「警笛、気を吐く」 クラクソン Clackson

 本項で取り上げるのは、サヤジラオ Sayajirao 系おそらく最後の希望、ブラジルの名馬クラクソン Clackson です。
 ただ、この馬の場合、父系にも増して牝系が長い(しかも私たちには馴染みの薄い)歴史を持っており、ここではそちらへの眼差しも必要かと思います。
 そこで本項は、そうしたプロセスを雑考しつつ進めていくことに致しましょう。また同時にその中で、「たった一頭の血統をたどることでも歴史は語りうるのだ」ということを証し立てられれば、とも考えています。


牝系の旅 ― (1)出ヨーロッパ、アルゼンチン土着化

 最初に、Clackson に至る牝系をご覧ください。


 牝系図:Turquoise 〜 Noceda 〜 Clackson / FNo. 1-e

 Turquoise ( 英国産 1839 牝 黒鹿 by Selim ) ― 英オークス  Utopia ( 英国産 1839 牝 by Jerry[英] )   Weatherwitch ( 愛国産 1858 牝 by Weatherbit[英] )   Peerage ( 亜国産 1870 牝 by The Duke[英] )   Noble ( 亜国産 1884 牝 by Chivalrous[英] )   Nobleza ( 亜国産 1894 牝 by St. Honorat[英] )   Numancia ( 亜国産 1906 牝 by Wagram[仏] )   Nacarina ( 亜国産 1919 牝 by San Vicente II[亜] )   Nigromancia ( 亜国産 1923 牝 by Gaulois[亜] )   Notita ( 亜国産 1930 牝 by Grandpre[英] )   Noceda ( 亜国産 1937 牝 by Tresiete[亜] )   Nocera ( 伯国産 1945 牝 by Sea Bequest[英] )   Aldebaran Princess ( 伯国産 1953 牝 by Peter's Choice[愛] )   Coaran ( 伯国産 1960 牝 by Coaraze[仏] )   Quarana ( 伯国産 1968 牝 by Pharas[仏] )   Clackson ( 伯国産 1976 牡 by I Say[愛] )
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 「天下の」1号族e分枝に属す、英オークス馬ターコイズ Turquoise(半姉に英1000ギニー馬、全兄に英2000ギニー馬がいる、当時一流の血統)から発したこの牝系は、19世紀半ばウェザーウィッチ Weatherwitch の代、大西洋を越えてアルゼンチンに渡ります。これは、当地としては比較的早い部類に入る、良血馬の導入でした。

 その後この国は、オーモンド Ormonde(1883 牡 鹿 by Bend Or ― 16戦不敗の英三冠馬)ダイアモンドジュビリー Diamond Jubilee(1897 牡 鹿 by St. Simon ― 同じく英三冠馬)などなど、本場欧州から(バブル期の日本も真っ青な)輸入活動を展開します。

 もちろんその背景には、アルゼンチン自体の経済発展がありました。
 手元の貧しい資料を見ると、1869年に189.7万人だった総人口が、欧州からの移民流入で1914年には816.2万人に増えています。この労働力を基に、食料品の輸出を可能にする冷凍船の発明も相俟って、大地主の経営する農牧場が発展しました(いわゆる「パンパの革命」)。
 そうなれば、大地主たちが、集積した富を娯楽につぎ込むようになるのは当然の成り行きというもの。

 こうして導入された血脈を受け止め蓄積するうちに、この牝系はアルゼンチンですっかり土着化します。
 輸入以来8代約80年を経て到ったノチェダ Noceda(Clackson の5代母)の血統などは、そのひとつの結晶、といった感があります。
 ひとつ、下掲5代半分の血統表をご覧ください(アルゼンチン内国産馬太字斜体で表記)。

Noceda 1937 牝 / FNo. 1-e / Sundridge 系
Tresiete
1926
Alan Breck
1918
Sunstar
1908 黒鹿
Sundridge
1898
Amphion Rosebery
Sierra Springfield
Doris
1898 黒鹿
Loved One See Saw
Lauretta Petrarch
Joie de Vivre
1908
Gallinule
1884
Isonomy Sterling
Moorhen Hermit
Melinda
1896
Melton Master Kildare
Fame Statesman
Trentona
1912
Torpoint
1900 黒鹿
Trenton
1881 黒鹿
Musket Toxophilite
Frailty Goldsbrough
Doncaster Beauty
1893 鹿
Sheen Hampton
Doncaster Belle Doncaster
Janitza
1896
Janissary
1887 鹿
Isonomy Sterling
Jannette Lord Clifden
Burgundy
1882 鹿
Hermit Newminster
Doll Tearsheet Broomielaw
Notita
1930
Grandpre
1922 黒鹿
Phalaris
1913 黒鹿
Polymelus
1902 鹿
Cyllene Bona Vista
Maid Marian [F3-f] Hampton
Bromus
1905 鹿
Sainfoin Springfield
Cheery St. Simon
Glacier
1907 鹿
St. Simon
1881 鹿
Galopin Vedette
St. Angela King Tom
Glasalt
1898 鹿
Isinglass Isonomy
Broad Corrie Hampton
Nigromancia
1923
Gaulois
1917
Cyllene
1895
Bona Vista Bend Or
Arcadia Isonomy
Pirita
1908
Pietermaritzburg St. Simon
Promise Gay Hermit
Nacarina
1919
San Vicente II
1911
Old Man Orbit
Silver Shot Carbine
Numancia
1906
Wagram Xaintrailles
Nobleza St. Honorat
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 当馬の血統表をリードするのは、バーガンディ Burgundy=ゲイハーミット Gay Hermit全きょうだいクロス(しかも、ともに
X染色体径路上)。何より、弟の方はアルゼンチン競馬の黎明期に輸入され、第2回カルロスペレグリーニ大賞(南米版凱旋門賞だと思いねぇ)に勝った上、種牡馬としてもその屋台骨を支えた存在(1896-98および1901年度リーディングサイアー、1910-13および1915-16年度リーディングBMS)でした。

 また、母の段階でクロスしているのが、現代主流父系の父祖ながら晩年をアルゼンチンで送ったシリーン Cyllene(1909-10年度英、1913年度アルゼンチンリーディングサイアー)。よく見れば、これも内国産経由と外国産経由が出会ったものです。

 他にも、19戦18勝、初めて四冠を制した超名馬オールドマン Old Man(1912および1917-18年度リーディングサイアー、1920および1922-29年度リーディングBMS)の名も見えるなど、まさにアルゼンチンの競馬史を覗かせるような血統表と言えるでしょう。
 こうした「同国人には胸の詰まるような」血統表が、日本でどれだけ見られるかと問えば…。r(^_^;; 「古い革袋」たる古牝系、それに名馬の後継種牡馬たち(マイシンザン、メジロパーマー、ヤマニンゼファーあたり)には頑張って欲しいぞなもし。

牝系の旅 ― (2)ブラジルへ移動

 そんな Noceda の血も、第2次世界大戦の直前には隣国ブラジルに輸出されてしまいます。

 というのも、ちょうどこの時期、南米の雄たる競馬大国だったアルゼンチンは、1929年の世界恐慌と翌年の軍事クーデターを境として、急速に不安定になっていったからです。50年代に入り、混乱を収拾しようとした「大衆政治家」ホアン&エヴィータ・ペロン夫妻が特権階級を締め上げるに及んで、アルゼンチンの競馬は凋落の一途をたどりました。
 それに代わって台頭したのがブラジル。この国もまた、競馬に限らず国力を外に対しアピールすることには熱心でした。新首都ブラジリア建設(1956年開始、60年遷都)などは有名ですね(…本当の所、この時すでにブラジル経済も傾きはじめていたのですが)。

 競馬の国際交流においても、ブラジルはかつての中心・アルゼンチンを圧倒するような勢いを見せました。中でもエスコリアル Escorial(1955 牡 by Orsenigo ― ブラジル三冠馬)はアルゼンチンのカルロスペレグリーニ大賞をも制し、「ブラジル競馬の黄金期」を象徴する名馬となりました。
 もっとも、現地では翌年の三冠馬ファルウェル Farwell(1956 牡 by Burphan ― 国内で17戦15勝2着2回)の方が名高いようですが。

 なお、その後アルゼンチンの方は、軍政と民政入れ替わりが続き、フォークランド紛争などもあって、政治的には完全に南米のオピニオン・リーダーの座を追われます。ただ、生粋の農業立国ということもあり、馬産は今でも7000頭規模(ブラジルは4000頭弱)を維持しています。

 現代では、ブラジルの関係者が両国の競馬を対照させてこんなことを書いています。
 ブラジルには最高の血統が揃っており、一方アルゼンチンにはタフな馬を育てる肥沃な大地がある。そこで、アルゼンチンは最高級のマイラーと中距離馬を輩出しているのに対し、ブラジルからはクラシック距離、しかも芝向きの馬が出ている点は特筆に値しよう。(デイリーレーシングフォーム1994/10/27,拙訳)
 この記述そのものが多少贔屓目っぽくもありますが、確かに、ブラジルの番組体系は芝の中長距離を充実させたものです。そしてまた、それゆえにこそ彼の地で欧州を追われたマイナー父系が適応でき、生き残っているのだろうとは偏屈爺師のご賢察でした。


南天に昇る希望の星

 アルゼンチンの没落とブラジルの台頭。
 先程の Noceda もまた、そうした潮流の変化に沿うようにして、ブラジルに居を移したと言っていいでしょう。以来5代約40年、いよいよ本項の主人公、Clackson の時代がやってきます。

Clackson 1976 牡 栗 / FNo. 1-e / Sayajirao 系
I Say
1962 黒鹿
Sayajirao
1944 黒鹿
Nearco
1935 黒鹿
Pharos
1920 黒鹿
Phalaris Polymelus Bromus
Scapa Flow Chaucer Anchora
Nogara
1928 鹿
Havresac Rabelais Hors Concours
Catnip Spearmint Sibola
Rosy Legend
1931 黒鹿
Dark Legend
1914 黒鹿
Dark Ronald Bay Ronald Darkie
Golden Legend Amphion St. Lucre
Rosy Cheeks
1919 黒鹿
St. Just St. Frusquin Justitia
Purity Gallinule Sanctimony
Isetta
1943
Morland
1934
Gainsborough
1915 鹿
Bayardo Bay Ronald Galicia
Rosedrop St. Frusquin Rosaline
Lichen
1929
Manna Phalaris Waffles
Loweswater Lomond Sisterlike
Isolda
1933
Rustom Pasha
1927 鹿
Son-in-Law Dark Ronald Mother-in-Law
Cos Flying Orb Renaissance
Yveline
1913 鹿
Gardefeu Cambyse Bougie
Photime Delaunay Primavista
Quarana
1968
Pharas
1948
Pharis
1936 黒鹿
Pharos
1920 黒鹿
Phalaris Polymelus Bromus
Scapa Flow Chaucer Anchora
Carissima
1923 鹿
Clarissimus Radium Quintessence
Casquetts Captivation Cassis
Astronomie
1932 鹿
Asterus
1923 鹿
Teddy Ajax Rondeau
Astrella Verdun Saint Astra
Likka
1925
Sardanapale Prestige Gemma
Diane Mallory Nimbus Ferula
Coaran
1960
Coaraze
1942 鹿
Tourbillon
1928 鹿
Ksar Bruleur Kizil Kourgan
Durban Durbar Banshee
Corrida
1932
Coronach Hurry On Wet Kiss
Zariba Sardanapale St. Lucre
Aldebaran
Princess
1953
Peter's Choice
1948
Fairford Fairway Pallet Crag
Heala Ray Hyperion Red Garter
Nocera
1945
Sea Bequest Legatee Ocean Light
Noceda Tresiete Notita
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547 / 9代クロス血統表はこちら

 本馬の前に、まずは父母について。

 父アイセイ I Say といえば、古いファンの中には持ち込み馬インターブレイン(1966 鹿 out of *ズークエスト ― 京王杯SH、ダイヤモンドS2着)の名をご記憶の方もいらっしゃるでしょうか。
 I Say は、ラ テンドレス La Tendresse(1959 牝 鹿 by Grey Sovereign ― ロウザーS他)クラッカー Cracker(1961 牝 by Court Harwell ― ナッソーS)という短中距離で活躍した姉妹の下に生まれ、姉たちとは正反対に長距離の高峰コロネーションCを制すなど、5勝を挙げました。英ダービーはシーバード Sea Bird の3着です。
 ただ、私もこの馬は種牡馬としては失敗だったと思っていた(母父としては、カドラン賞馬 Neustrien、輸入種牡馬*ガロト Garoto を輩出)ので、Clackson の存在には驚きました(やっぱ決めつけるのは良くないやね)。

 I Say 自身の血統は、Rosy Legend を相似交配で巧みに強調したものです。特に、南米でもお馴染みの Rustom Pasha(アルゼンチンでサイアーランキング3位4回、日本では*チャイナロックの母父として有名)が目に止まっての導入だった可能性は高いでしょう。
 Clackson は、I Say がブラジルに輸入された初年度の産駒に当たります。なお、I Say は他にもサンパウロダービー GP. Derby Paulista(2400m) のバレアル Baleal や、リオ1000ギニー GP. Henrique Possolo(1600m) のドルネス Dourness を出しています。


 そんな父方に対し、母の側は3/4を占める仏血の気配が濃厚です。

 祖母の父コアラズ Coaraze は、凱旋門賞連覇の名牝でありながら大戦の犠牲となったコリーダ Corrida の一粒種で、自身もモルニー賞、仏ダービー、サンクルー大賞などを制した名馬(26戦11勝)。戦後ブラジルに輸出され、
エメルソン Emerson(1958 牡 out of Empenosa ― 5戦不敗)など、多くの名馬を送りました。母父としても名馬デュプレクス Duplex(1977 牡 by Breeder's Dream ― 12戦9勝)などを出しています。ちなみに最近活躍のマル外*シルヴァコクピットは、Coaraze をクロスに持った珍しい配合です。

 また母父ファラス Pharas も同じくブサックのハウス血統で、半兄にマーシャス Marsyas(1940 牡 栗 by Trimdon ― グッドウッドC、ドンカスターC、そしてカドラン賞4連覇!)カラカラ Caracalla(1942 牡 鹿 by Tourbillon ― 凱旋門賞、パリ大賞、アスコットGC、ロイヤルオーク賞など8戦不敗!)アーバー Arbar(1944 牡 鹿 by Djebel ― 英セントレジャーでは Sayajirao の後塵を拝するも、アスコットGC、カドラン賞を兄弟制覇)、半姉にアスメナ Asmena(1947 牝 by Goya ― 英オークス)がいる超良血馬。

 その結果、母にはいかにもブサック好みの Pharos=Fairway:3x5、Sardanapale:4x5、St. Serf:6x6 などが生じました。特に後者2つはX染色体径路上クロスでもあり、母の繁殖牝馬的資質はかなりの水準に達していたのでしょう。
 個人的には、Pharas が5代アウト、Coaran が6代アウトという「外交×外交→近交」配合になっている辺りにも、ブサックの影響を感じます。…妄想かしらん。(^^;
 実際、この母クアラナ Quarana 自身も、2歳時にエルーテリオプラド賞 Premio Eleuterio Prado (1100m)、4歳になって1月25日大賞 Gran Premio 25 de Janeiro(2000m)やルイスナザレノジアサンパオ大賞 GP. Luiz Nazareno de Assumpcao(1600m)を勝った活躍馬です。


速く強く逞しく

 Clackson は、おおよそ上記のような血統背景を持ち、ブラジル北東部のサンルイス牧場 Haras Sao Luiz に生まれました。彼は、1978年にデビューし、早速期待に応えます。2歳馬にとって重要な一戦、アンテノールララカンポス大賞 GP. Antenor Lara Campos(G2・1300m)を勝つなど、サンパウロ・シダージジャルジン競馬場 I. Cidade Jardim でもトップクラスの能力を示したのです。特にそのテンの脚は、最初からメチャクチャに飛ばす(ゆえに世界レコード多数の)南米競馬にあっても、群を抜いたものだったといいます。
 しかし好事魔多し。そのスピードにまだ Clackson 自身の身体が耐えられなかったのでしょうか、彼は深刻な故障から戦列を離れ、ほとんどの人は彼の存在を忘れて行きました。

 が、4歳になってターフに戻ってきた Clackson は、その能力に一際磨きをかけていたのです。3月14日大賞 GP. 14 de Marco(G2・2400m)で鮮烈な逃げ切り勝ちを果たし、ガルクートジマガルハエス大賞 GP. Gal. Couto de Magalhaes(G2・3200m)も快勝。

 さらに翌年はパラナ大賞 GP. Parana(G1・2400m)、大一番のサンパウロ大賞 GP. Sao Paulo(G1・2400m、レコード勝ち)を始め、オズワルドアラーナ大賞 GP. Oswaldo Aranha(G2・2400m)ピランティニンガ大賞 GP. Piratininga(G3・2000m)と破竹の勢いで勝ち進みました。
 その強さに手を焼いた他馬の陣営は、何頭もペースメーカーを用意して Clackson 潰しを企みましたが、そう簡単に彼の首に鈴を付けることはできなかったと言います。
 しかも、たとえペースメーカーを振り切った所で、直線後ろから迫ってくる真のライヴァルも、同時代の名馬 Duplex など強豪揃いだったわけですから、Clackson の強さの質が、いかに常識外れのものだったかわかるでしょう。
 サイレンススズカというよりは、距離のもつエイシンワシントンみたいな感じかな。(^^;
 6歳になっても、農業大臣大賞 GP. Ministro da Agricultura(G2・2400m)、連覇となるオズワルドアラーナ大賞 GP. Oswaldo Aranha(G2・2400m)を制すなど、 Clackson の強さは決して衰えませんでした。むしろ逆に「ワインのように」熟成するほど素晴らしい力を身に付けた、と賞する記述さえあります。

 通算成績は33戦15勝、2着4回、3着4回、4着1回、着外9回。その得意距離、および脚質にして複勝率70%とは、門外漢の鞘次郎もただ恐れ入るばかり。m(_ _)ゞ


紡がれる糸

 いかな名馬とて、1ラウンドごとが勝負のマイナー父系にとってみれば、より重要なのはその繁殖能力です。
 そしてこの点でも、 Clackson は期待以上の働きをやってのけました(より正確には、今でもそれを続けています)。

 何せこれまで12世代の中から46頭のステークス勝馬(うち32頭は重賞勝馬)を輩出したというから大したものです。種牡馬としての Clackson をセールストーク気味に (^^; 表現すれば、「スピードも、スタミナも、早熟性も、頑健さも自身同様に伝える大種牡馬、どんな牝馬にも合い、大柄で力強く行儀よく、多くは父に似て美しい栗毛である」てな感じになるでしょうか。

〜 クラクソンの代表産駒15 〜
馬名生年性別母の父(その父)主な勝鞍
Old Pretender1984
In PassionHang Ten (The Axe) 南十字星大賞(リオダービー)/伯G1、コンデdH大賞/伯G2
Flying Finn1986
Life WorkHang Ten (The Axe) ブラジル大賞/伯G1、リオダービー/伯G1
Quelf1986
Kittiwake IIHang Ten (The Axe) オズワルドアラーナ大賞/伯G2
Ramirito1987
KhediveFragonard (Heliaco) リオ2000ギニー/伯G1、ANPC杯/伯G1
St. Cloud1988
Gambardina  ブラジルJC大賞(リオセントレジャー)/伯G1
Speranto1988
On Pass PasLocris (*ヴェンチア) (不詳)/伯G2
Stewart1988
BustaneraBusted (Crepello) フロンティン博士大賞/伯G2、共和国大統領賞/伯G1-2着
Val de Grace1991
In PassionHang Ten (The Axe) サンパウロ大賞/伯G1、オズワルドアラーナ大賞/伯G1
Vignon1991
Miracle HillHang Ten (The Axe) コンサグラカオ大賞(サンパウロセントレジャー)/伯G1
Murano1991
DamoiselLocris (*ヴェンチア) リオダービー/伯G1、ヴァルガス大統領大賞/伯G2
Messalina1991
CittadellaSt. Chad (St. Paddy) タカジウーロ/伯G1
Oriental Flower1992
FeminiteDuke of Marmelade
(Vaguely Noble)
サンパウロ1000ギニー/伯G1
Gunner Max1992
DaraandaDarshaan(Shirley Heights) (不詳)/伯G2
Grifton1994
CersenaBereber (Good Manners) ブラジルJC大賞(リオセントレジャー)/伯G1
Severado1996
RequeridaHang Ten (The Axe) FエドゥアルドdPM大賞/伯G1、ブラジル大賞/伯G1-2着

 ご覧の通り、華々しいのはハンテン Hang Ten というBMSとのマッチングです。その父ジアクス The Axe は、Sayajirao 系同様これまた「主流父系傍系」として肩身の狭い (^^;; Mahmoud 系の種牡馬。Clackson との配合では、Nearco と Gainsborough 主体にアウト寄りのシンプルな配合になります。

Severado 1996 牡 栗 / FNo. 9-h / Sayajirao 系 ― 伯G1フランシスコエドゥアルド
ジパウラマチャド大賞を勝ち、ブラジル大賞でも王者 Straight Flush の2着に健闘
Clackson
1976
I Say
1962 黒鹿
Sayajirao
1944 黒鹿
Nearco
1935 黒鹿
Pharos Phalaris
Nogara Havresac
Rosy Legend
1931 黒鹿
Dark Legend Dark Ronald
Rosy Cheeks St. Just
Isetta
1943
Morland
1934
Gainsborough Bayardo
Lichen Manna
Isolda
1933
Rustom Pasha Son-in-Law
Yveline Gardefeu
Quarana
1968
Pharas
1948
Pharis
1936 黒鹿
Pharos Phalaris
Carissima Clarissimus
Astronomie
1932 鹿
Asterus Teddy
Likka Sardanapale
Coaran
1960
Coaraze
1942 鹿
Tourbillon Ksar
Corrida Coronach
Aldebaran Princess
1953
Peter's Choice Fairford
Nocera Sea Bequest
Requerida
1987
Hang Ten
1973
The Axe
1958
Mahmoud
1933
Blenheim Blandford
Mah Mahal Gainsborough
Blackball
1950 鹿
Shut Out Equipoise
Big Event Blue Larkspur
Good Queen Bess
1963
Bold Ruler
1954 鹿
Nasrullah Nearco
Miss Disco Discovery
Flirtatious
1950
Menow Pharamond
Flitabout Challedon
Eclat
1972
Cambremont
1962 鹿
Sicambre
1948 黒鹿
Prince Bio Prince Rose
Sif Rialto
Djebellica
1948
Djebel Tourbillon
Nica Nino
Integridad
Sideral
1948 鹿
Seductor Full Sail
Starling Noble Star
Honra
1952
Bahram Blandford
Holda Hunter's Moon
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547

 残りの各種配合は、ヨーロッパ的な血脈が主体ですね。母父ロクリス Locrisダルシャーン Darshaan など、母 Quarana の持つフランス血脈をクロスしに行った配合も目立ちます。
 ちなみに、表末のスチュワート Stewart にはラインホールド Reinhold というG3勝ち(G1パラナ大賞は3着)の全兄がおり、
ここで種牡馬として供用されています(情報提供:チャームさん)。

 ただ、どちらにせよ種牡馬 Clackson の成功要因を語るには、ブラジル血統の「相対的な古さ」を見過ごせないような気がします。使い捨て・流行追随主義の日本などと違って、じっくりと土着化血統を熟成してきたブラジルでなら、世界的に時代遅れの血統や高齢種牡馬でも、良駒を送るチャンスに恵まれる、ということなのかもしれません。
 この辺り、「定向進化に疑問符」の鞘次郎にとって、大いに興味をそそられる所です。

 なお、Clackson は現在もブラジル南部、アルゼンチン近くのパラナ州でシンジケートが組まれており、上記セヴェラド Severado はじめ、産駒は今年のクラシック戦線でも健闘している模様。また孫世代にも、テルサ Telsa(1989 牝 by Old Pretender ― リオオークス/伯G1-2着、リオセントレジャー/伯G1-2着)ホットオールウェイズ Hot Always(1996 牡 by Val de Grace ― パラナダービー/伯G2)などが出ていると伝え聞きます。
 本項を終えるにあたり、彼とその子孫が貴重なその血を後世に繋げられるよう、地球の裏側からひそかにお祈り申し上げるものです。(-人-)

2000/01/09 ― ( Revised on 2000/01/27,01/31,02/02,02/17,03/04,08/20,09/10,09/15 )
Special thanks to Albatroz Bloodstock, Inc./ Thema Turfe Magazine / Argentine Thoroughbred Gallery
and 不適応者さんの 南米競馬情報


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