「立ちはだかる者」 モンジュー Montjeu

Montjeu 1996 牡 鹿 / FNo. 1-u / Sadler's Wells 系
Sadler's Wells
1981 鹿
Northern
Dancer
1961 鹿
Nearctic
1954 黒鹿
Nearco
1935 黒鹿
Pharos Phalaris
Nogara Havresac
Lady Angela
1944
Hyperion Gainsborough
Sister Sarah Abbots Trace
Natalma
1957 鹿
Native Dancer
1950
Polynesian Unbreakable
Geisha Discovery
Almahmoud
1947
Mahmoud Blenheim
Arbitrator Peace Chance
Fairy Bridge
1975 鹿
Bold Reason
1968 鹿
Hail to Reason
1958 黒鹿
Turn-to Royal Charger
Nothirdchance Blue Swords
Lalun
1952 鹿
Djeddah Djebel
Be Faithful Bimelech
Special
1969 鹿
Forli
1963
Aristophanes Hyperion
Trevisa Advocate
Thong
1964 鹿
Nantallah Nasrullah
Rough Shod Gold Bridge
Floripedes
1985
Top Ville
1976 鹿
High Top
1969 黒鹿
Derring-Do
1961 鹿
Darius Dante
Sipsey Bridge Abernant
Camenae
1961 鹿
*ヴィミー Wild Risk
Madrilene Court Martial
Sega Ville
1968
Charlottesville
1957 鹿
Prince Chevalier Prince Rose
Noorani Nearco
La Sega
1959 黒鹿
Tantieme Deux pour Cent
La Danse Menetrier
Toute Cy
1979
Tennyson
1970
Val de Loir
1959 鹿
Vieux Manoir Brantome
Vali Sunny Boy
Tidra
1964
Prince Taj Prince Bio
Djebel Idra Phil Drake
Adele
Toumignon
1971
*ゼダーン
Zeddaan
1965
Grey Sovereign Nasrullah
Vareta Vilmorin
Alvorada
1960
*ボウプリンス Prince Chevalier
Fair Dolly Hierocles
SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547 / 9代クロス血統表はこちら


 当馬モンジュー Montjeu の母系はメジャーでこそないものの、4代に渡って重賞勝馬を出している優秀な一族です。3代母からはジャパンCでも3着したディアドクター Dear Doctor(1987 牡 by *クリスタルグリッターズ ― アーリントンミリオン、ジャパンC3着 他) が出ていますし、当馬の母フロリペーデ Floripedes も仏G1ロイヤルオーク賞2着、仏G3リュテス賞勝ちがある一流のステイヤーでした。

 特に Floripedes の累代を見ると、祖母にあるのが Mon Talisman(凱旋門賞 他):4x4、母は Malindi = Nasrullah:4x4 および Prince Rose:5x5、そして自身が Prince Chevalier:4x5 と、焦点をズラしながら、巧みにスタミナと斬れ味を醸成してきた痕跡が見受けられます。

 そうした文脈を踏まえて今は亡き生産者ゴールドスミス卿が選んだお相手こそ、押しも押されぬ欧州No.1種牡馬、サドラーズウェルズ Sadler's Wells だったということでしょう。その選択に際しては、Sadler's Wells とトップヴィル Top Ville(あるいはその父ハイトップ High Top、いずれも Dante 系)の組み合わせが近年抜群の良績を上げている、という事実も影響を及ぼしたに違いありません。

 ここで、この組み合わせによる主な活躍馬を挙げてみましょう。

 Sadler's Wells x High Top の全妹
   *オールドヴィック 1986 牡 仏ダービー(仏G1)、愛ダービー(愛G1) 他
 Sadler's Wells(= Fairy King, Tate Gallery) x High Top 牝馬
   *オペラハウス '88 牡 「キングジョージ」(英G1)、エクリプスS(英G1) 他
   = Kayf Tara 1994 牡 アスコット金杯(英G1)、愛セントレジャー(愛G1) 他
   Pernilla   1990 牝 コンコルドS(愛G3)
   Turtle Island '91 牡 愛2000ギニー(愛G1)、フィーニクスS(愛G1) 他
   = Mother of Pearl 1996 牝 サンロマン賞(仏G3)
   Kincara Palace 1995 牝 キラヴーランS(愛G3)
 Sadler's Wells(= Fairy King) x Top Ville 牝馬
   Darazari   1993 牡 ランヴェットS(豪G1) 他
  ( = Rhagaas  1996 牡 仏ダービー(仏G1) はモンジューの3着 )
   Montjeu   1996 牡 仏ダービー(仏G1)、愛ダービー(愛G1) 他
 Sadler's Wells 直仔 In The Wings x Top Ville 牝馬
   Winged Love 1992 牡 愛ダービー(愛G1)
 Fairy King x High Top の全妹の孫娘
   Tadwiga   1995 牝 メイトロンS(愛G3)
 Sadler's Wells(= Fairy King) x 母父 High Top 牝馬
   Tamure    1992 牡 グレイトヴォルティジュールS(英G2)
   = Sea Wave  1995 牡 プランスドランジュ賞(仏G3)
 この中で、最初期の傑作*オールドヴィックは、奇しくも今年の Montjeu から遡ること10年前に仏愛ダービーを制した名馬です(血統論の一つであるI理論でも、オペラハウスを上回るほぼ最高級の評価を受けています)。
 こうした実例からは、お互い質の高い欧血を主体とする Sadler's Wells と High Top が、スピードの源泉レディジョセフィン Lady Josephine や北米経由のサーギャラハッド Sir Gallahad、フランスのブリュルール Bruleur といった要素をカバーし合っている様子が観察できます(オペラハウスの項目やその9代表もご参照下さい)。

 それが一代後退して Top Ville になると、プランスシュヴァリエ Prince Chevalier のスタミナが加わって(ニアークティック Nearctic 内アボッツトレイス Abbots Trace、ジェベル Djebel 内ゲイクルセイダー Gay Crusader が目覚めて)更に重厚なものになります。これはお馴染みメジロライアンが似た形態でした。

 一般的なクロス・ニックス論では、この辺りに両者の蜜月の根拠を求めることができるのでしょうが、私はさらにデリングドゥ Derring-Do 内のダンテ Dante とアバーナント Abernant の組み合わせによる効果ダンテのニックス論を参照)も無視できないのではないか、すなわち、この部分によってニアークティック Nearctic やフォルリ Forli がしっかりと支えられているからこそのニックではないか、と考えています。


 Montjeu の場合は、加えて祖母トゥトスィ Toute Cy からも、スピードの Nasrullah = Malindi、もう1本の Prince Chevalier をはじめ、スタミナの Djebel → Loika、Admiral Drake、Solario、Sir Gallahad などを加えることで、スピードとスタミナを盤石のものとしています。
 その上で9代内53種というシンプルな構造を持ち、(Sendawar には及ばないものの)結合もきわめて良好なのですから、このニックスの実例の中でも比較的洗練された(ただし早熟気味の)配合馬だと判断できます。

 *オールドヴィックとの比較で言うなら、スタミナの量よりむしろ気性と脚質の方が問題でしょうか。ハイペースで先行して相手を寄せ付けなかった*オールドヴィックに対し、Montjeu は母の影響か、後方追走から外に開いて豪快に差し切る、という力任せの走りを得意としています。
 ちなみに、仏ダービーで Montjeu の後塵を拝したラガース Rhagaas も同じ Sadler's Wells x Top Ville 牝馬の配合ですが、こちらは祖母に Djebel などブサックの血脈を連ねることによって、重厚な風格を漂わせています(9代内クロスも64種)。Montjeu の泣き所である祖父内 Geisha 部分の《欠陥》を考慮すれば、将来的に逆転の目もあるかもしれません(それとも、よりジリっぽくなってるだけかな)。
 ここでご紹介した Sadler's Wells x Top Ville という配合は、日本では必ずしも成功しないパターンだ(例:Winged Love の半弟ナイルオー)と理解される所ですが、今年のオペラハウス産駒のブレイク振りを見ていると、現実が大方の血統論より先んじている部分はあるかもしれない、とも思われます。
 そうした意味で、Montjeu の成果は私たちにとっても意義深いと言えるでしょう。

1999/06/29 ― ( Revised on 10/18,10/25,11/23,2000/03/05 )


 ご存知の通り凱旋門賞で日本調教馬エルコンドルパサーを下したモンジュー Montjeu ですが、来日しジャパンCに出走する様子。エルコンドルパサーに勝ち逃げされた馬たちにとっては、是非とも打ち破りたいライヴァルでしょう(…え? グラスワンダーは出ないの? (- -; )。

 その他にも欧州勢を中心として骨っぽい所が参戦しますので、今年のJCはこれら外国勢が主力を占めることになりそうです。慎重な取捨選択が必要ですね。
 一応、現時点での私的な期待など記しておきます。
◎モンジュー Monjeu(1996 牡 鹿 by Sadler's Wells)
   ― 全欧年度代表馬はデイラミに攫われたが、今年は勝って締めたい。
      府中の2400なら力を出しきれるはず。重馬場大歓迎。

▲タイガーヒル Tiger Hill(1995 牡 鹿 by *デインヒル)
   ― ドイツの古馬王者。ハイペースを得意とするため、展開に注意。

△ボルジア Borgia(1994 牝 鹿 by Acatenango)
   ― 一昨年の独年度代表馬(今年から仏へ移籍)。近走復活の気配がある。

 ハイライズ High-Rise(1995 牡 鹿 by *ハイエステイト)
   ― 実力そのものはG2クラスと大差ないかも。人気薄でどこまでの馬。

 アルボラーダ Alborada(1995 牝 芦 by Alzao)
   ― 父の当たり世代。英CS連覇は偉業も、反動が? 狙いは次走シンガポール。

×フルーツオブラブ Fruits of Love(1995 牡 鹿 by Hansel)
   ― 各国へ遠征してなかなかの成績をおさめている。軽視は禁物。

 マッシュワン Mash One(1995 牡 栗 by Mashkour)
   ― チリ産のご当地ダービー馬。米移籍後前走でG1制覇、余勢を駆って参戦。

×インディジュナス Indigenous(1994 騙 鹿 by Marju)
   ― 香港代表馬。今年は「キングジョージ」にも出走した。ひょっとして…?

(○は日本の某4歳牝馬に進呈する予定)
1999/11/13 ― ( Revised on 11/20 )

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