wells ) ― プリンスオブウェールズS/英G2、ロジャーズゴールドC/愛G2    ||Miss Arizona ( 1991 牝 by Sure Blade )    |Ancestral ( 1980 英 牡 鹿 by Habitat ) ― マッケーンズトライアルS/愛G3、レイルウェイS/愛G3    |Zummerudd ( 1981 英 牝 鹿 by Habitat )    | Furajet ( 1988 米 牝 by The Minstrel )    | |China Visit ( 1997 米 牡 鹿 by Red Ransom ) ― タンカルヴィル賞/仏LR、UAEダービー/ドバイLR    | |Dubai Visit ( 1998 米 牝 鹿 by Quiet American )    | Ghuyoom ( 1989 牝 by Al Nasr )    | General Monash ( 1992 牡 by Thorn Dance ) ― ロベールパパン賞/仏G2    | King of Kings ( 1995 愛 牡 鹿 by Sadler's Wells ) ― 5勝、英2000ギニー/英G1、    | |          愛ナショナルS/愛G1、レイルウェイS/英G3、アングルシーS/愛G3-2着    | Amethyst ( 1997 牝 by Sadler's Wells ) ― 愛1000ギニー/愛G1-2着、モイグレアスタッドS/愛G1-4着    Smokey Lady ( 1977 牝 芦 by Habitat ) ― フィーニクスS/愛G1    Hazy Lady ( 1980 牝 by Habitat )    |Hazy Kay ( 1990 牝 by Treasure Kay )    |Veuve Hoornaert ( 1992 牝 by Standaan )    Galaxy Leo ( 19?? 英 牡 by Habitat )
SireLine for Windows Ver 1.50 - Build 547

 ご覧の通り、*スティールハート以降、全弟妹や3/4同血の甥姪が計7頭生産されています。中でも直截な成功例と言えそうなのが、愛2歳女王 Smokey Lady
 この一族には、日本でもファーストアローなどが出ています。が、何と言っても近年この一族の存在を思い起こさせたのは、一時「Nijinsky の再来」とまで謳われた天才、キングオブキングス King of Kings でした。

King of Kings 1995 牡 鹿 / FNo. 7 / Sadler's Wells 系 ― 英2000ギニー 他7戦5勝
Sadler's Wells
1981 鹿
Northern
Dancer
1961 鹿
Nearctic
1954 黒鹿
Nearco
1935 黒鹿
Pharos Phalaris
Nogara Havresac
Lady Angela
1944
Hyperion Gainsborough
Sister Sarah Abbots Trace
Natalma
1957 鹿
Native Dancer
1950
Polynesian Unbreakable
Geisha Discovery
Almahmoud
1947
Mahmoud Blenheim
Arbitrator Peace Chance
Fairy Bridge
1975 鹿
Bold Reason
1968 鹿
Hail to Reason
1958 黒鹿
Turn-to Royal Charger
Nothirdchance Blue Swords
Lalun
1952 鹿
Djeddah Djebel
Be Faithful Bimelech
Special
1969 鹿
Forli
1963
Aristophanes Hyperion
Trevisa Advocate
Thong
1964 鹿
Nantallah Nasrullah
Rough Shod Gold Bridge
Zummerudd
1981 鹿
Habitat
1966 鹿
Sir Gaylord
1959 鹿
Turn-to
1951 鹿
Royal Charger Nearco
Source Sucree Admiral Drake
Somethingroyal
1952 鹿
Princequillo Prince Rose
Imperatrice Caruso
Little Hut
1952 鹿
Occupy
1941 鹿
Bull Dog Teddy
Miss Bunting Bunting
Savage Beauty
1934 鹿
Challenger Swynford
Khara Kai-sang
Ampulla
1974 鹿
*クラウンドプリンス
Crowned Prince
1969
Raise a Native
1961
Native Dancer Polynesian
Raise You Case Ace
Gay Hostess
1957
Royal Charger Nearco
Your Hostess Alibhai
A. 1.
1963
Abernant
1946
Owen Tudor Hyperion
Rustom Mahal Rustom Pasha
Asti Spumante
1947
Dante Nearco
Blanco Blandford
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547

 当馬はアイルランドの若き名伯楽エイダン・オブライエン師に鍛えられ、2歳初夏に早くもデビューしました。この際8馬身差の圧勝劇を演じたことで評判になり、その後レイルウェーS(愛G3・カラ6f)を1馬身差で勝つと、関係者が吹きまくったこともあって、英2000ギニーの前売オッズは一気に8倍程度にまで下がります。
 しかし続くアングルシーS(愛G3・カラ6f63yds)は短頭差の2着。準重賞タイロスS(愛LR・カラ7f)も辛勝といった様子で、愛ナショナルS(愛G1・カラ8f)はどうにか勝ったと思ったら、今度は右膝を骨折する有様。結局2歳時5戦4勝ながら、この時点では仏英G1を制したザール Xaar (1995 牡 鹿 by Zafonic ― 全欧2歳王者)に完全にお株を奪われた格好でした。
 これで終わっていたら竜頭蛇尾の謗りをまぬがれえなかった所ですが、果たして King of Kings は、休み明けぶっつけで挑んだ英2000ギニー(英G1・ニューマーケット8f)でレンドアハンド Lend a Hand や一番人気の Xaar を押さえて優勝、オブライエン師に初の英クラシック制覇をもたらしたのです。
 この後、英ダービーのレース中に故障を発生した King of Kings は引退し、馬主クールモア・グループの米分場アシュフォードスタッドに送られ種牡馬入りしています(2000年は初年度産駒が誕生予定)。

 その血統は、Turn-to 〜 Royal Charger 〜 Nearco が〈系列ぐるみクロス〉になった先進的なもので、Hyperion や Mahmoud の支援もあり、まずまず優れた構成を見せています。中でも A. 1. 内の重要な血脈がしっかり活かされていることに注目。したがってスピードに秀でているのはもちろんですが、Princequillo や Bull Dog の状態から見る限りスタミナもある程度は備わり、2000m前後なら十分こなせたのではないかと思わせます。
 ちなみに、牝系図からわかる通り、従兄弟で同血のバツーフ Batshoof も、英愛G2の勝馬でした。
 ついでに Sadler's Wells x Habitat の組み合わせにまで範囲を広げれば、バラシア Barathea (1990 牡 鹿 out of Brocade ― 愛2000ギニー、BCマイル 他)ダンスデザイン Dance Design (1993 牝 鹿 out of Elegance in Design ― 愛オークス 他)などが出ています。

 多少評判の先走った部分があったものの、King of Kings は A. 1. 系の持つ優れたスピードに、現代でも利用価値のあることを示してくれました。甥のチャイナヴィジット China Visit (1997 牡 鹿 by Red Ransom ― デビュー戦で良血 Ocean of Wisdom らを破る)などがこれに続き、A. 1. に更なる朗報をもたらしてくれることを期待しましょう。

2000/02/17 ― ( Revised on 2000/02/21,23,29 )


 China Visit はその後、ゴドルフィン軍団内部のUAEダービーを制して(2着Bachir)ケンタッキーダービーへ挑みましたが、残念ながらフサイチペガサス Fusaichi Pegasus の6着と敗れました。今後はヨーロッパでしょう。
 また、King of Kings の全妹アメジスト Amethyst は、兄同様オブライエン厩舎で鍛えられ、英1000ギニー8着後の愛1000ギニーで、クリンプレン Crimplene の1-1/2馬身差2着に入っています。(^^)

2000/09/07


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