新球場を考える

まずはごく簡単にこれまでの新球場問題のおさらい。
1991年の市長選で平岡候補がドーム球場構想を表明し、当選後の翌年にドーム球場建設を貨物ヤード跡地活用の有力案として検討。→まだまだバブルの思考方法が残る。
98年、広島市土地開発公社が、JR広島駅の東八百メートルの跡地を国鉄清算事業団から百十億円で取得。
その後、市の財政事情悪化などで、99年に策定された市基本計画では、ヤード跡地の活用策については「にぎわいのある都市空間の形成」と記述され、ドーム案は後退。
そして、土地開発公社が先行取得したヤード跡地について、金利負担軽減特例措置が二〇〇三年度で切れる。約三千万円の金利負担が一気に二億円程度に増える。

第一の問題−要か不要か
まったくのカープ好きの広島市内在住の人間の個人的な意見とすれば、どっちでもいい。ただ現市民球場は完成から46年が経ち、老朽化・昨今の球場の大型化などの観点から見れば、立替もしくは改修の必要はあるだろう。ただ現在の球場は立地的に球場の拡大はできないから収容人員は減るが、巨人戦ですら満席にならにような球団にはそのような心配をする必要はないのだから、あとはカープ投手陣に広い球場で安心して投げさせてあげたい、という願いだけである。この新球場問題の起こりはバブル期の後遺症みたいなもので、カープの選手や純粋にカープ選手のプレーを見たい人間にととっては本当にどうでもいい話題だった。また問題も様々ある。ヤード跡地の再取得の見込みが未解決、新球場へのアクセスの問題(道路網未整備・新駅設置か?など)、中心部の空洞化(現市民球場は広島中央公園区域内で、新たな商業施設建設は難しいなど)、そして一番の問題は、やはり投資に見合うだけのお客が来てくれるか、という問題ではあるまいか。しかし、そういった不満や悩みも、具体的な案やイメージ図を見て変わってきた。

具体的四案

貨物ヤード跡地利用案
提案タイプ ドーム 複合型開閉式ドーム 開閉式ドーム 複合型オープン
提案企業 NKK 五洋建設
清水建設
博報堂
中電技術コンサルタント
三菱重工業
日建設計大阪
竹中工務店
サイモン・プロパティ・グループ
広島東洋カープ
電通
鹿島建設など
中核施設 野球場(人工芝)
イベント機能
野球場(天然芝)
サッカー場
イベント(音楽含む)機能
野球場(天然芝)
イベント・防災機能
野球専用球場(天然芝)
併設施設 にぎわい施設 ホテル
マンション
飲食・アミューズメント
スポーツクラブ
にぎわい施設 商業施設(メガモール)
飲食
映画館
アミューズメント
事業主体 第三セクター
・公的機関
民間 民間 民間
事業費 約250億円
(併設施設分未定)
約382億円 約277億円
(併設施設分未定)
約388億円

現在は4番目、「チームエンティアム」(エンターテイメントセンター+ベースボールスタジアムの造語だそうな)の出した「複合型オープン」案が採用されることになった。下の画像がそれ。

イラスト1イラスト1

進取の気性
上で述べたように、カープ球団にとっては、現球場の改修ではなく、新球場を建設するという必要性は特にない。そうなるとその他に考えるポイントとしては、集客能力の高さ、さらには広島市の発展という政治的意味も含めた「広島の誇り」となるものを造らなくてはならないはずだ。そういう考えでいくと、僕としてはこの「複合型オープン」案は一番ベストの選択だったように思う。メジャー風の天然芝オープンレトロスタジアム(しかも左翼右翼が非対称!)で、周囲に米最大の商業デベロッパー「サイモン・プロパティ・グループ」の手掛ける大規模な商業、飲食施設を一体整備。4案の中では「ボールパーク」という概念に一番近いものだ。集客能力という意味で、東京・大阪に続く「サイモン・プロパティ・グループ」の広島進出は喜ばしい限り。また上の画像ででは判りにくいかと思うが、広島駅に減速しながら入ってくる新幹線、つまり広島の入口ともいうべきところで、この誇るべき球場(野球をしているところもしっかりと見えるだろう)が出迎えてくれるというシチュエーションは素晴らしいと思う。しかし何と言っても、僕を含めカープファンにとってこの案を誇りに感じていいことは、「初めて」ということに尽きると思う。
話が少し逸れるかもしれないが、今年1月11日に広島カープ元オーナーの故松田耕平氏が、野球殿堂特別表彰を受けた。球界初の外国人監督の起用、ドミニカ共和国のアカデミー設立はもちろん、米大リーグ教育リーグへの選手派遣、球界初の海外キャンプの実施、キャンプ地の屋内練習場の整備・・・。弱小チームを強くするにはこの「進取の気性」である。現在でもその考えは根付いており、長谷川や菊地原らをブレイクさせた「動作解析装置」なども好例かもしれない。日本で「初めて」の天然芝オープンレトロスタジアム。野球の好きな人間なら絶対に憧れるの対象となるはずである。

ただ一つの心配は
今日2月2日は広島市長選挙。メディアでもけっこう取上げられていたので、ご存知の方も多いと思うが、今市長選挙には、カープ黄金時代の監督・古葉竹識氏が立候補しているのである。まず断っておきたいのが、今回の「複合型オープン」案を出した「チームエンティアム」には、広島カープ球団も加わっている。しかし古葉さんは「開閉式ドーム球場」案を支持。もしも古葉氏が当選しようものなら、長いごたごたの中、「エンティアム」側が「撤退」を示唆し、それに促されるようにようやく解決に至りかけているこの新球場問題がまた紛糾の危機に見舞われることは想像に難くない。そうなったら「エンティアム」の撤退→天然芝オープンレトロ球場案の消滅ということだろう。はっきり言って今さら開閉式だろうとなんだろうと、「ドーム球場」で広島が各主要都市に勝てるわけがない。

せめて市長選の前には書き上げたかった
年間数試合の雨天中止のために140億円、年間維持費2億8千万円を使う意味はあるのか。全国的に見ても多目的ドームで採算のあっているところはない、と言われる中で、音響施設の優れたホールが他にもたくさんある広島にこれ以上コンサート会場は必要なのか。なによりもカープ球団自体が本拠地として専用球場を希望している。最初に書いたように問題も山積みなのだが、市長以下広島市全体が協力していくような空気にならなければいけない。「進取の気性」というカープ球団の伝統、「広島の顔」、もちろん「採算面」も含めて、日本で初めてのオープンレトロ球場を是非とも支持したいと思う。最後に一つだけ要求。内野席だけでもいいから、選手の目線と同じくらいの高さにしてもらって、内野席の防護ネットをなくすように設計して欲しい。危険性が高いと思えば、一部だけでもいい。現市民球場の「選手との触れ合いやすさ」もカープファンの一つの自慢だと思うので。

トップへ