不定期コラム(2)2001年の日本シリーズ

チーム勝数敗数分数勝率率順位得点失点HR盗塁打率防御率
ヤクルト76586.567(1)64553114863.2743.41
近鉄78602.565(1)77074521135.2804.98

ちょっと遅れてしまいましたが
すでに2戦目まで終わってしまった日本シリーズ。ほんとは始まる前に書いておきたかったけど、終わってしまったものは仕方ないのでここで色々書いておきたいと思う。

オッズは何百倍?
まずは予想だにしなかったヤクルトと近鉄というカード。ではどちらがより優勝から遠かっただろうか。言い換えればどちらがよりまぐれで優勝したのか。まずは開幕前の両者の比較から。
開幕前のヤクルトは例年どおりの伊藤智仁の故障で、計算できる先発が石井一久ひとりという壊滅状態。ただ抑えには高津がおり、中継ぎにも五十嵐、石井弘寿、山本樹などの名前があった。また打線も来日してから2年連続好成績を残したペタジーニが中心に座ってはいるが、そのほかは宮本の.300以外に、打率3割到達も、20本塁打打っている打者もいない。
対する近鉄は、投手難はここ数年の課題。勝ち頭が前川の8勝13敗ではなんとも頼りない。さらにノーヒッターのエルビラも6勝7敗。シーズン途中で移籍してきた山村が6勝9敗。これにトレードで獲得した門倉7勝9敗と湯舟4勝7敗などがいるが、とにかく負け越ししかしていない投手ばかり。またこれといった中継ぎもおらず、隔年で好不調の成績の波が押し寄せる守護神大塚は今年は不調にあたる予定の年。とは言ったものの近鉄の昨季のチーム防御率はパリーグ4位。防御率のいいチームがなぜこんなに勝てないのか。答えは簡単。打線が打てないから。確かに昨季2冠王の中村紀洋がいる。ローズもいる。しかしチーム打点、得点ともにリーグ最下位なのである。「いてまえ打線」は存在しない、と言っても過言ではない。また今シーズンは正捕手も決まっていなかった。打力を買って磯辺が梨田監督の指導を受けて正捕手争いをリードしたかと思うと、結局シーズンに入ってからは外野として定着。古久保、的山らに譲ることとなった。
これだけで見ればやはりどちらも、弱投貧打とまではいかないが優勝できるほどの投手力と打線をもっているとは言えないだろう。ただ川口や鷹野、磯辺らの成長株がいる点で打線は近鉄。それに対して中継ぎに安定感があると言う点で、ようやく打の近鉄、投のヤクルトという図式が見えてくると言えるかもしれない。

打の近鉄と投のヤクルトの決戦???
さてそれでは今年の日本シリーズ予想。すでに2戦終わっているが、今回のシリーズのポイントは「投手力に自信のあるヤクルトが古田の頭脳でどのように近鉄打線を封じ込めるか」、と言われ続けてきた(いる?)。まずこの文言に隠れている真意を読み取ると、【1】ヤクルトは投手がいい。【2】近鉄は打つ。【3】近鉄投手陣は期待されていない。【4】ヤクルト打線には触れられていない。大きく考えてこれらが挙げられるだろう。
まず【2】と【3】に関しては妥当。本塁打王ローズに、打点王と出塁率王の中村。犠打王の水口に得点圏打率王の磯部ととにかく役者が揃っている。他にも吉岡が26本塁打。川口が規定打席に達していないが21本塁打と打線に切れ目がない。また近鉄はチーム盗塁数が35個と、盗塁に重きを置いていない点も、古田と対戦する際に打線にマイナスに働くことがないのもポイントだろう。また3番の近鉄投手陣は、12球団ワーストの防御率で、勝ち頭である前川の防御率は5.89を筆頭に4点台5点台の投手がずらりと並ぶ。これではいかに打線が得点しようとも大きな連勝はできない。この情況を打破し、チームを西武ダイエーとの3強争いから抜け出させたのは、関口や途中移籍の三澤らの中継ぎ陣の活躍であった。
さてここで残りの【1】と【4】の問題に絡んでくるが、まずはヤクルトの投手陣はいいのか?そしてそれから近鉄打線はシーズン通りに打ち勝つことができるのか?古田が常々言っているように、ヤクルトに制球のいい投手はあまりいない。しかし古田のリードがいいのか、古田という名前が凄いのかはわからないが、入来智や藤井、島田、河端、寺村、鎌田、松田ら、移籍組、新人問わずどんどんと新戦力が結果を残しているのである。つまり投手陣が素晴らしいのかといえば疑問符がつくが、これが古田の頭脳がくっつけばいい結果が産まれる。逆に言えば古田の頭脳がパニくるようだとどういう結果になるかはわかったものではない。それがわかっているからこそ中村紀洋は「古田さんのIDを絶対狂わせてみせます」と宣言したのだろう。

打のヤクルトに注目
とここまでは各メディアが必死に言い争っていた点をまとめたものと言ってもいい。大して真新しいことは書いていない。しかし何故かあまり聞かれないのが【4】のヤクルト打線に関することである。「打の近鉄、投のヤクルト」というわかりやすい図式を示したほうがおそらくメディアとしても説明しやすかったのだろうが、これは現実の成績をまったく分析しようとしていない証拠。たしかにチーム防御率3.41は12球団トップだが、それと同じくチーム打率.274もセリーグトップ。チーム得点は本塁打の多い巨人に次ぐ2位だったが、2冠王ペタジーニは今年も健在で、他に3割打者は3人。本塁打は稲葉が25本、ラミレスが29本打っており、犠打日本記録の宮本や土橋らを中心とするいやらしい攻め方もできる。防御率が概ね3点台のセリーグでこの成績は、概ね4点台のパリーグでの近鉄の成績と、「投のヤクルト」と言われてしまうほどの遜色は感じられるだろうか。少なくともこの事実を踏まえれば、「投手力に自信のあるヤクルトが古田の頭脳でどのように近鉄打線を封じ込めるか」という戦前予想はやはり的を得たものではないことがわかるだろう。

結局は点の取り合い
さてここからは日本シリーズの僕なりの具体的な予想である。まず言いたいことは、近鉄は1試合平均5失点は覚悟しなければならないということ。話はここから始まるんではないだろうか。そして問題はその点の奪われ方。先発が失点して中継ぎがしっかり抑えてくれるようだと、まだ勝機は見える。何故ならそれが近鉄の勝ちパターンだから。しかし上に書いたようにヤクルトも打力のあるチーム。そうそう簡単に近鉄の中継ぎ陣が抑えれるとも考えられない。だからヤクルトに大事なのは序盤に大量点を奪おうとも、6回以降の終盤に1点にこだわった攻めができるかどうか。しかし現実にスポーツに関わったことがある人ならばわかると思うが、これが難しい。逆に近鉄は簡単で、失点はわかりきったものとして、いかに相手から得点を奪うか。「投のヤクルト」と言っても圧倒的球威で抑えてくる投手や、抜群のコントロールをもっている投手は少ないのだから、特に中継ぎ陣を引っ張り出せば十分に勝機はある。

勝敗は予想しませんでした
1,2戦を終えた段階で、1戦目は古田のリードと(もちろん今まで見たこともないような石井一の球威と制球もあるが)、ヤクルト打線の前評判を覆す活躍というヤクルトの持ち味が、2戦目は中継ぎ陣の好投と逆転勝ちという近鉄の勝ちパターンに嵌まって、3戦目以降が楽しみな出足となった。2戦目に勝った分近鉄のほうが勢いに乗っているだろう。しかし中村はあの場面でよく打った(しかしあれは古田のミスリードだと思うなあ。あきらかに体がちがちでストレートのタイミングで振れていなかったんだからあえて変化球を投げる必要はなかったはずなのに)。打線とはある種勢いが絡んでいるので、前日の1安打完封負けを喰らって近鉄打線の崩壊かと思われたが、案外早くその危機から抜けたものだ。 ヤクルトとしてはもう少し近鉄打線を眠ったままにしておきたかっただろうが、起きてしまったものはしょうがない。「ヤクルトが近鉄中継ぎを打ち込むか、近鉄が失点以上の得点ができるか。」これって何勝何敗でどちらが勝ちとか予想できるのだろうか。少なくとも僕にはできない。ただ両軍ともベストの状態となって戦ってもらえることが楽しみになった、というのが正直な気分である。しかしまあ長々とまとまりのない文章になってしまった。

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